7、明智秀頼は昼食を考える
今日は午前授業で終わり。
俺はウキウキして帰り支度をしていた。
これから半日何をしよっかなー?とか、昼飯どっかに外食しよっかなー?とか考える。
予定を考える時間が楽しい。
俺はどうしようか考えていく。
ちょっと電車で遠出して最近人気が上がっている安くてデカ盛りメニューを提供している店に行こうかとか考える。
タケルも『良い店だった!』と太鼓判を押していたしな。
それとも昨日バラエティ番組で特番をしていたファミレスのハンバーグも良い。
あんな美味しそうな特集をされて行くなっていうのが無理だ。
今朝に絵美も『あのハンバーグは行かないとダメでしょ!』と言い合ったくらいだ。
それともマスターの喫茶店……それはないな。
なんかいかにも冷凍食品みたいなトーストを食べたい気分ではない。
円が『あれ微妙よね』とか同じ感想を持っていたしな。
それとも最近出来たばかりのうどん屋も良い。
上松が『凄く美味でした。師匠も行くべきです!』とか言いながら10分以上魅力を語られたら気にもなる。
それともヒトカラでランチも良い。
永遠ちゃんが『安くてクオリティ高い料理出るんです』とか推してくれた店も候補としてありだ。
最近ストレス溜まる毎日だから、カラオケでデスメタルを叫んでストレス解消もありだな。
それともマスターの喫茶店……いや、ない。
咲夜から『マスターが良い仕入れ先の契約取れた』とか言われたけど冷凍食品には変わりないだろうし。
それともコンビニの唐揚げも良い。
和から『最近のは安くてジューシーです』なんて唐揚げを語られた。
コンビニにはもっぱら立ち読みにしか行かないから、ついでに唐揚げも買っていくなんてのもありだな。
それとも人気のパン屋も良いな。
理沙から『3時頃には売り切れるけど美味しいです!』と勧められるパンは食べてみたい。
今日なら間に合うだろうしな。
それとも回転寿司も良い。
スタチャが『マグロ美味しいぞ☆』とかCMしてるのを見て今月中には行きたいと考えていたところだ。
星子にどれくらい美味しいか聞いたら『達裄さんが連れてってくれる寿司屋が1番美味しい』とか身も蓋もないこと言われたけど。
達裄さんは星子には回らない寿司屋とか連れて行くけど、俺にはそんなサービスしてくれない人である。
それともマスターの喫茶店……それはないな。
マスターが『在庫余った』とかで明智家にたまに冷凍の食べ物を俺に提供し『明智家で食べて』と渡される。
わざわざそれを金出してまで食べたいとは思えない。
それともメイド喫茶だな。
達裄さんが『知り合いのパーフェクトメイドが教育したエリートメイドが歓迎してくれる』と熱の入ったメイド談義をしてくれた。
クーポン券も渡されて是非行ってきなと言われている。
あぁ、迷う……。
今日の昼飯何をするかで迷いまくる……。
やっぱりタイムリーに昨日の特番でしていたハンバーグかな?
たまには1人でデスメタルしたいし、カラオケもありだな。
メイド見てぇしな。
この3択で絞って考えると……。
メイド喫茶に行くしかねぇよな。
決めた。
今日はメイド喫茶でメイドと戯れに行く。
そう決めた俺はウキウキで教室を出て行こうと歩みを進める。
「まぁ、待てって明智先生」
「ん?」
気分はメイド。
食事はオムライスで決まった俺にタケルから肩を捕まれて呼び止められる。
どうしたんだろうとタケルへ振り向く。
「お前腹減ってない?」
「腹減った」
「お前これからどうすんの?」
「メイド喫茶でキュンキュン萌え萌え☆な時間を堪能してくる」
「言ってて恥ずかしくないか?」
「こういうのは恥ずかしがったら負けなんだよ。萌えって言われたら萌えって返すのが常識だよ」
「いや、知らんけど……」
そういえばタケルとも10年近く付き合いがあって萌え談義をしたことなかったか。
是非、その道のプロである達裄さんからマスターの喫茶店で授業をしてもらうべきかもしれない。
「秀頼、残念だがその予定はキャンセルだ」
「てめえが勝手に決めんなよ!俺にはメイドが待ってるんだ」
「俺の奢りだ」
「ほら行くぞ」
よし、メイドの予定はキャンセルだ。
仕方ない、割り勘なら行かなかったが奢りなら行くしかないか。
「その変わりなんだけど……」
「どうした?」
「男でも女でも良いから1人連れて来てくれない?」
…………だんだんと変な記憶が開いてきた。
原作でこの展開見たぞこれ……。
こいつ……、俺にわんこラーメンをさせるつもりなんじゃねーか?
「………………ごめん。今日帰るわ。メイドが俺を呼んでいる」
「まぁ、待てって明智先生。俺の奢りなんだわ」
「……」
ギフト使って逃げるか?
いや、こいつギフト効かねーんだわ!
やべぇ、やべぇ、やべぇ!
俺の中の警鐘が鳴り響く。
わんこラーメンなんていう不毛な争いは絶対しない。
「な、何食べるつもり……?」
「ふふーん。秘密だ。ただ偶数の人数が欲しいな」
「お、お前と理沙で偶数だろ?」
「つまんねーだろ?楽しみはたくさんの人でシェアしないと。な?」
「…………」
やめろ、お前やめろ。
わんこラーメンだろ?
わんこラーメンで俺と競い合いたいだけだろ?
明智先生、そんなのやりたくないなぁ……。
「俺には生き別れたメイドがいるんで……」
「まあまあ、明智先生!わんわんやろうよ」
「やだぁぁぁぁ!俺には泣き黒子で身のお世話をしてくれるロングスカートメイドが待ってるんだぁぁぁぁ!」
わんわん言っちゃったよ!
確定した、わんこラーメンだ!
「ん?秀頼君と十文字君で何してるの?」
「おー、佐々木!俺の奢りで飯行かねー?こいつ捕まえたとこ」
「行かねぇ!絶対行かねぇ!メイドが俺を待ってるんだぁぁぁ!」
「じゃあわたし行く。秀頼君もメイドよりわたしたちと一緒に行きましょう」
「…………」
運命とは残酷である……。
俺は十文字家の住むマンションへと3人に連行されてしまうのであった……。
これが世界の選択。
……わんこラーメンの運命すら回避できない俺に死亡フラグなんか回避できるわけないんじゃないかと思い、心で号泣した……。
†
第6章 偽りのアイドル編
第111部分 番外編、十文字理沙好感度アップシナリオ
わんこラーメンの流れを忘れた方はこちらを参照してください。
秀頼がデスメタルを歌うのは前世の父親の影響 (メイクはしません)。
もっぱらストレス発散のヒトカラ専用。
第28部分 10、夏休み目前
第163部分 4、細川星子は質問に答える
光秀君・秀頼君が来栖さんや星子とカラオケに行く描写がありますが、引かれるのがわかっているため人前でデスメタルは歌いません。
彼は人前だと90年代の曲を歌うと思います。
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