19、一ノ瀬楓は求める
「じゃあ、帰ろうか」と、誰かが言った一言で、道を引き返す。
1番の
「……?」
くいっと服を引っ張られる。
なんだ?誰だ?、と服を引っ張られながら人の気配に気付いていた。
「お疲れ、明智君。1番後ろになろうとするなんて気が利くね」
「な、なんすか楓さん……?からかわないでください……」
というかこの人、俺のこと嫌いだったはずだ。
なんかの威嚇しに来たのかと、ちょっとだけ後ずさる。
「ん?」と、それに気付いたのかジトーと睨んでくる。
「なんで下がるの?」
「い、いや……。俺のこと嫌いだったみたいだし、遠慮してるんすよ……」
「もう、今更じゃん!ずっとくっついてたじゃん!」
「いや、廃墟出たらリセットされるかなって……。端から見たら女10人以上キープしているみたいなクズ男な自覚あるんすから……」
「それは自覚必要だよね、うん」
悠久を先頭にしたみんなが徐々に道に入っていく。
そろそろ殿の出番が来そうだ。
「じゃあ、行きましょうか、楓さん」
「待って、明智君」
「ん?」
声をかけて、先に道を譲ろうとした時だった。
それを遮るように楓さんから名前を呼ばれる。
「わた……、私も……」
「……楓さん?」
「か、彼女に……して欲しい……」
「…………え!?え!?か、楓さん!?」
「ずるい!みんなばっかり!私も……、明智君すき……」
「っ……!?」
あれ?
このゲームの世界って一夫多妻だっけ……?
で、でも叔父とおばさんは2人だけだし、達裄さんは結婚したくても悠久が邪魔するとかなんとかで出来ないとか……。
ど、ど、ど、どうなんだ?
「ちょっとー!?楓ちゃんに明智君。帰るよー!」
「か、彼女が1人くらい増えても良いでしょ!つ、つり橋効果だってのはわかってる……。でも、ドキドキが止まらないの……。ここで、一期一会にしたくない……」
「か、楓さん……」
「楓ちゃん!?」
ノアが大きい声を出して楓の名前を呼ぶ。
それに気付いたゆりかが「師匠!?」と、怪しい雰囲気なことに気付く。
そして、連鎖的にみんなへと知れ渡っていく。
「お、俺は……」
「彼女がたくさんいるからっていう理由で振らないで!私が好きか嫌いかで判断して!……別に、今答え出さなくても良いから」
「好き、なんだと思う」
「だ、だよね……、迷惑だよ…………?え?好きなの!?」
「あんなに近くにいたら……、意識するっすよ……」
絵美と円にもドキドキしたけど、2人と同じ距離感でくっ付けられたら意識しない方が無理って話だ……。
それがつり橋効果による好きなのか、本当に好きなのかはわからないのだけれど……。
「あらあら、楓ったら傷心旅行で彼氏作っちゃった」
「だ、大胆に行ったね楓ちゃん……」
「お兄ちゃん!?」
「まあまあ、せーちゃんや。英雄色を好むと言うじゃないか。兄がモテモテで鼻が高いでしょ」
「なんでウチの妹は即受け入れてんの?」
「もうぶっちゃけ12人も13人も変わらないんすよ!」
「和……」
驚愕と嫉妬と諦めの感情が、全員にぐちゃぐちゃと混ざり合うのが伝わってきた。
でも12人はOKなのに、楓がNGな理由は誰にも指摘出来なかった。
もしかしたら、自分がその13番目になる可能性があったからかもしれないからかも、とかなんとなく全員を見ながら察してしまう。
「どうするの絵美?」
「はぁぁ……。楓さんに西軍規約を送りましょう……。永遠、お願い……」
「うん、わかった」
「どうせ、わたし負けないし!」
「私だって秀頼さん、譲る気ないし!良いですよー?これから倍増えたって!」
「26人はないでしょー!アルファベットですよ、アルファベット」
「
絵美と永遠ちゃんの闘争心がめっちゃ聞こえるし、見えるんだけど触れないでおく。
なんで、こんなに嬉しいことしか言ってくれないんだろう……。
「よろしくね、明智君!」
「よ、よろしくお願いいたします……。楓さん」
「オイ、秀頼。ウチはお前と全然イチャイチャしてないぞ」
「私もしてないです!」
「私はし足りない!」
「あー、ちょ!?ま、待ってぇ!」
俺の意思や、意見は通ることなく、全員にもみくちゃにされた。
それを遠い目で悠久とノアと小鳥に見られていた……。
†
クズゲス読者様へ。
先日の2年生以降のご意見ありがとうございました。
補足なども多いので、今のままの更新の方が良いのではないかや、
結構、新作としての発表を否とする意見が多く見られました。
悩んだのですが、そちらの要望が多かったのでこのままこちらの小説で発表していきます。
多分、あと数ページでハーレム1年編が終了し、ハーレム2年編が幕を開く予定です。
久し振りに秀頼のヒロイン攻略編が始まるかと思うと気が重い……。
楓について、年上ヒロインも欲しいやん!ということでハーレム入りです。
番外編で、ちょいちょいこの13人ハーレム編を展開していく予定で進めます。
今回はたくさんのご意見ありがとうございました!
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