第115話 モグ太郎

<害虫駆除~♪害虫駆除~♪>


ダミ吉が鼻歌を歌いながら、海底龍の巣に放水を開始した。


放水して暫く時間が経過すると、巣から次々と土竜ドラゴンが飛び出てきた。


『おんどりゃぁぁぁ!なに危険なもん流し込んどるんじゃぁぁぁぁぁ…ぐぎょぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…ここから出せぇぇぇぇぇぇぇ…。』


飛び出てきた瞬間、ダミ吉が仕掛けたトラップに次々にかかっていく。


<捕獲完了~♪コイツら、穴を掘る能力高いッスから仲間にならないか説得してみるッス~。あれ?最後に捕まえた土竜ドラゴン無反応ッスね~。不感症ッスかね~。>


『”モグ太郎”ッ!』


(モグ太郎…?)


コウスケの肩に乗っていたモンタが、檻にいる無反応の土竜ドラゴンに飛び乗り回復魔法をかけながら労いの言葉をかける。


『モグ太郎、よくやったなッ!ミッションコンプリートだぜッ!コウスケッ!ご褒美に”マリオネット”解いてやってくれ。』


(あの土竜ドラゴンか…。いや、今解いたら襲われるだろ…。しかも、モグ太郎って…。)


「本当に解いても良いの?確実に襲われるよ。せめて、檻の外に出たら?」


モンタは自信満々に答える。


『おうッ!モグ太郎は、オイラの子分3号になる男だッ!なッ!モグ太郎ッ!』


(まぁ、モンタなら大丈夫か…。)


”マリオネット”を解除すると、モグ太郎が起き上がり、モンタを振り落とそうと体をブルブル震わせる。


『おんどりゃぁぁぁッ!よくも、よくも、俺様を操ってくれたなぁッ!この糞猿ぅッ!ぶっ殺してやるッ!』


モンタは、モグ太郎の攻撃を躱しながら、アイテムボックスからモンタの体よりも大きな迷宮甘芋を取り出し、口の中に放りこんだ。


…ゴクン…


『な、なんだぁぁぁぁぁ?この芋はぁぁぁぁぁ?蒸かしてもいねぇのに、この甘味ッ!こ、これは最高級の迷宮甘芋!?いや、品種改良しているのか?俺様の知っているものとモノが全然ちげぇッ!俺様以外に品種改良の技術を持っているヤツがいんのか?へへッ!世界は広れぇなッ!!!よしッ!話、聞いてやろうじゃねぇかッ!』


(芋だけで気持ちの切り替え早いな…。)


モンタは、モグ太郎の目の前に念動力スキルで移動すると、自信満々に問いかける。


『オイラの名前はモンタッ!モグ太郎ッ!オイラの子分になれッ!そしたら、腹いっぱい芋や木の実を食わせてやるぜぃ。どうだい?モグ太郎?』


モグ太郎は考え込み、暫くすると頭を下げた。


『俺様も海底龍のやり方には反対だったんだ。作物も採れねぇ不毛な土地が増えていくのが嫌で仕方なかったんだ。よしッ!おめぇさんについていくぜッ!……ただ……。』


(なんか条件があるのかな?)


モンタが不安そうに訊ねる。


『“…ただ…”なんだ?』



『“モグ太郎”はやめてくれッ!!!』





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