第27話

マルタがいつでも魔法を撃てるようの準備をしながら待っているとこの間からウルフが出てくる。

こちらを警戒しているのか直ぐに飛びかかってこない。

と言うか俺の事を見て震えている気がする。

もしかして森に入ってから全く魔物と遭遇しないのって俺のせい?


「コウさんこれどうしましょう?」


マルタがいつでも攻撃出来るよう構えつつ

どうしたらいいか確認してきた。


「時間をかける必要も無いしさっさと討伐して次を探そう。今度からは外に俺の魔力が漏れないように気をつけながら森を歩こう」


「分かりました」


そう言ったマルタは10センチぐらいの氷柱をウルフに向かって放った。

ウルフは特に回避行動などをとらなかった為

頭部に命中一撃で倒すことに成功した。


「倒せました!」


別に死体を見て気持ち悪いとかならないみたいだ。

そう言えば俺もならなかったな。

しかも初めて殺したの人だったし、多分だけどフェムトが俺を転生させるときそこら辺、調整したのかな?

まぁどっちでもいいや。


「レベルは上がった?」


「上がりませんでした」


流石にウルフ一体じゃレベル上がらないか。


次の魔物を探す為にまた森を歩き出した。

今度は俺の魔力が周囲に漏れないように対策をしながら歩いている。

すると直ぐにウルフの反応が近づいてくる。

今度は3びきだ、やっぱり全然魔物が見つからなかったのは俺が原因か。


「今度はウルフ3匹だけど大丈夫?」


「なら2匹はコウさんにお願いしてもいいですか?」


さっきウルフを倒しても冷静に考えられてるね。ちょっと意地悪してみるか。


「2匹を俺が?良いけどさっきウルフを倒したマルタなら3匹ぐらい余裕じゃない?」


「怖がって身動き1つとれないウルフをです。それにウルフはしっかりと連携をとって攻撃してくる魔物です。私には3匹同時はまだ荷が重いです」


魔物は群れで襲ってくる種類も当然いるけど。

ただ数に任せて突撃してくるタイプ。


頭を使い連携して攻撃してくるタイプがいる。

ウルフは当然後者のタイプ、今回みたいな3匹で襲ってきた場合、最初に2匹で突撃してきて相手がそちらに集中している間に1匹が後ろに回って後ろから不意打ちとかも普通にしてくる。


……後ろから不意打ちっていうので昨日フェムトに転移魔法を使って同じような事をされたのを思い出した…俺も人のこと言えない。


「しっかりわかってるみたいで安心したよ。2匹は俺が捕まえとくから、安心して1体1でウルフを討伐して」


この世界はトドメを指した人にいわゆるレベルアップするための経験値が入るので俺が相手をするウルフ2体は殺さずに拘束しておいてマルタはトドメをさしてもらう。

もっと格上の魔物に同じことをしてマルタをパワーレベリングしてもいいけど、それじゃ戦闘経験が積めないので今回は却下。

でもそれを全くしないとレベルをあげるのに時間がかかるので、マルタが1体1で倒せる魔物はこれをやってもOKという事にした。


三匹のうち2匹を権能で動きを止めてマルタがどういう戦い方をするのか見させてもらう。


マルタは自分の方に寄ってこないよう水球をウルフに向かって撃ち込んでいる。

それをウルフは軽々と躱してマルタに近付こうとしてるけどウルフが前進するタイミングに合わせて水球で攻撃してるのでウルフは横か後ろに避けるしかない。


なんで水球で攻撃してるんだろう?

氷柱でも同じ事出来るはずだけど。

地面を濡らしてウルフが動きにくくするためとか?

実際ウルフ周辺の地面がだいぶぬかるんできてる。


「ホントなら一気に決めたかったのですが

ようやく準備が整いました」


マルタがそう言った瞬間濡らした地面が凍りついてウルフを拘束した。

動けなくなったウルフの頭部に向かって氷柱で攻撃してウルフの討伐終了。


マルタの一度に使える魔力量じゃ今の範囲を一気に凍らせるの難しいのでマルタは水球でウルフを牽制しつつ凍らせる為の水を確保していたみたい。


いきなり凍らせるよりも、水を用意して凍らせる方が一度に使う魔力量は少なくなる。

今回は元からあった水を使ったんじゃなくて

自分の魔法で用意したからいきなり凍らせるより魔力は必要だったと思うけど、マルタは魔力が少ないんじゃなくて魔力抵抗が低すぎるせいで一度に使える魔力が少ないだけだから問題ないだろう。

純粋な魔力量で言えば今のフィアよりも多いし。

流石ご先祖さまが火の精霊王なだけはある。


「おつかれ。こっちのウルフ2匹も拘束してるだけだからマルタトドメをさしちゃって」


「レベルが上がりました!」


とっておいた2匹を倒してようやくレベルが上がったらしい。


それより1体1でもしもの時は助けに入るって分かってたにしてもすごい冷静だったな。

ウルフを牽制しながら水を用意してた時だって失敗したらウルフが飛びかかって来るかもとか考えて緊張しなかったんだろうか?

いや、王族だしそういう感情を顔に出さないのが上手なだけかもしれない。

しっかり確認しといた方が良いかな?


1人でさっきの戦闘の反省会を始めているマルタを見ていらない心配だったかなと思いつつ確認の為話しかけるコウだった。



読んでいただきありがとうございます。

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