第5話 国境街の現状

街に向かって歩いていると、1台の馬車がこちらに向かってくる。

近くに来たところで止まったと思ったら。

フィアが飛び出してきた抱きついてきた。

早すぎて反応できないし、受け身もとれなくそのまま地面に倒れてしまった。

Lv1だからステータス差が凄いんだろうな。

というか抱きしめる力が強いミシミシいってる!


「オフィーリア様コウさんはLv1ですから

ステータス差で苦しそうですよ。もうちょっと力を抑えてください。」


その言葉で力が緩んだ。


「すまないコウ手加減を間違えてしまった。」


申し訳ないと謝られてしまった。

早めにLv上げもしなきゃな


「俺は抱きしめて貰えて嬉しかったです

よ。」


それを聞いて抱きしめる力を

少しだけ強めてくる。


「2人だけの世界に入らないで戻ってきてください。」


そう言われフィアがはなれてしまった。

残念もっとこうしてたかったんだけど。

仕方ない。真面目にやるか。


「皆さんがこちらに来たという事は終わったんですね。帝国軍は引きましたか?それとも捕虜に?」


一緒に来たメンバーにプラス1人男の人が

いるがおそらく代官だろう。


「凍りついたまま火柱が上がらないのを見て撤退して行った。熱気球で直接街を攻撃してたからな。中まで入って来た兵士は案外少なかった。捕虜にしても自分達が1番と根拠の無いことを言う面倒臭い奴らだからな。1人残さず殺した。」


なるほど、国民性自体クソなのか占領してもだるいだけって責める気にならないだろうな国として。


「攻める旨みがなく。ただの弱小国家で自分たちだけで遊んでれば問題ないですが、無駄に技術力があってちょっかいをかけてくる。

1番嫌なタイプの隣国ですね。」


代官らしき男が感心したと言うような顔で見てくる。


「魔法だけではなく今の話だけでそれだけ理解出来る判断力もあるのですね申し遅れました。私オーストの代官をしています。

マチェスと申します。」


凄い頭が良さそう、敵に回したらいちばん

厄介なタイプな気がする。

1番嫌なことを的確にしてきそうな人だ。


「マチェスは私の夫でもあります。まあ、私は側室ですが。なので助けていただき

ありがとうございます。」


なんとエルさんの旦那さんだったみたいだ。


「そうだったんですね。間に合って良かったです。」


そんな感じで話をしていると


「それと目の前の凍りついたままの土地なのですが?」


マチェスさんに1番聞かれたくないことを

聞かれてしまった。


「あ〜、ちょっと本気出しすぎちゃってだいたい半径10キロ、永久凍土になっちゃいました。ごめんなさい。」


一斉にはぁ?って顔になっている。


「早い話、行ってみましょうか」


精霊門を発動しさっきまでいた場所に繋げる。


「コウこれは?」


みんな気になってるだろう。

フィアが代表で質問してくる。


「精霊門、精霊が使える。転移魔法だよ

永久凍土までショートカットしようと思って。」


全員が驚いた顔をする。

マチェスさんは精霊が使えるってところに

驚いてるんだろうけど。


「待ってください。コウ殿は精霊なんですか?」


「精霊とヒューマンのハーフです。こちらに来た時にこうなりました。」


エルさんの旦那さんだし正直に説明していいだろう。

とりあえずそれで納得してもらい門を通って貰う。


「これは凄い」


永久凍土の中では水の精霊たちが活性化して

幻想的な風景になっていた。

皆中に入ろうとしてる!


「皆ストップ!」


焦って止める俺を不思議そうに見ている。


「どうして焦って止めるんだ?これなら夏場の観光地とかになりそうだな。」


まあそうだけど命懸けになるよ。


「入って見ればわかるよ絶対にすぐ出てきてね。それと入るのはフィアだけ」


不思議そうな顔をして入っていくフィア

だが入った瞬間服から凍りはじめた。


「な!こんな危険なら説明してくれたら

私は理解したぞ」


皆顔を青くしている


「というわけで、永遠に凍り続ける土地になったので永久凍土って断言できるんです。」


みんなこいつ、やべーやつだって顔してる。


「怒らなきゃこんな事しないですよ。」


「しっかり力を制御してくれよ。」


全く持ってその通りです。


「ちゃんと制御しますよ。流石に討伐対象になりたくないです。」


それはわかってるんだなって顔をされた。


「でも、精霊を無理やり使役した帝国、あれは絶対に許さない帝国全土を永久凍土にする事も辞さない」


「本気でやらないでくれよ。お願いだから」


フィアに釘をさされてしまった。


「妾も、帝国とやらを消すのは賛成じゃな」


突然聞いたことが無い声を聞き、

俺以外は戦闘態勢をとった。


「皆、武器を降ろして絶対に敵対しちゃいけない。」


一目見て分かった、こいつは俺と同じだ

いや、所詮卵である俺とは比べ物にならないだろう。こいつは精霊王だ。


「流石に分かるみたいじゃな。他の者への自己紹介のために名乗ってやろう妾は火の精霊王、火の精霊を統べるものじゃ」


目の前に現れたのがとんでもない存在と分かり皆驚いている。いやマチェスさん以外は割と大丈夫そう


「それで、何の用ですか?」


精霊王に対してそんな言い方するので

俺の事を詳しく知らないマチェスさんだけ

大慌てである。


「コウ殿、精霊王様に向かってなんて言い方を」


「おい人間、妾はお前と話すつもりは無い

邪魔御するな。」


「喧嘩しに来たなら早く帰ってください。

これでも忙しいんです。」


マチェスが死にそうな顔をしている。


「そうだったか、まあ妾も忙しいからの

さっさと済ませるとしよう」


そう言って突然火球を投げつけてきた

サイズは小さいが、勘違いしてはいけない。

これをもし無力化出来なければこれだけで、

領都辺りまで焦土と化すレベルのものだ。


だけど

「流石に舐めすぎですよ」


少し大きいサイズの水球で包み込み消滅させる。

見た目凄い地味だけど、割とやばい戦いをしている。

1歩間違えれば王国消滅とかも有り得る。

水を分解して水素と酸素作れないかな?

水しか操れないと出来ないかな。

だがそこは異世界、簡単に成功した。

まずは水素から試すか。


「いくら成り立てとはいえ同じ精霊王に対してあの攻撃では温かったの、もうちょっと強めに行こうかの」


そう言って火球を投げようとするが、出した瞬間、俺の出した水素に引火してい精霊王の周りで大爆発が起きる。

当然被害が広がらないように、凍りの壁で爆発する瞬間に密閉した。


「おぬし何をした。水以外の魔法を使った形跡は無かったのになぜ爆発した?」


当然のように無傷だ。だが十分、水しか使ってないのに爆発したって事に驚きそれに釘付けだ。

その間に酸素を作り一気に精霊王の周りの

酸素濃度をあげる。


もうちょっと時間稼ぎが必要かな

「異世界の知識ってやつです。水も爆発するんですよ。」


すると感心した顔でこちらを見ていた。


「なるほどの異世界の知識精霊王でそれを持っているのはおぬしだけだろうな、合格でも良いのじゃが、最後に,,, 」


精霊王が突然地面に膝をついた。


「おぬし、何をしたぁ!」


余計な事したかも怒らせたかな?

動く余裕は無さそうだな


「まだ続くかもって思って水で作れる毒を

あなたの周りに生成してたんですよ。精霊にもきいて良かったです。」


急性酸素中毒、大分辛いだろう。

吐気に、痙攣、幻聴幻覚、呼吸困難

人間だったらもう死んでるだろう。

精霊王ですら話す余裕が無さそうだ。


「今、治しますね。」


いつものやつでちゃちゃっと治す。

「恐ろしいな異世界の知識あれだけの毒も

そうだが水の回復魔法とか訳分からんの」

回復した瞬間からピンピンしている。

やっぱ頑丈だなー


「新しい精霊王がどんなものかと思ってちょっかい出したが、やばかったの実力は比べ物にならないぐらい妾が上じゃが

異世界の知識がジョーカーすぎる。

あのままじゃったらほんとに死んでたの」


化け物を見る目で見てますが、貴方の方がよっぽど化け物ですよ。


「まあ、妾はホムラ火の精霊王じゃよろしくな新たな水の精霊王よ」


国を滅ぼしかねないじゃれ合いとか

洒落になんねーやってたの自分もだけど。


「新しく水の精霊王になったコウだよろしくなホムラ」


「コウというのか妾は用事も済んだし

帰るとするかのまた会おうコウよ」


そう言ってホムラが消えた。


「さあ、永久凍土も確認したしオーストに帰りましょう。私、回復魔法も使えるので

けが人の治療も出来ますよ。」


さっきまでのことを無かったかのように

話し始めてみたのだが。

流石に無理があるだろって顔をされている。


「コウ流石に無理があると思うぞ聞きたいことは沢山あるが怪我人の治療も重要だ。

全部終わったら話を聞かせてくれ」


それが妥当か。一先ず治療をするために

オーストに帰るのだった。


読んでいただきありがとうございます。



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