第89話 即採用

グラトニーは慌てながら赤ゴブに謝る。


『赤ゴブリン殿、申し訳ありません。エンヴィーがあなたの姿でふざけるもので…つい…。』


赤ゴブは、“やれやれ”というジェスチャーをしながらため息をついた。


『グラトニー様。俺っちは“赤ゴブ”という呼び名は受け入れやしたが、“赤ゴブリン”という呼び名は受け入れていやせん。どうぞ、俺っちのことは“赤ゴブ”か本名の“シュバルツ”と呼んでくだせぇ。あと、俺っちはこう見えても傷つきやすいんで、気をつけてくだせぇよ。ハッハッハ。』


『は、はい。』


(みんなが親しみを込めて“赤ゴブ”って呼ぶからニックネームということで受け入れたのかもしれないな。しかし、どう見ても…“シュバルツ”って顔じゃないよな…。)


エンヴィーは、メタモルフォーゼを解除して人化形態になると、赤ゴブに目の前にきて話しかける。


『色々ゴメンね。で、大変な事って何?』


赤ゴブは要件を思い出して報告を始める。


『レヴィの屋敷で働いていた悪魔達が若旦那とエンヴィー様に会いたいと来ておりやす。ボロボロの姿で酷い怪我を負っている者もおりやしたが、親分が回復魔法で治療しておりやすので、怪我の方は大丈夫でやんす。』


エンヴィーはゆっくり後ろを振り返りコウスケを見る。


『我王様、きっと子分達がレヴィに追い出されてオイラを頼ってきたんだです…。ここで雇うチャンスをくれるわけにはいかねぇですか?戦闘よりも家事が得意という変な悪魔達だけど、みんな良いヤツだです。』


「家事が得意?よし。採用。」


コウスケは即答した。

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