第4話

鍛冶師と仕事の話をしていたら、女が殴りかかってきた。

「モルガン、彼女を止めて欲しいんだけど」

氷の壁でダメージは無いが鬱陶しい。

「シエラ、その人はお客さんだ今すぐ攻撃をやめろ」

モルガンに制止され、1度止まった。

「本当か?モルガンが仲良く握手してるのなんて初めて見たぞ?」

もしかして俺に取られるかも?みたいな嫉妬的なやつ?

「別に仲のいい客の1人ぐらいいて良いだろう、それに突然ここから居なくなったりしねぇよ」

それを聞き、シエラと言ったか?女の機嫌が良くなっていく。

日本にいた頃なら、リア充爆発しろ!って叫んでたが今は俺も立派なリア充なので、何とも思わない。

「誤解が解けたところで仕事の話に戻らない?」

俺が居るのを忘れてそうな雰囲気だったので、仕事をしろと声を掛ける。

「そうだったな、武器といっても何を使うんだ?魔法使いなんだろう?」

そうなんだよな、無難に剣がいいかな?

「なんも使った事ないし、スタンダードに

剣が良いかな、刀とか打てる?」

日本人としては、刀を使ってみたい。

「刀は無理だなって普通は言うんだが、

この精霊石なら可能だぞ、刀の形にするだけだがな」

刀は打ち方が違う為、この国の鍛冶師では

形を真似る事しか出来ないらしい。

それだと、斬れ味、耐久共に低くなってしまうらしい。

ただ高位の鉱石などを素材として使う場合

それでも使える刀モドキが出来るので、俺が作った精霊石なら刀モドキが出来るという事らしい。

「成程じゃあそれで頼むよ。どれぐらいかかる?」

早くて1ヶ月とかかかるかな?

「今日の夕方には終わらせてみせる。だから夕方取りに来てくれ」

そんなに早く!

「想像より大分早いが、無理しなくていいんだぞ?」

「1振りに集中して作るだけで、そこまで

無茶はしてねぇよ」

そう言われても鍛冶を知らない俺には判断

出来ないが、まあいっか。

「じゃあ、頼んだ夕方また来る。」

そう言って鍛治工房を後にした。

「夕方まで何して時間潰そうか?」

まだ時刻は午前中だ、夕方まで大分時間がある。

「ダンジョンに行くのは...ダメだな」

帰った後にフィアの正座お説教コースを開催されてしまう。

何をしようか考えていると、国から支給されている文を遠距離に送る魔道具に反応が

あった。

「なになに、至急王城へねぇ」

厄介事かな?と思いつつ転移魔法で王城に向かった。

いきなり城内に転移したら問題になるかもしれないので、城門前に転移する。

だが、前回来た時と違い、なんだか騒がしい。

認定魔導師と証明する杖を出して、門兵に話しかける。

「王国認定魔導師のコウです。召集がかかりましたので、馳せ参じました」

杖とステータスカードを確認され、

本人の確認が取れたら特に説明もなく、城の中に入れてしまった。

「お待ちしておりました。コウ殿、詳しい

説明は部屋に向かいながらさせていただきます」

確か近衛の団長って言われてたかな?

「分かりました」

団長の後ろをついて行く、焦っているのか

大分足早だ。

「今回、召集された理由はマルタ王女殿下の治療をして頂きたいのです」

わざわざ俺が?治療出来る魔法使いは、王城なら沢山居るだろうに。

「マルタ王女殿下は、魔力の耐性が低く

回復魔法で治療すると逆に傷ついてしまうのです」

厄介なそれだと俺も変わらないのでは?

「コウ殿をお呼びしたのは、ホムラ様が

コウなら治療も可能だろうと」

ホムラが言ったのか、じゃあ俺になら治療が可能だと言うのも嘘ではないのだろう。

「コウ殿をお連れ致しました」

返事が帰ってくる前に扉を開けてしまう。

それ良いの?と思ったが、寝かされている

少女を見てそんなのどうでも良くなる。

顔は何とか無事みたいだが全身に火傷を負っていて、大きな切り傷も有る。

正直、回復魔法無しで生きてるのが不思議なぐらいだ。

「治療を始めますので、他の方は下がっていてください」

治療を始めようとして気づく、ちょっとでも

魔力を流しすぎたら大惨事になると。

今まで以上の集中力と魔力制御が要求される。

慎重にまずは大きな切り傷から治療を始める。

魔力が少なすぎると効果が無く、多すぎると

逆効果ギリギリの魔力量を流し続け無ければいけない。

無事に切り傷の治療は終わったが、体感で

5時間は経ったんじゃないか?

一旦休憩とか絶対に無理なので、火傷の治療に入る。

ただ治すだけでなく、火傷跡が残らないように綺麗に治してあげないと。

女の子だもん火傷跡が残ったら辛いだろう。

「やっと終わった、もう大丈夫です」

跡が残らないように綺麗に治して治療は終了した。

精神的な疲れが半端ない、その場に座り込んでしまう。

大丈夫か?とメイド達が近づいてくるが、

精神的に疲れただけだと言って立ち上がり

部屋を出ていく。

外には国王が待っていた。

「娘を助けてくれて有難う、本当に助かった」

そう言って頭を下げられてしまったので、

若干パニックになる。

「ここ廊下ですよ!皆見てますから早く顔を上げてください」

「すまなかったな。しかし、今回はしっかりと礼がしたかったのだ」

仕方ない。

「分かりました。ですが礼は今十分頂きました。これ以降はなしですよ」

その後、もう夜遅くだと言うことと王女殿下の様態が安定している事を理由に、1度フロンに帰っていいとお達しが出たので、

オルトレーさん達に事情を説明するためフロンに1度帰るのだった。


読んでいただきありがとうございます。

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