第32話
王都に帰還してこれから色々大変だろう、ハジメくん達を王城に送り届けた後、自分の屋敷に帰ってダラダラしながらダンジョン探索の疲れを癒している。
「ほんとに話し合いに参加せず帰って来て良かったのか?」
「だって国の人間じゃないし。関係ない人がいたら邪魔でしょ?一応、身分的には平民な訳だし」
「自分で一応と言っている時点で屁理屈だとわかってると自白してるようなものだぞ」
だって、面倒臭いもん。誰が指揮をとるのか、兵士を何人連れていくか。国同士、貴族同士のゴタゴタに関わるつもりは無い。
「俺に意見求められても嫌だしね。作戦が決まったら報告してもらうぐらいでじゅうぶんだよ」
今頃、ハジメくんはそのゴタゴタに巻き込まれて大変なんだろうけど。
「まぁ、コウが口を出し始めたら確実に面倒ごとになるから、口出ししないのが正解だと私も思う」
「でしょ?まぁ俺は色々考えて敢えて口出ししないんじゃなくて、面倒臭いから口出ししないだけだけどね」
「だが、エルフのお嬢様と会わない訳には行かないだろう?今日すぐにと言う訳じゃないんだし」
そう言えば、エルフの国からもいっぱい人が来てたね。王都に転移してから、魔力を漏れないようにしてるからか、王城ですれ違った
エルフの人は俺に無関心だったけど。
「別にそこまで無理してエルフのお嬢様と会う必要あるかな?」
別に俺がエルフと仲良くする必要ないよね?
「変に避けようとするより、1回普通に会っておいた方が楽に終わると思うぞ」
エルフと敵対したい訳じゃないし、会って話すぐらい別に問題ないけど、会って話すじゃ終わらなそうなのが面倒臭い。
「仕方ないか。明日の午後会うことにするよ」
「分かった。そう連絡を入れておこう。
相手がその時間予定が空いてるか微妙なところだが、何としてでも時間を作るだろう。
それに今回その時間は既に予定がと言われれば、この時間以外忙しくてと逃げる事も出来ると思うぞ。オススメはしないが」
「その時は、また考えるよ。今はダラダラしてるけど、急に忙しくなる可能性だって有るし」
今日はもう寝て明日に備えよう。ダンジョンでの疲れも溜まってるし。
そうフィアに伝えて寝室に行こうと思ったらエステルさんとマギが現れた。
「1体どう言ったご要件でしょうか?」
この2人が何の用事も無く会いに来るってことは無いだろう。
「半球ドームと私の張った結界の間に溜まってきた魔物の討伐をお願いする為に今日は来たんだ」
マギの作った結界にクトゥルフ神話生物が増えてきたから倒して欲しいって事ね。
「別にそれぐらいいいけど、1週間も有れば、多国籍軍で攻略に行くでしょ?
その時に倒せば良いんじゃないの?」
「私もそう思ってたんだがな。コウがクトゥルフって呼んでた奴いただろ?あいつが外に出てきてな、ずっと結界を攻撃され続けると流石に耐えられなさそうでな」
思ったよりピンチ。
「なんかヤバそうだからすぐ行こうか。
装備だけ整えて来るから五分だけ待ってて」
この件が全部片付いたら半年ぐらいは何もせずダラダラしよう、絶対に。
本来こんな出来ることなら働かないでダラダラしていたいって性格の人間だった筈なのに、こっちに来てから色々動き回りすぎな気がする。
「おまたせしました。準備終わったから何時でも転移OKです」
「よし、じゃあ転移するぞ!すぐに戦闘になると思うから、そのつもりでいろよ」
何があっても対処出来るように魔法と権能どちらも使えるように準備をしながら転移した。
「すぐに戦闘になるってこういうことかよ!」
転移した瞬間、高さ100mぐらいある。
巨大な波が襲いかかってくる。
波の方は魔法で凍らせて粉々に砕いて無力化して、クトゥルフ本体に停止の権能を使って終わらせようとしたが、権能の効きが悪い。
「なんか俺の権能に耐性持ち始めてない?
こいつら」
全力出せれば問題ないと思うけど、異世界の神が作り出した半球ドームの拡大を防ぐ為に
9割ぐらいリソースさいている今は無理だ。
魔法で殺すしか無さそうだ。
「それにしても殺意高過ぎだろ」
さっきのような巨大な波が襲いかかってくる事は今のところはないけど、海水が鞭のように動いて攻撃してくる。
反撃したいんだけどなんか調子が悪い。
いつもだったら、1割の力しか使えなくてもこれぐらい迎撃して反撃もするぐらい出来るんだけど。
「ここは既に異世界の神の領域って事か?
侵入者である私たちのステータスが軒並みダウンしている。大丈夫かコウ?」
なんか色々調べてたらしいマギから衝撃の報告をされた。
だから体がだるいのか。
これは困った、どうやって倒そうか。
そう考えていると、一点集中型の収束ブレスが2方向から飛んできた。
「危な。あれは、ダゴンとハイドラって事は・・・やっぱりなディープワンもいるよな」
ステータス下げられて、クトゥルフと1対1でもギリギリだったのにこんなに数が増えたら流石に不味いかも。
皆も連れて来るべきだったなこれは。
読んでいただきありがとうございます。
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