第11話

「おはようハジメくん。今日はダンジョンアタック日和のいい天気だね」


ハジメくんとフロンダンジョンに行く約束をした当日。空は雲ひとつない快晴。

ダンジョン入っちゃえば外の天気なんて関係ないけど。


「そうですね。ダンジョンに入れば外の天気なんて関係ないですけど…。それと、僕以外にも何人かついて行きたいって言ってて、お願いできませんか?」


何人かついてきてる人のことね。

まぁ、国王に報告すれば何人か人が増えるのはわかっていたことだし、別に問題ない。

着いてきた1人は昨日知り合った、フィロさんだし、もう1人はマルタの髪の色を赤にしてちょっと大人っぽくなった感じの人だから、多分マルタのお姉さん。

最後の1人のメイド服を着ている人は1回も会ったことない人だ。着ているメイド服が魔物の素材を使用して、作られているものだと思うので、メイド服で戦うのだろう。

戦闘メイドって男のロマンだよね。


「増えるのは分かっていたし別に問題ないよ」


初対面の王族って、どう接していいのか分からないから名前を聞くのもあれだし、後でマルタにこっそり名前聞いておこう。


「ありがとうございます。じゃあ早速ダンジョンに!」


流石にフロンに行くのにオルトレーさんに挨拶もなしって言うのは不味いだろう。

たとえダンジョンに潜るだけでも。

王族もいっぱい居るし。


「いや、まず領主のオルトレーさんに挨拶に行って、その後冒険者ギルドで最近のダンジョンの様子を聞いてからだね。ダンジョンに潜るのは」


それを伝えた瞬間ハジメくんの顔がムンクの叫びみたいな感じになった。


「そんなに時間かけないから、馬車ごと転移するから各自馬車に乗って」


馬車に乗ればハジメくん側とこちら側で別れることになるので、このタイミングなら問題なく名前が分からない2人のことをマルタに質問できる。


「レイラとネロの説明ですよね?」


流石にバレバレか。


「その通りです。そう言うことで、お願いします」


「レイラは双子の姉です。ネロは護衛ですね、給仕も完璧にこなしますが」


だいたい予想通りなのだがマルタの双子の姉?


確かに見た目はそっくりだけど、身長とか結構違ったから、双子だとは思わなかった。

という事はレイラさんは13歳って事!?

見た目的には15~16歳ぐらいの感じなんだけど。


「先に言っておきますが、仲は普通にいですからね?」


そうなら安心。

双子で仲が悪いとかだとこれからダンジョンに潜るのに余計な心配をする事になるから良かった。


「…でも周りは、影で姉は天才なのに妹は無能だって言ってましたけど」


マルタって割とヘヴィな人生を生きてきてるよね。


「そんなに悲しそうな顔しないでください。今は毎日楽しいですから」


そんな事がありつつ、フロンに転移して、オルトレーさんに挨拶をすませて、冒険者ギルドに来ていた。


「冒険者ギルドですか…」


なんかハジメくんのテンションが異様に低い

前に冒険者ギルドで何かあったのかな?


「前に何があったの?ハジメくん」


「前と言うか、俺が冒険者ギルドに行くたびに冒険者に絡まれるんですよ」


ハジメくんはムキムキマッチョって訳じゃ無いもんな。

見た目は弱そうだし。

見た目が弱そうなのは俺も一緒だけど。


「そう言えば、俺は冒険者ギルドで絡まれた事無かったな。貴族には沢山絡まれたけど」


なんでだろう?イメージ的には冒険者の方が絡んで来そうなものだけど。


「それはコウが基本フロンの冒険者ギルドしか使わないからだと思うぞ多分。コウは何度もフロンを救っているし、その時怪我した冒険者の治療もしているからな」


「そっか、じゃあこれからもフロンの冒険者ギルドを使えば俺が絡まれる事はないってことだ。ここなら俺と一緒に入ればハジメくんも絡まれないだろう。早く中に入ろう」


「コウさんそう言うのをフラグって言うんですよ?」


俺も言った後にフラグたっちゃったかな〜って思ったんだけど…今更、引き返すとか出来ないし、絡まれたら軽くボコせば良いだろう。


冒険者ギルドの中に入ると絡まれる事は無かったが、受付嬢に対してあーだこーだ喚いている奴がいた。

服装的には冒険者ではなく貴族の息子だろう。


冒険者ギルドの中にいる冒険者も迷惑だけど相手が貴族だから対処できなくて困っている感じだ。


邪魔だし、手っ取り早くご退場願おう。


「受付嬢さんも迷惑してるでしょう?

ここはアンタみたいな奴が来る場所じゃない、早く帰れ」


「貴様、カラッポ侯爵家の長男である私になんて口のきき方を無礼討ちにしてやる」


そう言って剣を抜こうとしたけど、その前に腹パンして黙らせる。


「こいつは私がお父様に渡してこよう。

罪状は色々有りそうだが、とりあえず精霊王への不敬罪でじゅうぶんだろう」


「俺が運ぶよ、フィアにこんなに汚いもの触らせたくないし」


それなりの力で腹パンしたので、色々地面に吐き出して本人も汚れている。


「私だって触りたくない。重力魔法で運ぶから一切触らないぞ」


そっかそれなら安心。


「でも、どっかで1回洗った方がいいか、これを屋敷に持ってこられてもオルトレーさんも嫌だろう」


ギルドの解体場を借りて水で雑に洗った後、

マルタの転移でフィアがオルトレーさんに

バカ貴族を渡しに行った。


「普通に絡まれるより面倒でしたね」


ハジメくんがそういった、心の底から俺もそう思う。




読んでいただきありがとうございます。






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