第12話

「それにしても災難でしたね」


「ギルドマスターも丁度、席を外しているタイミングだったので、どうする事も出来なくて…本当にありがとうございます。今日はどう言ったご要件で冒険者ギルドへ?」


バカ貴族の1番の被害者の受付嬢さん、一旦休憩とかはなく、業務を続けるようだ。


「勇者くんとフロンダンジョンに潜る事になったので、事前に連絡しておいた方が良いかなと思って、それとダンジョンで変わった事とかないか聞いておこうと思って」


「成程、コウ様が勇者様たちとダンジョンに潜っていることはギルドマスターが帰ってき次第報告させていただきます。それと変わったことですと3層以降は確認できていませんが1層、2層でカラードラゴンが少数出現する様になりました」


以前より強いモンスターが出現するようになっていると…まぁ今回のレベル上げには丁度良いかもね。


「それって、冒険者は対応出来てるの?」


「カラードラゴンは主に宝石竜の素材を使った装備をした騎士の人たちに対応して貰っています。最近では、カラードラゴンに対応出来る冒険者も出てきましたけど、まだ少数ですね」


「3層を越えられた冒険者は?」


「ゼロです。難易度が高すぎます。鳥系の魔物をテイムしている冒険者が3層で狩りをしたりはしていますが、クラーケンが倒せないみたいです」


3層の最短ルートとか所々にある島の採集物とか一切隠さず報告したから、もしかしたらと思ったんだけど、無理だったか。

クラーケンが鬼門かそりゃま〜そうなんだろうけど、俺からしたら倒しすぎてただの大きい烏賊にしか見えないんだよね。


ハジメくんが戦うならいい感じになるのかな?


「クラーケンかフィアが倒してまだ1ヶ月も経ってないと思うけど、もう復活してるんだ?」


「はい、実際に確認もされているので確実です。それに電気を纏って攻撃してきた。との報告もあったそうです」


普通のクラーケンはそんな事してこないから

亜種か上位種かな?クラーケンにそんなのがいるのか知らないけど。


「良かったなハジメくん 、フロンダンジョンは俺が潜った時より敵が強くなっているみたいだ」


「他人事のように言ってますけど、コウさんも潜るんですよね?」



「まぁ、俺は今回ほとんど戦うことなんて無いだろうし」


ぶっちゃけ俺と戦闘になるレベルのモンスターなんて居ないだろうし。

精霊王をコピーした魔物とかが出てこない限り、俺が戦うと基本ワンパンだからって言うのもある。


そんな話をしているとバカ貴族の身柄を渡しに行っていたフィアが帰ってきた。


「しっかりお父様に渡してきたぞ。公爵領での問題行動しかも領都での事だからな、お父様もそうとキレていたからすぐに片付くだろう」


「そう。皆揃ったしそろそろダンジョンに潜るか。受付嬢さん情報有難うございます」



「仕事ですので 、ダンジョン攻略頑張ってください」



ダンジョン攻略か〜今回は時間をかけられないし多分ダンジョンの最奥まで行くのは無理だろうけど、まとまった時間がとれたら踏破してみたいな。


冒険者ギルドを後にして転移でフロンダンジョンの入口に移動した。


ダンジョン外から中に直接転移することは出来ないけど、同じ階層内なら転移が出来るので、下へ降りる階段の目の前に転移を繰り返して3層まで移動した。


「待ってくださいコウさん。流石に1度も戦ってないのに強化クラーケンと戦うのは不味いです。一、二戦させてください」


強化クラーケンか亜種とか上位種より有り得そうだな。


確かに準備運動無しで、クラーケンと戦うのは不味いか。


水流を操作して手頃な魔物でも引っ張って来ようかな?って思ってたら、海中からは勿論空からも魔物が近づいてくる気配がした。


「わざわざ引っ張って来る必要も無いみたいだ」


海中からはアリゲーターをそのまま巨大化したような魔物。


空からは青い鱗を持ったドラゴンが群れで飛んでいた。


「ハジメくんたちで全部相手する?」



「冗談言わないでください。と言ううかドラゴンを選んだら群れ全部と戦わないと行けないんですか?」


「勿論」


だってブルードラゴンがたったの5体だよ?

大した事ないよ。

寧ろ、巨大なアリゲーターの方が強いよ?


「じゃあ、俺たちの方がワニの方で」


「ハジメ何言ってるの!?どう考えたってワニの方がつよ…」


「はいじゃあそれで、ハジメくんガンバ」



フィロさんはしっかりどっちの方が強いかわかっていたみたいだけど、もう遅い。


「えっ!?まじですか?」


「ハジメは数に騙されちゃダメでしょ!

まぁ強いと言っても、油断せずに連携すれば私たちでも倒せる相手だから私は黙ってたけど」


光の上位精霊のサリーは割とスパルタらしい。


「主〜あのドラゴン、ルージュが倒してきていい?」


ブルードラゴン如きこっちのメンツからしたら、デカイだけのただのトカゲだし、ルージュが倒したいって言うなら任せちゃって良いかな?

一応、戦いたいか聞いておくか。


「ルージュ以外にブルードラゴンと戦いたい人いる?」


フィア達はわざわざ戦う程の魔物じゃないしって感じだったので全部ルージュに任せることになった。


「あの、ちょっと気になったんですけど、なんで魔物が1歩も動かないんですか?」


ハジメくんから質問が飛んできた。

俺だって魔物が出てきてるのに何もせずに

悠長に話していたりしない。

しっかり権能で動きを止めて安全を確保してから話をしている。

動きを止める以外何もしてないので、権能を解除すれば、何事も無かったように動き出す。


「俺が動きをとめてるからだけど?そうしないと誰がどっちを相手するかゆっくり決められないでしょ?」


ハジメくん一行に何言ってんだこいつって顔をされるコウだった。



読んでいただきありがとうございます。




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