第12話

「次は私の報告。土の状態は元々悪くないから、生き物が戻ってくれば問題ない。鉄や銅の鉱脈もそれなりに発見。後、あの山の麓にダンジョンがあった」


ロスさんの報告は簡潔だったけど、結構重要な情報が混ざってた。


「あの山の麓にダンジョンか」


ロスさんが指を指す2000m級の山を見る。

精霊界にいる時にもっと大きな山を沢山見たせいで、2000mだったら大したことになと思ってしますけど、決して小さくは無いよね。


「ダンジョンがあるならちゃんと調べといた方がいいよね?」


島を人に解放しないとしてもダンジョンを調査しておく必要は有るだろう。

放置してたらスタンピードが起きちゃうし。


「それにしてもダンジョンがあるって知られたら、その近辺だけでも開拓して一般解放して欲しいって言われちゃうかな?」


「ダンジョンが採算の取れるダンジョンだったら言われるだろうな」


儲けられないようなダンジョンだったら何も言われないか。

もし、一般解放して欲しいって言われたら、ダンジョン周辺だけ囲んでそれ以上島の外に出たら命の保証はないとかにすれば良いかな?

今のところのイメージでは精霊とか幻獣種向けのリゾート街を作れたらなーって思ってたんだけど。

広さ的には両方とも作ることは可能だけど、目先の欲に駆られた人間が精霊や幻獣種に危害を加えようとするかもしれないし。

まぁ基本返り討ちだろうけど、悪知恵を働かせてなんとかしちゃうのが人間だから、精霊と幻獣種向けのリゾート街を作るなら人間をこの島に入れたくないんだよね。


「ダンジョンの話も重要だと思うけど、もうひとつ報告。この島にメインマストが折れて船体がボロボロの船が近づいてるみたい。

ちなにみ幽霊船じゃなくて、ちゃんと人が乗ってる」


聞いた感じ、船が魔物に襲われてボロボロになり操作不能になって漂流。

運良く?この島の近くまで流されて着たってところか?


「無視は流石にダメだよな。大人数で行っても無駄だろうし…マルタと二人で様子を見てくる」


自分で飛行が出来て、人間界の常識がある人ならって条件で決めたからフィアでも良かったけど、妊婦さんなので大人しくしていてください。

何も起きないかも知れないけど戦闘になるかもしれないんだから。


マルタと二人で例の船の上空まで移動する。


「見た目で判断するのはダメかも知れないけど、これってもしかしなくても海賊船?」


どう見ても甲板で俺らの事を指さして慌ててる人の見た目がかたぎの人間じゃない。

ついでにチョンマゲで首輪をつけられた人もいる。

あれは江戸時代の日本に似てるらしいダイワの人かな?


「奴隷制度なんて未だに存在する国は少ないですからね。違法奴隷を密輸しようとしている船でしょう」


マルタの顔が怖い、船員に対してゴミを見るような目で見ている。


「下手に人質を取られたりすると面倒だから船全体の時間を止めちゃって良いよね?」


「下手すると隷属の首輪をつけた人に盾になれとか命令される可能性も有りますから、私も賛成です」


あの首輪命令して強制的に動かせる機能がついてるのか地味に高性能じゃない?


船全体の時間を停止して船の上に降りた。


「ひとまず、隷属の首輪をしていない人は一纏めにして拘束しましょう。どうせ違法奴隷商人の仲間です。殺しても問題ないですが、せっかくなので隷属の首輪を使って情報を抜き取ってから殺しましょう」


さっきからマルタが怖い。こうなるのもわからなくは無いけど。


マルタの言う通りまずは、首輪をつけてない人を一纏めにして、顔以外を氷でパッケージして動けないようにした。


「このまま奴隷になった人を助けてもいいですけど。それだと一体何が起ったかわからなくて、説明が面倒になる可能性がありますので一旦ここで時間停止を解除してください」


助けたのに敵だと思われるのも嫌だし、その方が良いか。

時間停止を解除すると船の上が一気に騒がしくなる。


「喋るな」


情報を持ってなさそうな下っ端の氷でパッケージされている胴体を粉々に砕いた。


「喋る度に、1人づつ殺す」


これだけで船の上は静かになった。

俺だって犯罪者相手には容赦しないよ。


と思ったら、1人喋りだした。


「そいつを殺せ!」


見た目的に海賊のリーダーかなって思ってたやつがそう言うと隷属の首輪をつけた武士が抜刀して迫ってくる。


「奴隷の主人に設定されてるって事はお前がリーダーだな?じゃああとのやつはもう要らないや」


リーダー以外は胴体を粉々に砕いて殺した。

武士の人は俺が隷属の首輪の機能を停止させたので刀を鞘に戻して何が起きてるか分からないと言った顔をしてその場に立っている。

海賊のリーダーに関してはこれ以上喋らせても煩いだけなので、時間を停止させた。


「さてと、これでゴミの掃除は終わった。

大丈夫ですか?」


武士の人に声をかける。


「一体何が起きているんだ…」


「語尾はござるじゃないのか…そんなことどうでも良いか。俺の名前はコウ・アポストロス、水の精霊王です。まずは貴方がどうしてこうなってるか話を聞かせてください」


既に機能が停止してるけど、隷属の首輪をつけているのは嫌だろうと思い。

首輪を凍らせて粉々に砕きながら自己紹介をした。



読んでいただきありがとうございます。










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