ギャルゲーのヘイトを溜めるクズでゲスな親友役として転生してしまいました。そして主人公が無能すぎて役にたたない……。

５５、佐々木絵美は美鈴を甘やかす

西軍メンバーの圧倒的な人員。

しかし、まだ知らない顔も多いということで自己紹介をする流れになる。

最初は誰から紹介しようか？と少し揉めて、リーダーの絵美から右にいる人へ続くことになる。

「わたしは佐々木絵美だよ！好きなことはオシャレとか料理作ることかな。大好きな人は秀頼君です！……こんなんで良い？」

今から小学生時代から知る理沙や円に自己紹介をすることに恥ずかしい気持ちがあるが、美月とは今日はじめて会ったので覚えてもらえる様な感じにしていた。

「好きなことオシャレと料理か……。絵美よ、出来る女アピールが露骨だな」

「はい、そこうるさい！」

咲夜から野次を飛ばされて、軽くあしらう絵美。

「ほぅ、佐々木絵美というのか」

「はい。美月で良いかな？よろしくね！」

「うむ。よろしくな絵美」

美月が絵美とすぐに呼び捨てで呼びあえる関係になり満足していた。

その後、「そうだ」と絵美の顔を見ながら美月が呟く。

「どうしました？」

「絵美の顔？雰囲気か？なんとなーくわたくしのクラスの女子に似ているもんでな」

「やっぱり美月さんも思いますよね。ボクも絵美さんって詠美さんに似ているなって感じてました」

「詠美……」

美月と遥香からの指摘に「なるほど」と絵美が頷く。

理沙や永遠辺りは『誰？』と顔をしかめていた。

「詠美ちゃんはわたしの従姉なんだよ」

「ほう、そうか。やはり気のせい…………んん！？」

「やっぱり他人のそら似…………えぇ！？」

「見事なノリ突っ込みだな」

ゆりかから弄られる美月と遥香だったが、２人の意識は絵美が詠美と親戚という身内関係だったところに持っていかれた。

「え？本当に？」と遥香が食い付く。

「わたしの住んでいる家は元々詠美ちゃんの家族が暮らしていた家だしね。それくらいには身内としての付き合いはあるよ」

「詠美さんと身内だったなんて……。顔もだけど盛り上げ上手なコミュ力も少し似ていると感じていました」

「コミュ力に関して、詠美ちゃんには勝てませんよ」

幼い時から大人相手にもズバズバと文句や煽る行為の絶えない詠美の姿を見てきて『あれは凄い』と少しだけ誕生日の早い彼女を尊敬していた。

絵美以上のコミュ力持ちな反面、警戒心は高めで信頼している友人は絵美より少ない。

クラスでは遥香と美月と以外ほぼ絡まないが、男子相手にも一歩も譲らないメンタル持ちである。

「あ、そうだ」と詠美とは誰かはわからないながらも疑問が浮かんだ理沙は絵美に質問を投げ掛けた。

「その詠美さん？って人が絵美さんの家に住んでいたってことは隣の家の明智君とも知り合いだったりするの？」

「秀頼様の隣の家！？」と美鈴が反応するが、「ややこしくなるからそういう話は後にしよ！」と永遠にやんわりと止められていた。

「秀頼君からも、詠美ちゃんからも話題を出されたことないんだよね……。知り合いではないんじゃないかな……？」

「そうですか。知り合いなら西軍入りしそうでちょっと警戒してました」

「こ、怖いこと言わないでよ……。流石に身内が西軍はシャレにならないって……」

絵美が心で『それだけは絶対にやめて欲しい……』と何回も唱えるのであった……。

「…………」

原作の展開を知る円だけが、秀頼と詠美はもうとっくに面識を持っていることを知っているので、後ろめたい気持ちで下に目が行き、誰とも顔を合わせないようにしていた。

「じゃあこんな感じに右回りで自己紹介していきましょう。次は美鈴です」

「ちょっと永遠交換して」

「２番目も３番目も変わらないでしょ！？ちゃちゃっと紹介しちゃいなよ！」

「仕方ないわね……」

美鈴がこの人数に少し怯んだが、意を決したとばかりに口を開く。

「深森美鈴よ。美鈴の将来の旦那様は秀頼様で、好きなタイプは秀頼様、憧れのタイプは秀頼様よ！」

「もうちょっと中身のある紹介しよう！？」

中身スカスカな自己紹介に、絵美が隣から突っ込んだ。

「ごめんなさい、絵美。美鈴にはこれしか語れることがないの……」

「だとしたらその人生が狂ってるよ！これからわたし達とたくさん交流してもっと美鈴（じぶん）の魅力を見付けられるようにしようね！」

「絵美ぃ……」

「はいはい、泣かない泣かない」

絵美があやすように抱き付いて、慰めるように背中をポンポンと叩く。

人に優しくされた経験の少ない美鈴は戸惑いながらも、絵美に甘えていた。

「その詠美って奴が絵美（これ）よりコミュ力高いとか、どんな奴だ？」

「あはは……。でも、詠美ちゃんは甘やかせてくれる人ではないけどね。でもコミュ力はヤバい」

詠美と絵美を比べながら遥香は答えると、咲夜が感心したような声を出す。

「絵美ですらウチの１００倍はコミュ力ありそうだ」

「咲夜先輩、ゼロに１００をかけてもゼロなんですよ」

「ゼロだとしたら逆にウチのコミュ力凄すぎじゃないか！？」

和の毒のある突っ込みに、やたらポジティブな反応を示す咲夜。

全然進まない自己紹介に自分の番が来るのは何分かかるのかと、最後の順番の円がため息を付いた。

みんなが好き勝手に話を脱線させながら、ようやく美鈴の次の人が自己紹介を始めた。

「次は私の番ですね！宮村永遠です！勉強が得意かな。秀頼さんが私のヒモになってでも、くっ付く覚悟があります。だから勉強して秀頼さんを養える人を目指しています！」

「ちょっと待て。永遠はみんなと面識あるだろ。よし、次だ」

「私の扱いが雑過ぎ……」

咲夜の正論で永遠の番がスキップされたのであった……。

†

絵美と美鈴は、少し百合に片足突っ込む関係かもしれない。

次回で３００話で番外編を連載する予定でしたが、かなり話が中途半端なので全員の自己紹介終了後に３００話突破記念話を投下します。

内容はかねてより読者様よりリクエストのあった原作バッドエンドとしてちょいちょい語られる『秀頼とずっ友エンド』を掲載予定です。

何か他のシチュエーションを書いて欲しい人はコメントに残すと展開するかもしれません。

原作時系列でもクズゲス時系列でもなんでも書きます。

例)

秀頼と絵美の幼少期

光秀と来栖さんの書き下ろしエピソード

秀頼の気持ち悪い永遠への思い

秀頼のギャルゲー講座

スタヴァネキの独り勝ちEND

スタヴァネキが原作で死ぬシーン

秀頼とスタヴァネキとの出会いシーン

などなど

こんな風な番外編のリクエストがあれば優先して書き下ろします。

上記以外でもお題があれば暇な時に掲載します。

ラブコメそっちのけのギャルゲー講座は書いてみたいかも……。

次回、久し振りにヨル回！