第52話

「皮も美味しいうなぎって初めて食べたかも」


日本にいた時食べていたうなぎは皮がゴムっぽいと言うかそんな感じで、皮が無い方が美味しいって思ってたけど、これはゴムっぽくないし皮も美味しい。

素材が良いのもあるだろうけど、炭火でじっくり焼いたから美味しいのかな?


「そう言えば、泥ぬき忘れてたな。全然、泥臭くないけど」


異世界のうなぎは泥ぬきしなくても美味しく食べれるってことかな?

あぶね〜タレの美味しい匂いさせてるのに食べたらめっちゃ泥臭いとか言う地雷料理を作るところだった。



思ったけど、地球で美味しかったって記憶で今まで採集とかしてたけど、この世界だとめっちゃ不味いとかも有り得るってことじゃない?


今回のうなぎだって血に毒が有るけど、焼けば分解されるって地球の知識を元に大丈夫って判断したわけだけど、ここは地球じゃないんだから、うなぎが焼いたぐらいじゃ分解されない毒を持ってる可能性だってあったかもしれない。


「ここは地球じゃないんだから、地球の知識を過信しすぎるのは危ないかもしれないな」


「何言ってるのいきなり?」


皆、うな重に夢中だし、小さい声でボソッと呟いただけなので、聞こえないと思ってたんだけど、フェムトにはバッチリ聞こえていたらしく、どういう意味か質問された。


今回のうなぎで気づいたことをフェムトに話した。


「確かに、ここは地球じゃないんだから、見た目だけ似てて中身は全くの別物って言うのは有り得る話だよね」


今までは運良くそういった食材に出会ってないだけで、今後はそういった食材に出会う可能性もあるかもしれないので、今回みたいにうなぎだ〜って特に調べたりしないで食べるのはやめよう。


「というか、地球のうなぎは血に毒が有るんだね。そっちの方が驚きだよ」


「えっ!じゃあさっきのうなぎには元々毒なかったの?」


「もし毒を持ってたら、コウにそのまま調理させるわけないでしょう?」


確かに、もし毒を持っていたら。それをフェムトが教えてくれた筈だ。


「コウも毒の有無ぐらい自分でわかるんじゃないのか?初めて会った時、私から毒を取り除いて助けてくれただろう?」


異世界に転移した直後の話だったな。

懐かしいって言うほど時間は経ってないはずなのに凄い昔の出来事な気がしてくるから不思議。


まだこの世界に来て1ヶ月半ぐらいしか経ってないはずだから寧ろ最近の出来事なはずなのに。

そんな事よりフィアの質問に答えないと。


「フィアの場合は毒を盛られた状態で、フィアにとって毒は異物だったから毒を取り除くことが出来たけど、元から毒を持ってて、毒が異物じゃない生き物から毒だけ取り出すっていうのは出来ないんだよね」


厳密に言うと俺に毒自体を判別することは出来ないので、フィアの体に悪さをしている物質を取り除くという感じで毒を取り除いた。


「まぁこれからは地球で食べられたからと言って何も調べないで食べるのは避けるって事でしょ?」


「まぁそういう事なんだけどね。食べれるかどうか鑑定できるスキルってないの?」


「有るけど、結構レアだからそのスキルを持っている人が少ないから探すの大変だし、僕に聞いてくれれば1発だよ?」


そのスキルを持っている人を雇うとかではなくスキル自体欲しかったんだけど、確かにフェムトがいるからフェムトに聞けばいいか。



「それで精霊王の宝玉を作る以外の目標は達成したわけだけど何する?」


精霊王の宝玉は日数がかかるだけで1日あたりは1時間ぐらいしか掛からないから割と他のことをする時間もいっぱいあるんだよね。


「リバイアサンの里に行くのは確定として、後は…料理と戦闘訓練?」


帝国とか異世界の神関係は人間界で足並みを揃えて事にあたるってなってるから、1人で突っ走る訳には行かないし。


どうやら突っ走って返り討ちにあった国もあるらしいけど、俺とは全く関係ない国だし放置。

相手の態度にもよるけど、

もしちょっかいをかけてくるなら潰すだけ。


「料理は置いておいて、戦闘訓練は重要だしそれでいいかもね。コウにもうちょっと近接戦も出来るようになって欲しいって思ってたし。後はルージュちゃんのレベル上げに付き合うとかもいいかも」


ルージュのレベル上げを優先して、何とかフェムトとの戦闘訓練を減らそう。


「思考は読めなくても、今のコウが何考えてるかなんてバレバレだからね?戦闘訓練からは逃げられないよ?」


「私もコウさんと模擬戦だったりしたいので逃がさないようフェムト様に協力するとして、私たちの里にはいつ行きますか?

歓迎する用意もあると思うので、今決めてもらって私が里にいつ来るか知らせに行ってきます」


確かに急に行ったらリバイアサン達も驚くか。


「今日から7日後とかどうかな?」


イスカさんが教えに行くのも考えると、今日出発するには微妙な時間だから、明日の朝イチに出発して貰うとして、準備期間は5日ぐらい?ちょっと短いかも?


「ちょっと短いかな?」


「いや、じゅうぶんだと思いますよ?

出来るだけ早く来て欲しいって思っているリバイアサンがほとんどなので」


それならそのままで良いかとリバイアサンの里に行く日程を決定するコウ達だった。



読んでいただきありがとうございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る