第47話

「まさか、行く気じゃないよね?」



怖くなって再度質問をすると舞のするどい眼光があたしを射抜いた。



憎しみがこもっているその視線にたじろぐ。



「あんたはいいよね。彼氏が一緒なんだから」



低い声でそう言われ、あたしは聡介を見た。



聡介も戸惑った表情を浮かべている。



「あたしは自分だけ商品になって、友達もみんな敵になって、だけど彼氏だけはずっとメッセージをしてきてくれてたの!」



舞はそう言うと今まで隠していたメッセージ画面を見せてきた。



そこには彼氏とのやりとりが表示されていた。



《舞、大丈夫か?》



《怪我してないか?》



《図書室なら人が少ないかもしれない》



《学校から出られないって本当か?》



それ以外にもたくさんのメッセージが入ってきている。



どれも舞を心配する内容だ。



それでも花子は「行っちゃダメ」と短く言った。



舞が歯を食いしばるのがわかった。



時間を確認すると、あと1分で授業は終わってしまう。



「あたし、行く」



途端に舞が動き出した。



「やめとけ、罠かもしれないぞ!」



聡介が叫ぶ。



しかし舞はまっすぐドアへ向かう。



あたしが手を伸ばして止めようとしても、その手は簡単に振り払われてしまった。



舞がドアを空けたその瞬間、授業終了のチャイムが鳴った。



「死ぬぞ!」



大志が叫んだが、舞には届かなかった……。

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