第34話
だとしたら、嬉しいな。
なんて思ってニコニコしていると、隣から美影があたしの右手をつねってきた。
「いたっ!」
皮膚を小さくつままれるのは、普通につねられるのよりも痛い。
あたしはお箸をおいて右手をさする。
少し、赤くなっている。
「なにするのよ、美影!」
「うるせぇな。白堵にばっかりニヤニヤしやがって」
へ?
あたし、そんなにニヤニヤしてたかな?
自分の頬に触れて、首をかしげる。
すると菜戯が「嫉妬か? 美影」と言い、メガネを直した。
嫉妬?
美影が、あたしに?
そんなまさか。
と、思っていると。
「悪いかよ」
と、聞こえてきてあたしは目を見開いた。
美影は少しだけ頬を赤らめて不機嫌そうな顔をしている。
「花火を見たときに告白までしやがって、ぬけがけすんじゃねぇよ!」
そう言って、美影は白堵の頭をグーでたたいた。
痛がっている白堵はかわいそうだけど、でも……美影、あたしのことが好きなの……?
そう思うと、あたしの心臓はドクドクと音をならす。
どうしよう。
ちょっと……いや、すごく、嬉しいかもしれない。
頬が徐々に赤くなっているのが、体温で自分でもわかった。
「ちょっと待てよ。ここにいる4人は全員月奈のことが好きだ。ぬけがけが許されないのであれば、それはお前もだ。美影」
「はへっ!?」
真剣な表情でそんなことを言った菜戯に、あたしはキョトンとする。
今、なんて言ったの?
ここにいる4人は全員あたしのことが好き……?
ここにいる4人って、妖精4人のことだよね?
美影と白堵だけじゃなくて、菜戯と汰緒もあたしを好きってこと?
待って、そんなこと、信じられるわけがない!!
混乱した状態で、4人を見つめる。
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