20、明智秀頼は足を運ぶ

彼女が12人……。

誕生パーティーが終わった頃にはたくさんのプレゼントを貰ったと同時に、女の子の猛アタックが凄かった……。

俺の知っている彼女らってあんなに俺にガンガンアピールする子だっけ?って考え込むくらいに普段とのギャップが違い過ぎた。


ま、まぁ永遠ちゃんとイチャイチャするとか、尊すぎて悪い気はしないが……。




(12人の女を垂らすのはどうなん?)


お前が突っ込むのかよ!?

何常識的なこと言ってんの!?


原作の明智秀頼はトータル30人は抱いた槍朕だろうが!

他人事みたいに言うんじゃないよ!


(原作の俺がやらかしただけで、今の俺がやったわけじゃないし……。それに絵美とは別に2~3人と付き合っては捨ててを繰り返して30人越しただけだよ)


もっと鬼畜じゃねーかよ原作の俺……。

もう1人の秀頼の言葉に突っ込みながら俺はとある場所に向かっていた。






ゴクリと喉を鳴らしながら、とある一軒家のインターホンを押す。

『はーい』と中から女の声がして、ちょっとそわそわする。


「何かご用ですか?…………って、なんだよ秀頼じゃん」

「あ!どうもこんちわっす音さん」

「あー、兄貴ね。兄貴ね。部屋に居るからほら上がれよ」

「お邪魔しまぁす」


目的の人物の妹である遠野音さんの後ろについていく。

相談相手は女慣れしてそうな達裄さんである。


「おーい、兄貴ぃ。秀頼来たぞー」


音さんが、兄の部屋をノックしてから扉を開けた。


「あっ!?強すぎだってユキ兄!?」

「お前が半分くらい手抜いてって注文じゃん」

「おっと、残念ね葉子姉さん!ユキがダメならあたしを狙おうなんて浅はか!おらぁ!?」

「げっ!?めぐりにやられた!?」

「あたしはユキと違って手を抜かない主義なの」

「どやってるけど、お前今かなり隙だらけだぞ。はい、残念」

「あっ!?ちょ、ちょっと!?」


テレビから『ゲームセット』というアナウンスが鳴り響く。

3人でスマブラをしている姿が確認できた。

音さんと俺が顔を見合わせた。


「じゃ、ごゆっくりー」

「無理無理無理無理無理!音さぁぁぁぁん!」


音さんが我関与せずみたいな顔をして立ち去った。

その俺と音さんに気付いたのか「ん?」と部屋から声がする。


「あ、秀頼じゃーん」

「ぐ……」


リーフチャイルド……、もとい遠野葉子さんに発見されてしまった。


「音に見捨てられてんじゃん」

「兄以外には厳しいよねあんた……」


遠野めぐりさんという末っ子に鼻で笑われた。

こんなブラコンとシスコンの溜まり場になっていた時に部屋に来るのはしくじったなぁ……。


「達裄さぁぁぁん!あなたの妹が虐めてくるんですけどぉぉ!」

「まぁ、秀頼を虐めたくなるのはわかるよ」

「なんで理解を示すんすかぁ!」


妹を叱れない系兄貴はめぐりさんに共感していた。

このダメ兄貴ぃ!


「ユキ兄!ユキ兄!次、マルオのRTAしよ!私が実況している風に解説するから!」

「あ、YouTubeあげる?」

「って、ちょっとぉぉ!?リーフチャイルドは廃ゲーマーで売っていてインチキするの!?」


鹿野が、リーフチャイルドのゲーム実況が好きで、メンバーシップに入っている話も聞いたことある。

まさか、それが真相だったとは……。


「遠野家あるあるね」

「いや、知らねぇし!」


めぐりさんがうんうんと頷いている。


「別に私が廃ゲーマーなのは間違ってないよ。ただ、私がプレイするよりユキ兄のスーパープレイする方が視聴者受け良くて……」

「切実だなぁ……」


アイドルにはアイドルの苦悩があるらしい。


「って、どうでも良いんすよ!そんな話!達裄さん!?」

「ん?」

「相談乗ってください!」

「うん、乗るよ」

「乗る前に、葉子さんとめぐりさんどうにかならないっすか?」


良い大人が兄の部屋でゲームしている人に彼女が12人出来た話を聞かせたくない。

しかし、部屋を出そうな空気もない。

葉子さんとめぐりさんは、兄の部屋でかなり寛いでいた……。

本当にどうしよう……?

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