第88話 バッドタイミング

”が、我王様。な、なんだですか?こ、この料理は?生魚がこんなに美味いなんて…。生魚をただ切っただけの究極にシンプルな料理のはずなのに、見た目だけでなく味までも、どの料理よりも洗練されてやがりますです。…こうなったらぁぁぁッ!“メタモルフォーゼ-赤ゴブ-”ッ!…解析スキル全開ぃぃぃッ!…むむッ!こ、これは生で食べても大丈夫なようにきれいな水で管理しながら魚を飼育している???魚が美味しくなるように厳選した餌を与えている???捕獲してすぐに氷魔法を使って鮮度を最善の状態にしている???調理器具を消毒するなど徹底した衛生して管理している???魚肉の細胞を傷つけないよう卓越した包丁捌きで調理している???…なんだですかッ?…うぐっッ!ある意味どんな料理よりも手間がかかってるじゃないですかぁぁぁぁぁぁぁぁッ!うわぁぁぁぁぁぁぁぁんッ!オ、オイラ、こんな神話級の料理に“切っただけの料理”なんて言っちまったぁぁぁぁ。我ざまぁぁぁぁぁ、申し訳ありやがりませんですますぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ!”


(赤ゴブの姿でしがみつくのやめて…。そして、無理して敬語使わなくて良いから…。)


グラトニーは人化した状態で優雅にサンドウィッチを食べながらエンヴィーに注意する。


”エンヴィー、大罪武器とあろうものがみっともない姿を食王様に御見せするんじゃありません。食事はもっと美しく優雅にとるべきです。特に、食王の御作りになる神話級の御料理はな。”


(グラトニーも初めは、涙と鼻水垂らして皿まで食べてたけどね…。それにしても、大罪武器にも序列かなにかがあるのかな。それで先輩風を吹かせたいとか。)


”う、うるせぇッ!グラトニー、てめぇッ!先輩風吹かせるんじゃねぇッ!オイラはお前と違って合意をいただいたうえで“正・式・に”契約してるんだッ!そういう意味では、オイラの方が先輩なんだぜ。”


”ぐぬぬぬぬぬぅッ!赤ゴブの姿で言われるとなぜかダメージが2倍になりますね。ぐはぁ…!…しかし、私も引くわけにはいきません…。”


”来るなら来てみやがれッ!このッ!”押し掛け女房”がぁッ!”


”ぐはぁッ!…まだだッ!まだ、やられはせん。やられはせんぞぉぉぉぉッ!このっ……


そこに、“本物”の赤ゴブがやってきた。


『若旦那ぁぁぁぁぁぁッ!大変でさぁぁぁッ!』


!!!……ゆでダコゴブリンがぁぁぁッ!”


『えぇぇぇぇぇぇぇぇッ!』


(すごいバッドタイミングでやってきたな…赤ゴブ…。)

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