第20話

グリンカムビ達に料理を振る舞った後簡単な調理法を教えていたら思った以上に時間が経っていて太陽が沈み始めていた。

おそらく夕食の用意は終わっていると思うので今回はすき焼きは無し。

それとシャモが着いてきてくれることになった。

ディアーネさんに会うことになるけど大丈夫?って聞いたら、寧ろ料理を習いたいと意気込んでいた。

ただ、食べられそうになったら助けてくださいとも言われたけど。


グリンカムビは最低でも一日にひとつ無精卵を産むらしい。(雄でも無精卵を産むらしい)

そしてその気になれば一日100個は1匹で無精卵を産めると言われた。

魔力があればそれ以上も可能らしい。

つまりシャモがいてくれるだけで毎日新鮮な卵を好きなだけ食べれる。


これならディアーネさんもシャモを食べるより無精卵を産んでもらった方が良いって判断するだろう。


「今日は我々の為に時間を割いていただきありがとうございます。おかげで簡単なものなら自分たちで料理も出来るようになりました」


グリンカムビ達は念動魔法を器用に使って包丁を動かして野菜を切ったり、鍋を動かして炒めたりと鶏なのに簡単な料理を作れるようになっていた。

正直、鶏が料理をしている絵面はすごくシュールだったけど。

良く考えれば鶏と会話をしているじてんでだいぶシュールな絵面だったろうけど。


「シャモが来てくれるだけでこっちは新鮮な卵を毎日食べれるんだから、料理を教えるぐらい全然問題ないよ」


「これ以上遅くなるとディアーネに文句言われるだろうしそろそろ帰るよ」


グリンカムビ達がいるから声には出さないけど、ディアーネさんがじゃなくて

フェムトがクジャタの肉早く食べたいだけだろう。


「ぐへぇ!」


思いっきり肘鉄をされたチョー痛い。

ほら、突然こんなことするからグリンカムビ達びっくりしてるじゃん。


「じゃあ帰るよ〜」


えっ!そのまま帰るの!

フェムトよっぽどクジャタの肉食べたいんだなと思ったところでもう1発いいのを貰って悶絶している間に活動拠点の城に帰ってきた。


「お帰りなさいませフェムト様、コウ様。

コウ様はどうしてそのような格好を?」


「フェムトにやられた」


「僕のことを食いしん坊キャラにするからいけないんだよ」


「事実では?」


あっディアーネさんにもいい感じのボディブローが入った1発KOだなあれ。

死体がふたつになった。

状況が理解出来てないシャモがどうしたらいいか分からなくてオロオロしてて可愛い。


「何があったんですかこれ?」


フィア、マルタ、メルの3人も騒ぎを聞きつけて部屋に入ってきた。


「2人が僕のことを食いしん坊キャラにするから」


フェムトがそう言った瞬間3人は目を逸らした。流石にストレートにその通りでは?とは言えないけどそう思ってるってことだ。


俺とディアーネさんに思われるよりダメージが大きかったらしくフェムトがショックで床に膝をついた。


「まぁ、確かに最近食べてばかりなの事実だけど……ところで2人はいつまでそのままのつもり?もう普通に動けるでしょ?」


いつまでも床と仲良くしているつもりもないのでサッと立ち上がる。

ディアーネさんも普通に立ち上がった。


「ディアーネ今日の夕食は何?」


フェムトがディアーネさんに夕食はなにか質問をしている。

だから食いしん坊キャラにされるんだよ?


「メインはクジャタの肉を使ったステーキとハンバーグ、スープはコーンポタージュにしました。サラダは用意してある野菜をご自身で選んでください。パンとライスも好きな方を選べます」


「解体をしてくれたリバイアサン達は?」


「昨日の砂浜で報酬として渡したクジャタの肉で宴会をしてます」


2日連続で宴会って逆に疲れないのかな?

まぁ他人に迷惑をかけないなら好きにしてくれればいいけど。


「グリンカムビですか……久しぶりにみますね」


過去にやらかしてますからね貴方。今もグリンカムビに怖がられてるし。


「先に言っておくけど食べちゃダメだからね。グリンカムビに毎日新鮮な卵を貰って

その対価にこっちは料理を教えるそういう約束で連れて来てるから」


「分かりました。ですがグリンカムビに料理を提供するのではなく、料理を教えるのですか?彼らは人化が出来ないはず鶏の姿で料理は難しいのでは?……あぁ念動魔法がありましたね」


ディアーネさんはグリンカムビの使える念動魔法を知っていた。昔グリンカムビで養鶏をしようとしてたらしいからそりゃ知ってるか。


「ねぇ話してないで夕食出来てるんだから早く食べようよ」


フェムトの言う通りだとは思うけどそう言う発言をすると食いしん坊キャラがどんどん定着していくと思うぞ。

もう遅いかもしれないけど。


「私は料理をお持ち致しますので皆様はお先に食堂に向かっていてください」


ディアーネさんの言う通り食堂に向かっている途中フェムトに明日はコウも剣の使い方、体の動かし方を僕がつきっきりで教えてあげるから覚悟しておいてね?


最初からその予定だったんだよね?

食いしん坊キャラって言ったの根に持ってるからその予定にした訳じゃないよね?

若干不安になるコウだった。


読んでいただきありがとうございます。


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