第75話 泥試合

モンタは木の実を食べながら、ソニ子の報告どおり空から降ってきた赤ゴブリンを鑑定していた。


『モグモグ…。こいつは敵が召喚したミドル級デーモンだな。しかし、羽根がねぇとただの赤ゴブリンにしか見えねぇな。』


もともとの赤い顔を更に赤くした赤ゴブリンがモンタに抗議する。


『あ、赤ゴブリンだとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!貴様こそ、ただ小猿ではないかぁぁぁぁぁ?この拘束を解けッ!今なら特別に苦痛なく殺してやるッ!』


モンタは口に含んでいた木の実を飛ばしながら、赤ゴブリンと口論を始めた。


『こ、小猿だとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!しかも、苦痛なく殺してやるってなんだよッ!今のてめぇの状況わかってンのかオラッ!赤ゴブリンッ!』


『赤ゴブリンって言うんじゃねぇェェェェェェッ!小猿ぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ!』


『小猿って言うんじゃねぇェェェェェェッ!赤ゴブぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ!』


『略すんじゃねぇェェェェェェッ!スモールモンキーぃぃぃぃぃぃッ!』


『言い方変えて呼ぶんじゃねェェェェェェッ!このッ!タァァコォォォッ!』


『あぁぁぁッ!それ今一番気にしてんだぞぉぉぉぉッ!このッ!短足ッ!』


『あぁぁぁッ!オイラもそれ気にしてんだぞぉぉぉぉッ!このッ!ハゲッ!』


『うぉぉぉぉぃッ!俺に向かってハゲは禁句なんじゃいッ!このッ!脳ミソ、米粒ッ!』


『うぉぉぉぉぃッ!こんなに賢いオイラに向かって何言ってるんだッ!や~い、お前の母ちゃん”で~べそ”ッ!』


『きぇぇぇぇぇぇぇッ!!!は、母上をバカにするなッ!ば~かッ!ば~かッ!』


『バカって言う方がバカなんですぅぅぅッ!』


『あッ!今お前もバカって言った~。』


……


(泥試合が始まったか…。)

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