第51話~恵美サイド~

昨日から商品をしていてわかってきたことがあった。



授業と授業の間、15分休憩はどうにでもなるということだ。



生徒たちは次の授業の準備に時間を使うから、あたしたちを探している暇はないのだ。



今日はあまり生徒たちの来ない部室棟のトイレに身を隠していたのだけれど、今のところ誰にも見つかっていなかった。



それところか、廊下を行き来する生徒の足音も聞こえてこない。



放課後も部活は停止されているから、この棟を使うのは有利になるかもしれない。



問題は昼休憩中だった。



生徒たちにとって自由にあたしたちを探せる時間は昼休憩だけになる。



その時間を狙って複数の生徒が動き回るのは目に見えていた。



《大志:どこにいる?》



4時間目の授業がはじめる頃になり、大志からそんなメッセージが届いた。



《恵美:部室棟のトイレに隠れてる。どうかしたの?》



《大志:舞を見なかったか?》



そのメッセージに嫌な予感がよぎった。



舞は彼氏に会うために保健室を出て行ってしまっていた。



《恵美:会ってない》



《大志:戻ってこないし、連絡もつかないんだ》



あたしは下唇をかみ締めた。



もしかしたら、舞は本当に騙されてしまったのかもしれない。



《恵美:今、みんなはどこにいるの?》



《大志:保健室に戻ってる》



《恵美:わかった、すぐに行く》



あたしは念のために聡介にも連絡を入れて、みんなが保健室にいることを確認し、それから行動に移した。



今は授業中だから気を使う必要もなく、本館1階まで早足に向かった。



保健室の前まで来ると部屋の電気が消されていることに気がついた。



念のためだろう。



あたしは最初舞がしていたようにドアを3回ノックした。



すると奥から誰かが歩いてくる足音が聞こえてきた。



「誰だ」



大志の声だ。



「あたし、恵美だよ」



「番号は?」



「001」



あたしは自分の頬に書かれている番号を伝えた。



するとすぐに鍵が開いて中に入れてもらえた。



保健室には舞い以外の全員が集まっていた。



大志がメッセージで召集をかけたみたいだ。

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