第126話 同じリアクション

(う~ん。操られている様子もないし、敵対勢力決定だな。しかし、ここの世界に来てから、人間とまともに話し合いができた記憶がないな。話の途中で腕を切り落としてくるなんて、よっぽどこの世界に染まってしまったのか、元々素質を持っていたのか…どっちでもいいけど…。)


「交渉は決裂したから、ウチの敷地に入ってきたら容赦なく撃退しよう。よし。料理再開だ。ユニ、うどんのおかわりいる?」


「もちろんですッ!」


『樹液ゼリーのおかわりもあるでござるか?』



コウスケ達が食事を終えてくつろいでいると、カムイが再び報告に現れた。


『若様、黒目黒髪の集団が敷地内に入ったでござる。また、黒目黒髪の人間の能力もあらかた解ったでござる。女が“切断系の能力”で、男が“異空間系の能力”でござる。女の能力はさておき、男の能力は面倒でござるな。こちらが干渉できない空間に逃げ込むことができるみたいなので、少しずつ進んで逃げるを繰り返されているでござる。』


(自由に安全地帯を創れるタイプの異空間系の能力か…。)


「マジックジャマーとかの妨害魔法で、その空間に干渉できるの?」


『逃げ込まれた跡地に色々試してみましたが、中級程度の妨害魔法では、空間の入口が視認できるようになる程度の干渉しかできなかったでござる。』


(…全く干渉できないって訳じゃないんだな。)


「次に奴等が、その空間に逃げ込んだ時に色々試してみよう。ユニ、時空間の精霊魔纏の準備をお願い。黒、ラストと一緒に空間支配の準備をお願い。俺は、闇魔法でどこまで干渉できるのか試してみる。」


『御意のままに。』


コウスケは手招きをして、退出しようとしたカムイを呼び止めると、精霊樹の樹液で作った飴を次元収納から取り出す。


「新作の樹液飴の味見をしてみてくれる?他のカブトムシ達も喜んでくれるかな?」


『じゅ、樹液飴!?ぜ、是非、その大役担わせてくだされッ!…こ、これもぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!せ、精霊樹様の樹液ではぁぁぁッ!?飴にするなんて…、うぉぉぉおおぉぉおぉおぉおおおおぉおぉぉおおおおおおおぉぉおッ!美味しいぃぃぃぃぃぃぃッ!うぉぉぉぉッ!柑橘系の果汁が入っているでござるか!?酸味があるだけでこんなに味のアクセントになるとは驚きでござるぅぅぅぅぅぅぅッ!うん?しかもッ!ただ柑橘系の果汁が入っているんじゃないッ!飴の半分が樹液で、残りの半分が果汁で作られているッ!ど、どうして、こんな小さな飴一粒一粒にこんな手間がかけられているでござるか?…いや、ただ混ぜて作るよりもこうして半分半分で作った方が飴の溶け方で色々な表情が感じられる。酸味をより感じたければ果汁の部分を舌の中心にもってくればいいし、甘さを感じたければ樹液の部分を舌にもってくればいい。甘さと酸味の組み合わせが自由自在にすることで無限の味を口の中で味わうことができる。深い…深いでござるぅぅぅぅぅぅぅッ!』


(いつも同じリアクションするなぁ。)

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