第5話

王城で何があったか2人に簡単に説明する。

「そんな事があったのか!無事で良かった。やはり、傷とかは残ってしまうのか?」

やっぱり知り合いみたいだ。

公爵家令嬢なわけだから、王族と知り合いでもおかしくないだろう。

「女の子ですから、傷が残らないよう綺麗に治療しました。時間はかかりましたけど」

それを聞いて安心したようだ。

「良かった。まだ若いのに傷が残るなんて

可哀想だからな」

ほんとにね、俺よりも大分若そうだったし、今回の傷が一生残るなんて辛いだろう。

「まあ、嫁ぎ先は決まったようなものだろうけどね、大変だろうけど、頑張るんだよコウくん」

突然オルトレーさんが爆弾を投下してきた。

「救った褒賞として貴族になるとかでなく、一気にそこまで?」

今回の事もあるし、王家と婚姻を結ぶなら、あの子になるのかな?とは思ってたけど、

こんなすぐに?

「陛下としては、出来るだけ早く娘の誰かと結婚させたかっただろうし、1番目は無理でも2番目をって機会を狙ってたと思うよ」

この世界は後から結婚しても、王族だからと

正室が変わるとかは無いのかな?

「実家の地位によって正室が変わったりしないんですか?」

「特に変わらないね。昔はそういうのも

あったらしいけど」

昔はあったのか、転移して来たのがこの時代でよかった。

「なら良かった。もうフィア以外を正室に

するつもりないですし」

それを聞いたフィアが、泣き出してしまう。

「どうしたの!」

もしかして嫌だったとか?

「私より若い妻が出来たら捨てられるんじゃないかって、でも私以外ありえないって」

不安だったって事かな?

フィアを捨てるなんてありえないけど、落ち着くまで取り敢えず頭をなでなでしておく。

「取り乱してすまなかった。もう大丈夫だ」

このままでも良いのだが、拗ねちゃいそうだしやめとこう。

「取り敢えず明日の昼過ぎ、もう一度王城に

行くことになってるのでフィアも一緒に行こう」

夜も遅かったし大体の事は話終わったので、

話はここ迄となり解散となった。


フィアと自室に帰ってきた訳だが、気になっていたことを質問してみる。

「さっきとは全然話変わるんだけど、あれだけ魔物倒してLv上がらないってどう思う」

ダンジョンにもぐって、ランクの高い魔物を倒した筈なのだが、1つもLvが上がってない。

「本当か?私は結構上がったぞ?」

だよね、普通上がるよね?

じゃあどうしてだろう?

「それは、コウが精霊だからだよ」

突然フェムトがやってきた。

理由知ってそうだな。

「フェムト理由知ってるんだったら、ちゃんと説明してくれ」

ニヤニヤしながらフェムトが喋りだした。

「仕方ないなー、例えばLv1の人間とLv1のドラゴン、ステータス同じだと思う?」

ドラゴンの方が圧倒的に高いだろう。

「そうでしょ!じゃあLvupは?」

人間の方が早い気がする。

「その通り、つまり今のコウは例えのドラゴンと一緒、初期からステータスは高いけども成長はゆっくり」

当たり前のように思考を直接読まれてる。

だけど何となくわかった気がする、普通の

人間種に比べLvupには莫大な経験値が必要って事か。

「言いたい事はわかった、でも物理方面が

並の人間程度でフィアに比べると貧弱なんだけど」

能力が数値化されている訳では無いので、色々試した結果物理方面は、大体Lv20ぐらいの人と同じぐらいだろうと言われている。

「そりゃ精霊って魔力特化だし、物理方面が低くても仕方ないよ」

確かに魔力量とか魔法の威力は、比べるのも馬鹿らしいレベルだったな。

「それに、Lv1の時点で普通の人間Lv20程度の力が出せるんだよ?貧弱は言い過ぎじゃない?」

魔法基準で考えていたが、確かに20倍って結構高いな。

「因みに、どれぐらい魔物倒したらLvup出来ると思う?」

質問すると、少し考えた後教えてくれた。

「フロン迷宮を攻略する頃には、2~3Lvは上がってると思うよ」

必要経験値高すぎだろ!

とはいえ不意打ちにだけ気をつければ、負けることは基本無いのでLvはゆっくり上げていけばいいか。

「魔力操作みたいにレベル関係ない技術を

鍛えるのも、一つの手だと思うよ」

最後にもっともなことを言って、フェムトは帰って行った。

「技術の向上って重要なことだよな」

この世界に来てから、全くしてなかった。

「1度、魔法の基本について勉強するのも良いかも」

「それなら初心者用の本とかも屋敷にある筈だから、それを読んで見るのが良いと思うぞ」

ここ辺りで睡魔に勝てず寝てしまった。


「ちゃんと午後前に帰ってくるから」

王城に行く前に昨日頼んだ武器を取りに行きたいと言ったら、厄介事に巻き込まれるからダメだと言われた。

「コウは、絶対厄介事に巻き込まれる。今日は時間まで屋敷で大人しくしてくれ」

仕方が無いので、中庭で魔法の練習をする事にした。

「身体強化できないかな?」

以前フィアに聞いた時、風属性ならスピードを上げる魔法があったり、勇者は身体強化の魔法が使えると聞いたぞって言われた。

その後、水属性って実は人気ない?って聞くと目を逸らして、どこでも水が飲めると冒険者には人気だぞと悲しい現実を突きつけられた。

「回復魔法だって水属性で使えたんだ」

回復させるために細胞まで、水を浸透させて

細胞を活性化させることによって回復させるのが、水属性の回復魔法。

これと近い原理で、身体強化も出来るんじゃない?

昔、漫画で筋繊維に魔力を流して、筋力強化しているものがあった、これをイメージしながら魔法を使ってみよう。

「発動したぞ!見た目では分からないな、ちょっとジャンプしてみるか」

軽くジャンプしたら屋敷の屋根の高さまで、楽に飛べてしまった。

「成功だろ!水属性で身体強化できたぞー」

中庭で喜んでいると、フィアが中庭に出てきた。

「コウ、私は時間まで大人しくしていろと、言ったはずだが?」

そして、時間になるまで正座お説教コースを

うける事になったのだった。


読んでいただきありがとうございます。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る