第171話 神に創られた存在

(どんどん神界を制圧していく…。たまにやってくるポンコツ神も、すぐに取り囲まれて一方的にボコられてるし。)


コウスケは、仲間達が神界を次々に制圧していく光景を眺めながら、人化した状態で一言も言葉を発せず佇むクロンに話しかける。


「クロン?」


『……。我は神に直接創られた存在…。…創造主に逆らうことはできん…。…すまぬが…神側につかせてもらう…。』


クロンはそう言うと、真剣な表情でコウスケと向かい合う。


(聖剣と大罪武器は、神に直接創造された存在だったな…。)


クロンは目を閉じて、両手を大きく広げる。


『大罪武器よッ!我の呼びかけに応えよッ!―臨願天招―』


クロンの周囲に七つの球体魔法陣が展開され、七つの大罪武器が召喚された。


““”“““““ ……………。””””””“”


大罪武器達は、召喚された後も七つの球体魔法陣の中に閉じ込められていた。


(あの球体魔法陣は召喚するためだけのものじゃないな…。少なくとも拘束と意思を奪う効果が付与されている。)


クロンは、悲痛な面持ちで大罪武器達に語りかける。


『…申し訳ない…。ユニークスキル「合成」発動ッ!』


球体魔法陣ごと大罪武器達が、クロンに吸い込まれていく。


『…グゴォォォォォォォォォッ!…』


大罪武器達の吸収が終わると、クロンは白髪の全く存在に変質していた。


白髪の男は、指先をコウスケに向け魔法陣を展開する。


『…いくぞ…』


―”重力魔法”―グラビティ・エンド―


コウスケの周囲に強力な重力場が発生した。


(グラトニーの重力魔法か…。)


―シン・ユニークスキル「風林火山」―


コウスケは、風林火山の効果で重力魔法を無効化すると、移動系スキルを発動させる。


―シン・スキル「縮地」―


『…お見通しだ…』


縮地スキルを使いクロンに一瞬で接近するも、先回りされてしまう。


―“怒り玉”―


白髪の男は、コウスケの目の前に手のひらをかざすと膨大なエネルギーを込めた球体を生み出した。


『…砕け散れ…』


球体が破裂するとともに、球体に込められていた膨大なエネルギーがコウスケを襲う。


(ラースの怒り玉か…。)


―シン・ユニークスキル「昇華」―


コウスケは、昇華の効果で解き放たれた膨大なエネルギーを掌に収束させ、一振りの刃を作り出した。


「全てを切り裂け。」


―新風魔法「エクスカリバー」―

&

―シン・ユニークスキル「切断」―


風魔法と切断の効果により極限まで強化された一振りの刃が白髪の男を襲う。


白髪の男は、右腕を前に上げる。


『…相殺する…』


―“メタモルフォーゼ”―


クロンは、突き出した自分の腕を向かってくる刃と同じ刃に変化させた。


「コピーなんてさせない。」


―シン・ユニークスキル「保護」―


保護の効果により白髪の男の腕が元に戻り、向かってくる刃が男の右腕を斬り飛ばした。


『…ば…ばかな…不壊の存在である我が…』


コウスケは、同様している隙を見逃さずに追撃をかける。


(このまま勝負をかける。)


コウスケは最上位時空魔法の準備を始める。


…時空間を司りし管理者よ…時の制約を打ち破り…いまここにその力を解放せよ…


―新時空間魔法―「オーバードライブ」―


魔法を発動すると、周りがスローモーションになった。


コウスケは、スローモーションの世界の中で次元収納から漆黒の刀を取り出す。


―無明刀―「神隠」―


(クロンが敵にまわった時のために造った刀…。改めて見ると「咎人の千剣」に似てるな…。)


「いくよッ!」


そして、剣術最強の武技を発動する。


―新武技―「流星剣」―


圧縮された時間の中で、いくつもの斬撃が流星のように光を放ちながら走り抜ける。


『…くっ…』


―“ノロイ”―


白髪の男がコウスケに鈍足効果を付与しようとするが、保護の効果により無効化される。


『…なぜ?…対抗スキルを…こうも次々に?…ギョアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!…』

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