第53話~恵美サイド~
「舞が図書室で死んでるんだとしたら、その死体を放置してはおけない」
「でも、どうするつもり?」
花子の質問にあたしは一瞬視線をそらせた。
これはあまり言いたくなかったけれど、伝えるしかない。
「窓から落として、破損させる」
自分で解体する前にバラバラになっていれば、さすがに先生も手を出さないだろう。
先生が手を出す前に、きれいに掃除されるかもしれない。
「なんで、人間の肉なんて食うんだよ!」
大志が自分の髪の毛をかきむしって叫ぶ。
「そんなのあたしが聞きたいよ!」
つい、あたしも叫び返してしまった。
それほどまでこの学校は狂っていたということなのかもしれない。
舞の担任の先生だって、あんなに優しそうだったのに結局商品を傷つける人だった。
ここまで狂ってしまったからこそ、こんな法律が実現しているんだ。
「早く探しに行こう。もう昼休憩が始まっちゃう」
あたしはそういい、一番に保健室を出たのだった。
☆☆☆
誰もついてきてくれないかもしれないと思ったけれど、あたしの後ろを大志がついてきてくれた。
その後に花子も保健室を出てくるのが見えた。
正直ひとりじゃ舞の死体を見つけたときにどうすればいいかわからなくなっていたかもしれないから、安心した。
3人で無言のまま図書室へ向かう。
ドアの前まで来て立ち止まり、あたしは深く息を吸い込んだ。
どうか無事でありますように。
舞と彼氏が身を寄せ合って隠れている様子を想像する。
そして勢いよくドアを開いた……。
その瞬間視界に飛び込んできたのは真っ赤な血だまりだった。
倒れている女子生徒の体を包み込むようにして広がっている血。
女子生徒が舞だとわかった瞬間、絶叫していた。
この悲鳴は誰の声?
耳をつんざくような声はどこから聞こえてくるの?
そんなに叫んだら他の生徒たちにバレちゃう。
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