第39話
コウは本格的にたこ焼きが食べたくなってしまったので、鍛冶師の知り合いであるモルガンのところに訪れていた。
「久しぶりに来たら俺に調理道具を作れと?」
武器職人に鍋作ってくれなんて言ったら怒るのは当然か。
「別にモルガンに作れって言ってるんじゃないよ。鍛冶師の知り合いがモルガンしかいないから、調理器具を作ってる鍛冶師を紹介してくれないかなって」
「それはそれでなんか負けた気がするな。
どんなものを作るつもりなのか教えろ。
物によっては俺が作ってやる」
モルガンにたこ焼きを焼くための鉄板と
卵焼きを作る時に使う長方形のフライパンの説明をする。
「長方形のフライパンは分かったが、鉄板に丸い窪みを何個も作った物って、ホントにこれ調理器具なのか?調理器具専門の鍛冶師に作ってくれって言っても困惑すると思うぞ?」
まぁそういう反応するよな。
「地球にはその道具を使って作る料理があったんだよ」
たこ焼き以外も作れるから作っておいて損は無いと思うから、作ってもらわないと困る。
まぁ最終兵器フェムトが居るから、ダメならフェムトに頼むけど。
「そう言えばコウって異世界人だったな。すっかり忘れてた。作るのは良いが鉄板の方は少し時間がかかるぞ?フライパンは今日中に用意できると思うが」
「それでじゅうぶん。フライパンは何個か作って欲しい」
「分かった。フライパンは夕方までに作っておくから、適当に時間を潰してから受け取りに来てくれ」
モルガンに前金を渡してお店を後にした。
「それにしても何して時間潰すか。王都よりフロンの方が顔を知られてるから街の中フラフラするのも難しいし。冒険者ギルド行くか」
魔物の売却とか4、5、6階層がどんな感じかだった報告だったりをまだしてないから、いい感じに時間も潰せるだろう。
今回は変に絡まれないといいなーと思いながら冒険者ギルドに向かった。
「ようこそ冒険者ギルドへ。本日はどんなご要件ですか」
今回は絡まれることなく受付嬢さんの所までたどり着いた。
やっぱり前回絡まれたのはハジメくんがいたからだろう。
「フロンダンジョンの新階層の情報と魔物の売却をしに来ました」
「分かりました。直ぐにギルドマスターをお呼びしてきます」
わざわざ呼ばなくても、許可を取ってくれれば自分から行くよって言おうとしたけど、受付嬢さんは既に居なくなっていた。
こうなったらギルドマスターが来るのを待ってるしかないか。
冒険者ギルドの長椅子に座ってボーッとすること10分ぐらい、ギルドマスターのサバールさんがこちらにダッシュで向かって来た。
突然来てるのはこっちなんだから、そんなに焦らなくてもいいのに。
「お待たせしてしまい申し訳ありません」
「事前の連絡をしてないのに時間を頂けるだけでじゅうぶんですよ」
「コウ様からの報告を聞くことは最重要の業務ですから。それと前回私がいない時に色々起きてしまったみたいで、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」
確かに前回は色々あったけど冒険者ギルドが悪いかって言われたら、そうじゃ無かったから、ちゃんと対応してくれたし。
「冒険者をやっていればそういった事もあると思っているので、気にしないでください。それに冒険者ギルドはしっかり対応してくれましたので」
「そう言っていただけると幸いです。
続きは私の仕事部屋でしましょう。長くなると思いますし」
サバールさんに連れられて彼の仕事部屋へと案内された。
「すいません。確認しないといけない書類が多くて、ちょっと散らかってるんですけど。そちらのソファーにお座りください」
俺がソファーに座るとサバールさんも反対側のソファーに座った。
「それで、新階層の情報を報告していただけるということですが、4階層を完全に攻略されたという事ですね?」
「そうだね今回は4階層と5階層を攻略して6階層は入口付近を回って帰ってきたから6階層は詳しい報告は出来ないけど、3層分情報が有るよ」
「3層分の新情報ですか!」
さすがの俺でもそこまで攻略したとは思ってなかったみたいだ。
まぁ気持ちはわからなくもないけどね。
特に4階層は無駄に広かったからすげー面倒だった。魔物の襲撃頻度も高かったし。
「もう少し時間があれば6階層も攻略出来そうだったんだけど、時間が無くて断念したんだ。また今度時間があれば攻略しに行こうとは思ってるけど、当分は難しいかなって思ってる」
「ギルドとしては是非、攻略して欲しいですが、コウ様はまとまった時間を取るのは難しいでしょう」
異世界の神さえ倒しちゃえば時間はいっぱい取れるだろうし、一気に最下層まで攻略を目指すのもありかもね。
フロンダンジョンは難易度が高い代わりに、階層の数は少ないって予想らしいから後2、3層で終わりじゃ無いかって気もするし。
もし、まだ10層ぐらいあった時は、一気に攻略じゃ無くて、コツコツ定期的に攻略って事になるだろうけど。
「じゃあ、4階層から詳しい説明を始めますね」
そう言って、サバールさんに階層の説明を始めた。
読んでいただきありがとうございます。
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