第17話

俺は今何故あんな事しようとしたのか、正座しながらフィアに説明していた。

もう夜も遅かったので、説明をする前にマルタはリンファスの王城にメル殿下は自分の部屋に帰っていった。

今部屋にいるのは、俺とフィアにディアーネさんの3人だ。


「まず、粒あん以外の餡子も作りたいなって思ってたのをフェムト様に読まれて、そこからディアーネにバレて作り方を教えて貰うためにここに来た。ここまではこれで合ってるか?」


「その通りです」


「で、教えてもらう条件として、人間界でコウの手伝いをする事でお互い合意したけどその後で『私が帰った後フェムト様のご機嫌取りを一緒にお願いします』って言われて、

フェムト様本人からも『何をしてくれるのか楽しみにしてるから』と言われて、焦ってしまい、さっきの行動に繋がるという事だな」


「その通りです。大変ご迷惑をお掛けしました」


冷静に考えれば、フェムトはそこまで傲慢な神様じゃないし(悪戯とかは好きだけど)

そんな焦って用意しなくても怒るような神じゃないよね。

それにチョコって作り方知ってるからって美味しく作れるか結構微妙だし。

焦ったところでいい事なんて何一つ無い。

時間がかかっても、しっかり美味しいものを作った方が良いよね。


「もう大丈夫みたいだな。いきなりだったからびっくりしたし、心配したんだぞ」


別に怒ってた訳じゃなかったのか、それにしても心配したか、今回フィアと俺が逆だったって考えたら・・・心配したどころじゃ済まないな。

結果的に俺も焦りだして、何をしだすか自分でも分からない。


「えーと、私もいるんですが、もしかして忘れられてます?」


勿論、忘れた訳じゃない。無視をしているだけである。


「ディアーネさんは、メル殿下の護衛をお願いしますね」


「え!護衛は分かりますけど、この部屋では無くメル殿下?って言う人のですか」


「俺の手伝いしてくれるんだよね?」


「ぐ、分かりました。そう言う約束ですしね」


なんでか凄いガックリしてる、実は夜護衛と称して俺に料理を教わるつもりだったとか?

いや、流石にそれはないか。


「明日料理を教える時間をちゃんと作るからそれで我慢して」


「ほんとですか!全力で護衛してきます」


さっきまでとは打って変わって、猛ダッシュで部屋を出ていった。


「あんな約束して大丈夫だったのか?」


そんな突然で、本当に時間がとれるのかって言うことだろう。

確かに、明日はどういう作戦になったのか説明を受けたり、2カ国の合同作戦になる訳だから連携の確認のための演習も行なわれるだろう。

王都奪還作戦に俺も参加するのだから、その演習にも参加しなきゃ行けないだろうし。

やらなきゃ行けない事は沢山あるわけで、

いくら上位精霊を仲間にする為とは言えなんの相談も無く突然当日に『料理を作ってくるから』と言ったら、表立って批判はされないだろうけど、いい顔はされないだろう。


「問題ないよ。ディアーネさんの事だし、後3時間もしたら『日付が変わりましたよ!料理教えて下さい』って起こしに来るから」


「それは大丈夫なのか?主にコウの体力的な意味で」



俺も普通の体だったら、無理って言ってたけど、この体になってから1週間ぐらいなら寝なくても問題なくなったみたいなんだよね。

フェムトとの地獄の特訓で実際に1週間一睡もし無い体験したので、このぐらい余裕である。フィアにそう説明する。


「という訳で、全然問題ないから大丈夫」


肉体的には問題ないけど精神的にはめっちゃ疲れるけどね。これは元は人間で寝るのが当たり前と思っているのが原因らしい。

なので、なれれば大丈夫って言われたけど、個人的にはなれる気がしない。

でもダンジョンに入っっている時とか、警戒が必要な時に便利そうなので、何とか慣れたいなーと思っている。

今回もその練習の一環という訳だ。


「コウがそう言うなら信用するが、無理は絶対だめだぞ」


個人的にはもう少しフィアと話していたかったけど、早く寝ないと寝る時間が無くなってしまうと言われたしまい、これ以上心配もかけたく無かったので大人しく寝ることにした。



「寝る必要は無いって分かってても、気分的に凄く眠い。それに、そう来るだろうなと思ってたけど、本当に日付が変わった瞬間来るとか、本当に料理が関わると見境がなくなりますね」


ディアーネさん普段はとても常識的でいい人(精霊)なんだけど、料理が関わると本当に見境が無くなる。料理を教える対価をくれるのがせめてもの救いだ。


「良いじゃないですか、それだけ料理は素晴らしいって事です。さあ、作りに行きましょう」


このままずっとディアーネさんのペースってのもなんか気に食わないし、ちょっと仕返しする事にしよう。


「そうだね、時間がもったいないし早く行こうか」


そう言って精霊界に繋がる精霊門を開いた。


「何故、精霊門を開くんですか?」


ゆっくりと精霊門から離れながら質問してくる。


「何故ってこんな時間に料理場を借りれるわけないでしょ!だからいつ行っても問題ない精霊界でやるんだよ」


「嫌です。フェムト様に会わなきゃ行けないじゃないですか!こうなったら、そこら辺にいる人間に料理場を開けさせるしかないです。声をかけてしまえばこっちの勝ちです。あれ、動けないなんでですか!」


権能を使ってディアーネさんの動きだけを止めた、どうやら上手くいったみたい。人間界で権能を使うのは難しいから、しっかり練習した方がいいとフェムトに言われたからな。


しかしびっくりするほど使うのが難しくなってる。制御がめっちゃ難しくなってて、魔力を大量に使って無理やり発動させた感じ 、10倍くらい多く魔力を消費した。


これじゃ前に倒した島ウミガメサイズだと、

動きを止めるだけでも魔力が足りないだろうな。

ちょこちょこ制御の練習しないとどんな敵が出てくるか分からないし。


そして、動けなくなったディアーネさんを担いで精霊門をくぐった。




読んでいただきありがとうございます。

何故か餡子は終わったと勘違いしてました。今回も餡子だったし、次回も餡子です。


それとペットに利き手を噛まれてしまい、

スマホを持つのも痛くて文字を打つのに時間がかかってしまってます。

その為投稿が、またどんどん遅くなる可能性があります。

申し訳ございません。


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