第27話 おにいちゃん
カリカリカリカリカリカリ……
二人のペンを走らせる音が部屋の中に響く。
繰り返し問題集を解けるようにノートに解答を書き続けて、キリの良いところで採点する。
全く勉強ができないというわけではないので正答率は7割ほど。平均点は超えてるけど学年トップの
「うーん。自分では注意してるつもりでも時制を間違えちゃう。わたしも
「それもアリだと思うよ。この問題集、時制の一致から始まってるし」
「ホントだ。どの範囲でも時制は絡むもんね。
ぺこりと頭を下げると制服によって動きが制限されているはずのお胸が重力に従ってテーブルに乗った。
来世はテーブルになるのも悪くないな。そんな考えが浮かぶくらいにたぷんと形を変えたおっぱいは魅力的だ。
「じゃあさ、
「それいい! これで弱点を埋めていけばお姉ちゃんみたいにミスが少なくなるよ!」
「僕は
「うん。基礎を固めつつテスト範囲もやる。なんだかお姉ちゃんに勝てそうな気がしてきた」
「
「まずは英語だけでもいいの。そしたらわたしは……」
「うん?」
「あ、ごめん。なんでもない。じゃあ第1節の問題やっちゃうね」
何かを言い掛けて
正面にする彼女の妹はしっかり胸元をガードしているので谷間が見える心配はない。
気にならないと言えばウソになるほどのボリュームの持ち主ではあるけど、布に覆われて隠れていればどうってことはない。
自分の部屋で初めて一緒に勉強する女の子が
練習相手なんて表現は失礼かもだけど、
「
「あ、ごめん」
ジト目で見つめられて、注意されているのに胸が高鳴ってしまう。
僕にMっ気があるからではなく、
「なんてね。わたしのペースに合わせてくれてるんだもんね。さっきは子供扱いしちゃったけど、ちゃんと頼りになるなって思う時もあるんだよ?」
「そ、そうなんだ」
「部活のあとに後輩と一緒に掃除をしてるところとか。面倒見良いなって」
「ああ。あれは去年野田先輩も手伝ってくれてたから僕もそうした方が後輩が助かるかなって」
「そういうところだよ」
なんだか思わせぶりな態度に鼓動がどんどん速くなる。
僕は
それに
勘違いするな。恋愛を解禁した
そう。今までの
そういう背景を男女ともわかっているからこそ、
むしろ男子が
というのはシコ太郎からの情報。
恋愛勢力図とやらが変わって
「よし。できた」
一生懸命に問題を解いている
丸付けをする間にはとても終わりそうにない問題量が残ってしまっているけど、少しでも誠意を見せるために黙々と進める。
「うーん。やっぱり満点ってすごいなあ」
「僕ら二人とも決してできない部類ではないんだけどね」
自分を慰める意味を込めてフォローを入れた。
決して落第生ではない。ただ、一点を争う大学入試では命取りになる。
だから僕も
「
「うん」
「もしお姉ちゃんと
「まあ、家系図的にはそうなるかな」
「
「お兄ちゃんっていうのは初耳かな」
女の子に頼られるのは男としては嬉しい。でも、絶対に勘違いをしてはいけない。
心の中で繰り返し自分に言い聞かせる。
「学校では恥ずかしいけどさ、二人の時は……お
「え……」
「あ、いや、変な意味じゃなくて。二人が結婚したらお姉ちゃんも
さすが双子の姉妹、突拍子のない発言をするところまでそっくりだ。
「まあ、うん。いいよ。僕だって
「ありがとう。お、お
かぁっと一瞬で耳まで真っ赤にして
そんな姿が二次元の妹っぽくて庇護欲をそそられる。
このあざとさが作りものだったとしても構わない。僕は
血の繋がったお兄ちゃんではなく、義理のお
その意味でも僕は
「どうかな。お
「そんなに恥ずかしいならやっぱりやめとく?」
とは言え、いちいちこんなに照れていては会話が成り立たない。
せっかく自然体で話せるようになったんだからお
「ううん。そういう練習だから。……お
「おうふ!」
あかん。何度か聞いても破壊力が衰えない。なんなら少しずつ慣れてきて義理の妹との関係が深まった妄想まで膨らむ始末だ。
これは浮気よりもマズい。結婚したあとにお
謝罪会見とか開かないといけないやつだ。
「すみ……変な声出さないでよお
「
「お
「ぐふぅっ!」
「大丈夫すみ……お
目の前でこんな気持ちの悪いリアクションをされても止めないなんて意志が強すぎる。
これはある意味で僕と
「わかった。僕の負けだ。お互いに間違えたところを確認していこう。本当の敵な
「……お
「あ……」
二人きりの時と決めていた
シコ太郎とかにバレるのに比べれば100億倍マシとはいえ、
「お姉ちゃんとお
僕らの幸せを心から喜んでくれている笑顔はとても眩しくて、
寝取られを望む
「勉強!
「はーい。お
気恥ずかしさを誤魔化すため、そして彼女に相応しい彼氏になるため僕は部屋の空気を勉強モードに切り替えた。
お
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