2、谷川咲夜は乱入する

前を兄妹が並び、その後ろを俺、絵美、津軽で並び新しい学校に向かう。

原作キャラクターが蔓延るかもしれない中学の生活。

まんま原作が始まる高校生活。

あと6年俺は頑張って生き抜かないといけない。


新生活、がんばるぞ!と気合いを入れる。


「ようやく来たか、秀頼!ウチは貴様を待っていた」


これからどんな危険な日常が始まるのだろうか?

まだ見ぬヒロイン達の死亡フラグを回避しまくってやる!


「無視しないでぇ……、お願いだから反応してぇ」

「な、なんだお前?」


突然横から抱き付かれて驚愕する。

俺が真面目にシリアスな空気にしているのに、周りが俺をシリアスにさせてくれない。


「そ、そのコーヒーカップの付いたヘアゴムは咲夜か!?」


え!?

まさかの谷川咲夜の登場に驚く。

タケルらも突然沸いた咲夜に視線が向く。


「貴様は、ヘアゴム無いとウチって気付かんの?」

「いつも喫茶店でしか会わないから喫茶店の地縛霊かと思ってた」

「ウチの扱いが酷い……」


しかも見た感じ新入生。

同い年だったのかこいつ……。


あれから2週間に1回くらいのペースで咲夜と喫茶店で会っていたが、咲夜のプライベートに興味がなかったので年齢とか知らなかった……。


「誰ですかこの子?」

「あぁ、……こいつは親戚の子」

「マスターの娘だ」

「マスターか誰か知らんのに、そんな紹介があるか!」


常識知らずだと常日頃思っていたが、本当に常識知らずな子だった。

そして、咲夜は質問してきた絵美に視線を向ける。


「この女からは秀頼と同じオーラがするな」

「え?やっぱりそう?ふふっ、嬉しい」

「あぁ……。秀頼と同じでクズでゲスで性根が腐ってるオーラを感じるな」

「なんで円もだけどみんなして毎回わたしをディスるところから始まるの?」


なんだろう……?

これまでのゲームの流れを断ち切っているはずだが、俺や絵美の雰囲気は原作と対して違いがないのかと心配になってくる。


「ディスってないです。個人的な感想です」

「もう!なんなんですかこの子!」

「個人的な感想って言えばなんでも許されると思うなよ……」


絵美の扱いが可哀想になりフォローにまわる。

咲夜は絵美の味方にまわったのがちょっと気にくわなそうだ……。


「それで、あなたは誰なの?明智君とどんな関係なの?」


津軽が目で『何こいつ?』みたいな怪しい目で見ている。


「ウチは谷川咲夜だ。このキッズと親戚ってのは間違ってないぞ。秀頼は、ウチの父親が経営している安らぎと快楽に飢えた大人たちが楽しむ店の常連客なんだ」


タケルらの空気が一瞬で凍り付く。

流石にこういった言葉が通じる年齢になって俺はみんなの成長を感じるよ……。


津軽は俺をゴミを見る目で見てるし……。


「そ、そうなんですね……。明智君そんな店の常連客なんだ……。てかどんな店なんですか?私も気になります!」

「あぁ。お金を支払い気持ち良くなって帰っていただく。そういう大人のお店だ」


フォローに入った理沙も俺をゴミを見る目で見てきた。

俺の味方が消えたと思った瞬間だ。


「そんなこと秀頼君はしません」

「絵美……」


絵美だけは俺を信じてくれた。


「何回も店にくるぞ。しかも秀頼は金を使わないで搾取だけするハイエナみたいな男だ。たまにウチのを飲んでくれる」

「ガーン……。秀頼君にはガッカリです」

「負けるなよ!」


まさか原作外からの影響で、秀頼がクズでゲスな悪役親友役に持ってくるデウス・エクス・マキナな役割を持つのが谷川咲夜の役割じゃないだろうな!?


咲夜の誤解を招く言い方を止めさせて、喫茶店だということを全員に認識させた。


「別に俺は男だから軽蔑しねーぞ」

「わたしは秀頼君のこと誰よりも信頼して、信用してますからっ!」

「兄さんに悪影響がないならOKです」

「明智君がゴミなのは変わりませんよ?」


1人だけすっげー言葉悪い女がいるが、変な誤解を解けただけマシである。

タケルが1番優しくて、俺がタケルルートに行きそう……。


「あれだな……、貴様の友人は変人しか居ないな……」

「君が1番の変人だよっ!?」


咲夜から気を遣われたマジトーンなのがグサリと来た。


「いや、ウチより秀頼のが変人だ。変人同士、ウチと同じクラスになれると良いな!」

「ちょっと!?また!?また、秀頼君女友達増えてるの!?」

「え、絵美さん……落ち付いて……」

「まぁ、……変人は友を呼ぶってことね」

「俺が秀頼と同じクラスになるんだぞっ!」

「…………」


このメンバー全員と同じクラスにはなりたくないと心の底から思うのであった。

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