4、マスターからの言葉
「んっ!?」
「お?よく眠れたか?」
「…………変な夢見てた」
「夢?」
どうやら眠ってしまっていたらしく、横にいたタケルが呑気にコーヒーを飲んでいる。
はぁ……、夢だったのか……。
タケルが座っている反対側の席には達裄さんが座っていて、俺の反応に興味が湧いているようである。
「変な夢ってどんな夢?」
「か、神様とセッ●●する夢。いやぁ、ちょっと思い出すだけで鳥肌が……」
「なんじゃそりゃ?」
「やったじゃん!童貞卒業じゃん」
「ちょ!?変な弄りやめてくださいよ!?」
急に中の人や、師匠である達裄さんのサディストな面が覚醒する謎の夢だった。
合法ロリ?
ロリババア?
そんなの知らん。
俺はエニアが大好きであり、変な枠にとらわれない。
とかなんか、わけわからん思考に支配されていた……。
概念さんって、意外とふにゃっふにゃっな声も出せるんだな……。
あんなところも褐色だし、沢村ヤマの身体にかけてあるモザイクすらエニアには無くてやばかった……。
身体にモザイクがないとか、これが神様ってやつか。
女の子の身体にはモザイクがある説って嘘なのかよ!?
「疲れてるんじゃないの。もっと自分を労らないと」
「マスター……」
そういや、今野郎3人でマスターの喫茶店に来てたんだっけか。
ここで女の顔を見たら欲情しそうなので、野郎の顔を見ているくらいがちょうど良いかもしれない。
『ちょっとマスター!キッチンペーパーどこ!?』
「2階の棚にあるよ!わからなかったら部屋にいる咲夜に聞いて!」
『うっす!』
「っ!?」
キッチン側からヨルの声がしてドキッとする。
ちょっと息子が反応しかけた……。
多分、あと1時間くらいは彼女達やヒロインたちを視界に入れられない……。
十中八九息子が立つであろう。
いや、彼女に息子が反応するのは悪いことじゃないがタケルと達裄さんの前では流石に嫌過ぎる。
「部活かなんかで課題出されたらしいね」
「そうなんすよ」
「新入部員3人以上って壁がでけぇ……。シーナ、ローゼ、マリアを揃えなくちゃいけねぇんだよ」
「なんか壁のマンガで読んだな、それ」
達裄さんとマスターが「ふーん」って感じに俺とタケルの話を流す。
「そういや、2人はなんの部活してたんすか?」
「俺は写真・新聞・文芸部」
「なんすか、そのモリモリな部活」
武道派な達裄さんらしくない、文化系な部活で驚いた。
バスケとかサッカーが似合うのに。
「友人が部活入ってたから流れで入っただけだよ」と、達裄さんは特になんの話題にもならないという態度でコーヒーを飲んでいた。
「マスターは?」
「僕は演劇部に所属してたよ」
「あははははは!」
「ふっふふふふ!」
「はははははは!」
「なんで爆笑されるのさ!?」
「に、似合わねぇぇ!」
「うるさいなぁ。そういうのにのめり込んだ時期があるの!それだけ!」
マスターも、結構黒歴史持ちらしいからなぁ……。
たまにこういう過去を聞くと、現代のギャップに驚くんだよね。
「あれやってよマスター!犬神家!」
「一発ギャグみたいなノリで要求するんじゃないよまったく……」
「やっぱり演劇部ってロミジュリするの?」
「とんだ偏見だ」
マスターに演技要求をしても『NG』であった。
『なんだよぉ』的に3人で弄りながら、マスターを振り回していた。
「にしても、秀頼とタケルも高校2年かよ。子供の成長って早いな」
「本当にそれ。もう2年とか早すぎよね」
「…………」
いや、マジで早い。
豊臣光秀人生含むなら、俺も達裄さんとマスター側の人間だから。
あっという間に高校生なって童貞の焦りが日々日々強くなりつつある。
「人生の先輩として、ほらマスター。なんかコメント送らないと」
「え?僕だってロクな人生送ってないんだけど……」
昔ヤンチャな性格だったマスターより、俺たちに何かコメントを送る流れになる。
「とりあえず、後悔しない高校生活にしなさい。自分の息子に素直に!以上!」
「下ネタかよぉ」
「うるさいよ、君!君、高校生じゃないでしょ!」
達裄さんがニヤニヤ笑いながらマスターを弄っている。
下ネタを混ぜたのは、照れくさかったからってわかってるよマスター。
「あたたかい目」
「お前、青狸みたいな反応してバカにしてんな!?」
一瞬で俺の思いやりの目がマスターからヘイトを買った。
流石、悪役親友のおっかない目付きの男であると自分のことながら原作に引っ張られていることを自覚したのである。
なんか久し振りに野郎共と話した気がするなぁ……。
彼女たちも大好きだけど、やはり俺だけ異性なこともあり遠慮がちになっているところがある。
この面子なら、遠慮する必要もないし、彼女たちとは違う楽しみがある。
「……あー。うめぇ……」
苦いコーヒーが舌を通る。
あったけぇ……。
「おーい、マスター!キッチンペーパーねぇぞ!」
「こないだウチがマスターに買ってきてってラインしたぞ!」
「あ……」
ヨルと咲夜が見えた瞬間、俺の息子がめっちゃ起き上がった。
隣の2人にバレないように、テーブルをより深くに椅子ごと押して下半身を隠す。
エニアの夢のムラムラが再発した……。
くっ……。
ヨルと咲夜とのさんぴぃを思い浮かべるなんて最悪だ。
そうやって頭を抱えていると、ドンと右側の背中を叩かれる。
やっぱり達裄さんには気付かれたのか……。
彼は無言でわざとらしく目を瞑りながら口元をピクピク動かしていた。
心で大爆笑してるんだろうなぁと思うと死にたくなった。
†
マスターは昔、滅茶苦茶ヤンチャであり、金髪ライダー喧嘩番長でした。
第9章 連休の爆弾魔
番外編、カフェラテ
こちらを参照。
秀頼は女の子の裸は自動でモザイクがかかると思っているピュアボーイである(前世からそう信じている)。
クズゲス世界はゲーム世界ですが、自動でモザイクがかかるシステムなんてものもありません。
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