2-3 ちっちゃい男の子は可愛い!


― 青春戦国時代を生きる一緒に昼食を食べる女友達三人は、既に戦いへの準備を着実に進めていた…!そういったことに疎い青波は、彼女らの会話に圧倒されながらも感心し、彼女らに負けないような話をしようと意気込んでいたが…。



 青波 美優の場合 


 「青波ちゃんは最近なんか変わったことあった?」


 突然話を振られて、少し口ごもってしまったけど、なにか皆に負けないくらいの話をしなきゃって、私はなんでか張り切っていた。

 私は何かおもしろい話題がないかと少しの時間考えてみた。私の人生にそんな不思議なことあるかな、なんて最初は思っていたけど、運がいいことに、最近ちょっと不思議なことが身の回りで起きていることを思い出した。


 「んーそうだ、私結構歳が離れた弟がいるんだけど、この前小学校から泣いて帰ってきたことがあって、なにかあったのって聞いても僕はお姉ちゃんのこと好きだよーって言うばっかりで、なんのことか全然わからなくて困っちゃったんだよねー。」


 けど実際話してみると、こんな話思ったより全然平凡な気がしてしまって、私はこれで大丈夫かなって少し焦っていたのだけれど、嬉しいことに、皆は思ったより話に食いついてくれた。


  ”えーなにその話可愛い。

  弟さん何歳なの?

  今月で八歳だよ。

  私もそれくらいの年の弟欲しいわー、超かわいがっちゃいそう。”


 皆結構小さい男の子が好きみたいで、さっきまでの男子への感心はどこへやら、四人でたわいもない会話を続けた。確かにシスコンな弟は見ててとても可愛らしい。なにかあれば、お姉ちゃん、お姉ちゃんって頼ってくるし、なにやら学校の友達にもよく私のことを自慢しているらしい。それはさすがに勘弁してほしいところだけど、そんなところもまた愛くるしい。それにしても「よく」って、私のことどんな風に自慢しているんだろうと勘繰ったことは何度かあった。

 随分弟の話で皆が盛り上がったため、私はもし家で遊んだりすることがあったらぜひ皆に紹介したいな、なんて思いながらリラックスして喋っていた。そんな楽しい時間を過ごしていた私は、昼休みが始まったときより気が緩んでいたからか、おもしろい話をしなくちゃ、なんて意気込んでいた自分をすっかり忘れて、なんの拍子かふと思い出したことを口にしてしまった。



「あ、そういえば最近、帰り道に誰かにつけられてる気がするんだよねー。」



 私のそんな譫言うわごとのような言葉に、さっきまで楽しく会話をしていた皆の表情は一変した。楽しくなってきて気を抜きすぎちゃってたから、皆の地雷でも踏んじゃったのか。だとしたら、すぐ皆に謝らなくちゃ。


 それとも、私なんか変なこと言った?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る