第3話
冒険者ギルドでの用事を終えて屋敷に帰ってきた2人。
2人は中庭にジュエルクラブを出して調理をしていた。
「魔法で調理するって、確かにこれなら
カニを丸ごと茹でれるけど」
ジュエルクラブが入るサイズの水球に入れた後、水の温度を上げて茹でる調理法。
普通の人からしたら結構魔力を消費すると思うんだけど、食欲って凄い。
「勘違いしてるようだが、この調理法を広めたのもニホン人だぞ」
日本人が原因だった。
もしかしたらとは思ったけど、本当に日本人だったか。
「この調理法カニの甲羅の強度が著しく落ちるので、冒険者ギルドや防具職人は猛反発したがな」
熱を通すと脆くなるって事か、目の前の
ジュエルクラブは?こいつは特別なの?
「ジュエルクラブはいいの?」
「元々、武器や防具には使わず装飾品に使うからな、多少強度が落ちても問題ない」
武器、防具に使わなければ強度が落ちても
気にしないってことか。
料理人にそろそろ大丈夫です。と言われたので、もうひとつ水球を作ってそっちで、アクを洗い流した後、指定の場所にジュエルクラブを置いた。
それを、公爵家に雇われた料理人総出で解体を始める。
ワンボックスカー並のサイズ有るしね、人数いないと無理だよね。
30分程度で終わり今日の料理に使う物以外は俺が貰った。
自分でも色々試してみよう。日本ではカニを食べる機会なんて無かったし。
カニ以外の調理は既に終わってたのだろう。
食堂で待っていると直ぐに料理が運ばれてきた。
「コウくんがいると、珍しい食材が頻繁に
食べられて嬉しい限りだね」
「でも、コウくんの家が用意出来たら
食べれなくなっちゃうのが残念だわ」
オルトレーさんの第2夫人で、フィアの実母でもあるアトラシアさんが聞こえる程度の
小声で呟く。
「別にフロンから出ていくわけではないので、珍しい食材が手に入ったら、こちらにもお持ちしますよ」
どう考えたって催促だったし、仲が悪い訳でもないのでそう発言しておく。
「あら本当!嬉しいわ」
俺とアトラシアさん以外は苦笑いをしていた。
その後はカニが入っているパスタやサラダ等
を食べながらいつも通りの談笑だった。
「明日はどうするんだ?」
食事が終わり自室で寛いでるとフィアに明日の予定を聞かれる。
「フィアは信頼出来る冒険者っている?」
正直2人ではダンジョン攻略は厳しいだろう。
戦力は十分だろうが、寝ている間の見張りだとか斥候とか足りないものが多い。
「護衛などを依頼しているパーティーが居るが、女性だけのパーティーだからコウと
長期間、行動する事になるダンジョン攻略を受けてくれるかは分からない」
個人的にはフィアに手を出す事が無さそうなので、受けてくれると嬉しいが完全に運かな?
「それでも1回聞いて見て欲しい」
結果、明日確認しに行って、くれるみたいなので、返答次第では他の人を探さないといけない。
「コウはどうするんだ?」
実は最初から決まっていた。
フロンにいてずっと気になっていた事
あったので 、それを確認しに行きたい。
「確認なんだけど、精霊の血が交じってる人がフロンにいるのフィアは知ってた?」
フィアは驚きながら答える。
「少なくとも私は聞いたことも無い」
隠れる様に路地裏の物件でひっそり鍛冶屋をやってるみたいだから、知らないだろうなと思っていたが。
「俺は明日その人物に会ってくる。」
俺も剣の1本は持っておきたいし、出来ればその人物に作って貰いたい。
「じゃあ、行ってきます」
「気をつけるんだぞ。」
朝食を食べ終わり、目的の鍛冶屋に向かう為屋敷を出る。
フィアの方は冒険者の方から来てくれるらしい。
目的地につくと、既に開いてるみたいなので
中に入って商品を確認してみる。
正直 、善し悪しが分からない、鑑定眼とか欲しいところだ。
「ここは、フロンを救った英雄様が使うようなものはないと思うぜ」
1人の男性に声をかけられる。
この人が目当ての精霊の血が流れてる人だ。
「そんな事ないと思いますよ?それに
今回は貴方にこの石で武器を作って欲しくて
ここに来たんです」
そう言って、まるで海をそのまま固めて石に
したような物を出す。
「水の精霊石かこんな高純度の物見た事ない」
回りくどいのも面倒臭い。正直に話して
仲間になってもらおう。
「それ、俺が作ったんだ。ここでもう一個作ろうか?」
男性が、は?って顔になっている。
「精霊が魔力を圧縮して作るから精霊石って言うんだぞ?」
実際に見せた方が早いだろう。
(フェムトに作り方教わっといて良かった)
心の中でフェムトに感謝しつつ、精霊石を男の目の前で作り出す。
「本当に作り出しただと!あんた何もんなんだ?」
「貴方と同じ精霊の血が流れてるだけです」
それを聞き少し納得するが、まだ腑に落ちない部分があるらしい。
「まぁ、水の精霊王だったりもするけど」
「水の精霊王?御伽噺の存在だぞ?」
頭の中の処理が追いつかないみたいだ。
少し待って落ち着いて来たところでもう一度
話しかける。
「で、精霊石で武器作ってくれる?」
「勿論、だが条件がある」
条件か内容次第かな
「条件を聞いても?」
「あんたの庇護が欲しいそれが条件だ」
成程、悪くない向こうから勝手に仲間になってくれるのだから。
「分かったその条件でお願いするよ。
俺はコウこれからよろしく」
「俺はモルガンだ。宜しくなコウ」
2人で握手を交わす。
どんな武器にしようか話そうとしたら
1人の女性が殴りかかってきた。
服装的に冒険者か?
「モルガンをどこに連れてくつもりだ!」
どうやらまだ一悶着有るみたいだ。
読んでいただきありがとうございます。
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