第97話 強欲の大罪武器の所持者

…コウスケ・クロン~強欲戦~…


「”強欲”の大罪武器-グリード-の能力は、スキルの強奪だよね。俺には対抗スキルがあるからスキルを奪われることはないと思うけど、相手には今まで奪ってきた能力があると思うから、気を引き締めていくよ。」


『フハハッ!心配いらん。いくらスキルを保有していても、使いこなしていなくては意味はない。スキルを徹底的に検証して使いこなしている我とコウスケは世界最強じゃ。』


コウスケとクロンが話をしていると、ダミ吉によって誘導されてきた長身短髪の男が作り笑いを浮かべながら、近づいてくる。


「カッカッ♪奇襲するつもりがまんまと誘き寄せられちゃったね♪でも、ダンジョンに入れたから良しとするかぁ♪あぁ♪初めまして♪僕はマモー、強欲の大罪武器-グリード-の所持者だよ♪さぁ、グリードも挨拶して♪」


マモーの右手にはナイフが握られていたが、ナイフはマモーの手から離れて挨拶を始めた。


“よ、与王様におかれましては、ご、ご機嫌、う麗しく、お、御体に 、ご、ご不調などは、ご、御座いません、で、でしょうか?”


「『………。』」


グリードの様子にマモーは笑い声をあげる。


「カッカッカッカッカッカッカッカッカ~♪グリード♪今までで一番面白いジョークだったよ♪さぁ、挨拶も終わったし、殺し合いを始めようか♪あぁ、楽しみだなぁ♪君は沢山スキルを持っているようだからね♪」


グリードはマモーを無視して念動力スキルでコウスケの目の前に移動するとコウスケに話しかける。


“ず、ずっと、お、お会い、し、したかったです。ど、どうか、お、お側に置いて、くださいませんか?”


(スロウスと同じパターンか。これは断っても無駄だな。)


クロンはため息をついた。


『はぁ。ある意味予想通りじゃな。大罪武器がこうなったらもう諦めるしかないからのう。』


ガッッ!


マモーは地面を蹴りながら怒りを露にする。


「グリードぉぉぉぉぉッ!もう冗談は良いんだよ。さっさと戻ってこいッ!ソコのクソガキからスキル奪ってぶっ殺すぞ。」


グリードはマモーを無視してコウスケに懇願する。


“お、お願いします。”


「いいよ。みんなと仲良くしてね。」


“は、はいッ!”


グリードは、複雑な魔法陣を展開し儀式魔法を発動し始めた。


“いと尊き御方。生涯の忠誠をあなた様だけに捧げ、決して傍を離れず御守りすることを制約致します。我が名は-グリード-。大罪武器の一つ。「強欲」を司るもの。”


…強欲の大罪武器の所有権を獲得しました…

…ユニークスキル「節制」を獲得しました…

「節制」

→技や魔法の使用に必要なHPやMPの消費量を半減する。


…【称号:強欲を抑える者】を獲得しました…


マモーは絶叫しながら、コウスケに殴りかかる。


「グリードぉぉぉぉぉッ!裏切るのかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!許さねぇぇぇぇっぇぇぇぇぇッ!」


コウスケは使用できるスキルが増えていることを実感した。


(グリードが今まで強奪したスキルが使えるようになった。…そうなると、マモーは一気に弱体化したことになるな。)


コウスケは右手のクロンを横に一閃する。


…武技―疾風斬―…


飛ぶ斬撃が命中しマモーの体勢が崩れる隙を見逃さず、左手に装備したグリードで追撃をかける。


…武技―クリティカルブロー”-6連-”―…


強烈な刺突がマモーの頭・両肩・両足・胴体を襲った。


“す、凄い。た、ただのクリティカルブローが、れ、連続で急所に当たって、ま、全く別の技みたいだ。”


「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」


(ステータス高いんだから叫ぶ暇があったら反撃すれば良いのに。隙だらけだよ。)


コウスケは最上位時空魔法の準備を始めた。


…時空間を司りしクロノスよ…時の制約を打ち破り…いまここにその力を解放せよ…


…オーバードライブ(時空間魔法)…


魔法を発動すると、周りがスローモーションのようになった。


(消費MPが半分になったから、この魔法の有用性が増したな。)


スローモーションの世界の中でスキルを発動させていく。


…ドラゴニックオーラ発動…

…念動力、縮地スキル発動…

…“ディメンションエッジ”…

…爆裂スキル付与…

…総攻撃スキル付与…


そして、剣術スキルレベルMaxで取得した剣術最強の武技を使用する。


「いくぞッ!武技―”流星剣”―」


圧縮された時間の中で、いくつもの斬撃が流星のように光を放ちながら走り抜ける。


流星のような斬撃は命中するたびに激しい爆発と衝撃を生み出し、マモーは防御する時間も与えられることなく攻撃を受け続けた。


「グリード、“ものまね”スキルを発動できる?」


“は、はいッ!“ものまね” 武技―”流星剣”―”


剣術最強の武技がグリードによって再度繰り出された。


「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁl僕の腕がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁl僕の足がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」


(だから、叫ぶ暇があったら考えればいいのに。隙だらけだよ。)


「まだ終わらないよ。聖剣解放-クロン-」

≪エターナルサ…イ…ク…ロ…?≫


…レベルアップしました…


………


……


「えッ!倒したの?」


『大罪武器所持者ともあろうものが痛みでショック死するとは…。』


“与王様、す、凄いです。”


(…痛みでショック死…?ラッキーってことかな?)

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