第10話
「生き物なら風の精霊と地の精霊に頼めば勝手に集めてくれると思いますよ?報酬にみかんウニでもあげれば一生懸命働いてくれるでしょう。バターでも良いですけど、甘いものも好きですからね精霊は」
生き物が何もいないんじゃどんどん自然が死んでいっちゃうからどうしよう。でも、生き物連れてくるのだって一苦労だしこの島、四国同じぐらいの大きさってフェムトが言ってたし、俺じゃ生態系を復活させるとか無理だよと考えてたら、ディアーネさんが良さそうな解決案が提案される。
みかんウニはご飯あげて放置しておけば勝手に増えるから数も用意しやすい。
「ディアーネさんそれで風の精霊と地の精霊に依頼をして来てもらって良いですか?俺はみかんウニを用意してきます」
繁殖に使える生きてるみかんウニは持ち歩いていないから1度リバイアサンの里に取りに行かなきゃ行けない。
「依頼に行かなくても自分から来ると思いますよ。風の精霊は噂話が大好きですから。
この島に生態系を復活させる仕事を手伝えば甘いものが貰えるって、風の精霊によって凄い速度で拡散されているところでしょう。
少し待ってれば勝手に集まってきます。
ほら、コウ様の後ろに風の精霊王がいますよ」
「え!?」
後ろを振り向くと緑色のドレスを着たお姉さんが手を振っていた。
「初めまして、私はエラフリース、リースって呼んでね。よろしくコウくん」
「よろしくお願いします。リースさん。
ところで、どうして風の精霊王自らここに?」
「売り込みかな?海ぶどうで作った白ワインが有るでしょう。あれをくれるなら私も島の生態系を復活させる仕事を手伝っちゃおうかなって」
精霊王にそんな仕事させていいのだろうか。
そんなことを考えていると突然地面から手が生えてきて足首を掴まれた。
「うわぁ!!」
振り払ってその場から離れる。
「そんなに怖がらなくても良いのに…」
そう言いながら、なんか落ち込んでる女の子が地面から生えてきた。
さっきので怖がらない人なんていないと思う。
「そうやって落ち込むなら、その登場の仕方辞めれば良いのに…。そんなの誰だって怖がるに決まってるじゃない。この子はアルギロス。地の精霊王ね」
「ロスって呼んで、よろしくコウ。私は生春巻き希望。くれるなら1週間で島全体の土を最高の状態にしてあげる」
「よろしくお願いします。ロスさん」
精霊王にこんな事させていいの?って気持ちはまだあるけど、手伝ってくれれば勝ち確みたいなものだし手伝って貰うか。
「分かりました。ひとまず前払いでこれ渡しておきますね」
リースさんに海ぶどうで作った白ワインを1ボトル。
ロスさんには昼ご飯用に作って残ってる生春巻きを渡した。
「気前が良いわね。じゃあ早速色んなところから動物をさらってくる」
「私も土の状態を見てくる。ついでにどんな資源があるかも調査してくる」
精霊王の2人は貰った物を収納魔法にしまって、早速仕事を初めてしまった。
「これから来る風と地の精霊も2人が指揮してくれるでしょうし。私たちは報酬を用意するだけでこの島の生態系が復活しますよ。
それと生春巻きを見るリアの目が死んでるんですが、なんでですか?」
精霊王って変わった人多いんだな。
(そうだねー。みんな変わってるよね)
わざわざ、みんなのところを強調して来るフェムトはスルーして、ディアーネさんに生春巻きの皮がニーズヘッグの抜け殻だから、エルフのリアは生春巻きを見るとあんな感じになっちゃう事を説明する。
「成程、エルフからしたら神獣ニーズヘッグは守り神ですし仕方ないですね。私は普通に料理に使いたいので後で分けてください」
ディアーネさんならそう言うと思った。
分けるついでに地球だとこんな料理があったって話もしておこう。
その前に2人の精霊王以外の手伝ってくれた精霊達の報酬用にみかんウニを取りに行って、海岸沿いに簡単な生簀を作ってその中に入れる。
餌としてキャベツの外側の葉っぱと芯を生簀に入れると食べ始めた。
「生き物が餌を食べるところってなんか見ちゃうよね。何故か癒されるというか」
日本にいた時はうさぎとかモルモットがただただご飯を食べるYouTubeとかよく見て癒されてた。
こっちの世界だとうさぎがボリボリ骨ごと肉食ってたりするから、そういう機会は減ったけど。
真っ白いうさぎの口元が血で真っ赤に染まってるところとか、かなりショッキングだった。
「でも、食べるんですよね?」
「うん」
美味しいからねみかんウニ。
そのまま食べても美味しいし、絞って100%みかんジュースもなかなか美味しい。
美味しいなら神獣の抜け殻だろうと食べるのが俺です。
「する必要無いかも知れないけど、ずっとみかんウニの世話をしてるのもあれだし、島の現地調査再開しよっか」
なんか面白いものあるかもしれないし。
そういう物があったら精霊王の2人が持ってきてくれる気もするけど。
自分で探すってのも重要だろう多分。
実際に歩いたからこそ気づける事だってある筈。
そう自分に言い聞かせて今度は島の中心に向かって歩き出した。
読んでいただきありがとうございます。
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