第158話 ブレイブの猛攻

『”鬼気”ッ!』


ブレイブは、オーガニックオーラ改め”鬼気”を身に纏い、周囲剣を操りながら突き進んだ。


アーチャー達も”鬼気”の習得修練をしながら後に続いた。


途中、精霊や他の種族等が捕らえている部屋を発見するとコウスケから支給されたマジックアイテムを投げ込んでから、扉を破壊するというお手軽な作業を行い、捕らわれてた者達をドンドン解放していった。



『フム。アーチャーとランサーが言うよう二、骨のあるやつは居ないようダナ…。』


寂しそうにしているブレイブを、アーチャーとランサーが安堵の表情で見守る。


『旦那様ッ!どのような任務でも前向きに取り組むのが、真の臣下というものですよッ!』


『…そうです。このような地味な任務の積み重ねが大切なのです。』


『そうカ…。深いナ…。耐え忍んだ深淵の先に“道”があるのだな…。』


研究所最奥の大きな部屋の前にたどり着くと、戦国時代の甲冑のような鎧兜と日本刀を装備した2体の赤色と青色のからくり武者が立っていた。


そして、右側の赤色のからくり武者が深く一礼する。


『此度は、憎きユビタスを成敗していただいたこと深く御礼いたします。更には、捕らわれていた仲間達を解放していただき、感謝に堪えません。』


アーチャーは、弓を構えながら質問する。


『感謝してる割には、剣を構えてヤル気満々みたいッスけど?』


赤色のからくり武者は、両手に装備した日本刀を構える。


『ユビタスを消滅していただいたお陰で、自我は取り戻せましたが、侵入者を排除するという命令は残っているみたいですので、恩を仇で返すようで申し訳ありませんが、排除させていただきます。拙者達は、精霊術と武技を使いますので、気をつけてください。…それでは、参ります。』


赤色のからくり武者は、猛スピードでブレイブに接近すると、両腕を交差させながら力を練り始めた。


そして、両手に持った日本刀を横一閃に振るうと、右腕で武技を、左腕で精霊術をそれぞれ発動する。


…武技―真空横一文字斬り―…

…精霊術―バキュリィリッパー―…


交差した二つの真空の刃がブレイブを襲った。


ブレイブは獰猛な笑みを浮かべながら、全身に纏わせていた鬼気を、両手の聖剣と周囲剣に纏わせて、その切っ先を襲ってくる真空の刃に向けた。


『クックッ!武技と精霊術を右腕左腕で同時に使い分けるカッ!面白いゾォッ!』


…鬼技―吸結鏡―…


ブレイブは、鬼気を具現化させて前方に透明な鏡をつくり出した。


赤色のからくり武者が放った真空の刃は、透明な鏡に触れると一瞬のうちに吸い込まれた。


真空の刃が吸収されると、聖剣と周囲剣は朱く変色を始めた。


『この程度、軽く対処してみヨッ!』


そして、両腕を横に広げ吸収した力を解放する。


『武技―陰陽鬼翔八陣・朱記―』


周囲剣が朱いオーラを纏い、円を描きながら放出されていく。


『なッ!なんと、渾身の武技と精霊術が一瞬で吸収された!?…流石はユビタスを退けた猛者ッ!これなら、拙者らを止められるやも知れんなッ!』


…武技―空飛―…

…精霊術―エアロウォーク―…


赤色のからくり武者は、空を縦横無尽に駆け回り、周囲剣を次々に回避しながら不規則な動きでブレイブに接近する。


『クックッ!これを回避したのは、コウスケ様だけだったのダガッ!良いゾッ!もっと貴殿の輝きを魅せてくレッ!』


…武技ー来迅足ー…


移動系武技を使い高速移動したブレイブは、

不規則な動きで高速移動する赤色のからくり武者の動きを正確にとらえると、背後に回り込んで、追撃をかける。


…鬼気―オーガニクス―…


ブレイブから聖剣2本による渾身の袈裟斬りが放たれた。


『ぬぅッ!何のこれしき躱してみせるッ!』


赤色のからくり武者は、更にスピードを上げて袈裟斬りをなんとか紙一重で回避するが、次の瞬間、胴に2本の大きな爪痕のような傷がつけられ、大きく後方に吹き飛ばされた。


『クックッ!どうダッ!見えない斬撃は躱せまイッ!』

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