第21話 王国騎士団襲来!?
「コウスケ様、先ほど【スナイパー】を取得して、索敵範囲が500mに増えたのですが、ちょうど500m後方に100人以上の人間の姿を確認しました。」
みんなの表情が消えていくのが分かった。
『十中八九、ジュゼ王国騎士団じゃな。我とコウスケがねらいじゃろう。おおかた、生け贄が必要な国宝級アイテムでも使って居場所を突き止めたというところかの。』
『おッ、オイラ、怖くないからな!』
(モンタ…めっちゃ震えてるぞ…)
「とりあえず、最初の目的通りに下層目指して進もう。俺たちは、いつまででもダンジョンで快適に生活できるけど、アイツらそうじゃない。いずれ諦めざるを得なくなる。頭のおかしいヒトに関わるのは嫌だから、基本無視で行こう。もちろん、距離をとってね。」
みんなの表情が少し緩んだ。
(よかった…。しかし、今さら戻ってこいとか言うんじゃないよな。アイツらにとって俺は≪ハズレ≫で、聖剣を盗んだ罪人なんだから、聖剣を取り戻して、犯人を処刑して幕引きしたいってところか。アイツらのことを考えたら、またムカついてきた!道中、嫌がらせのトラップをたくさん仕掛けてやる!)
「そうですね、コウスケ様。6~10層はオーク族中心に出現するエリアですので、オーク肉が手にはいると思われます。オーク肉は非常に美味しいと聞きますので、楽しみですね。」
『フハハ!身体強化系統のスキルが充実するぞ!』
『お肉~♪お肉~♪』
(モンタ…震え止まってる…恐るべし肉パワー。)
………ランクエラー7層森エリア………
………ユニークスキル「交換」を発動します。倒したオークファイターと「交換」したいものを1つ選択してください………
・スキル身体強化Lv:1
→攻撃・防御・速さ5%×スキルレベル
・ファイターグローブ
→拳を保護する指ぬき手袋
・ステータスオーブ(HP+25)
・オーク肉(1kg)
・交換しない
コウスケは、オーク肉(1kg)を選択した。
オークファイターは光の粒になって消えた。
「よ~し!セーフティゾーンじゃないけど、今日はここで野営するよ。」
コウスケは、アイテムポーチからコンテナを取り出して、その中に魔法のテントを展開した。さらに、アイテムポーチから大きな岩から切り出してつくった石板を取り出して、コンテナの入り口の前に設置した大きい竈の上に置いた。その後、野菜とオーク肉を薄くスライスするなど食材の準備を手早く済ませた。
「石板の上で自分好みの焼き加減に焼いて、タレにつけて食べてみて、これが”焼き肉”だよ。」
実際に、焼いて食べてみせた。
(うん!いままで食べた豚肉の中で一番うまい!タレも柑橘系しか作れなかったけど、これが一番正解かもしれない!)
ユニとモンタも、自分好みに焼いてタレにつけて食べる。
「『!!!!!』」
ユニとモンタは無言で焼き肉を食べ続けた。そして、しばらく経過したあと、しみじみと語りだした。
「オーク肉自体美味しいのですが、この柑橘系のタレに絶妙にマッチして、美味しさが更に一ランクも二ランクも上がっています。タレがオーク肉の脂身を優しく洗い流してくれるので、いくらでも食べられます。薄くスライスされているのも、計算されつくされています。焼き加減をかえるだけで、肉の味わいがこんなに変わるなんて…。もう、奥が深くて、深淵が覗くことができません。焼き加減だけでなく、肉の部位やタレの種類をかえれば、その深淵は深くなるばかりです。」
『肉だけじゃねえぜユニ!野菜も焼いて食べてみな。ハンパじゃねえぜ。一種類一種類、自分の好きな焼きタイミングで食べられる。イモ類はホクホクするタイミングまで焼く、葉物はシャキシャキ感がギリギリ残るタイミングまで焼くなど、野菜ごとに最適のタイミングがあって、一秒たりとも目が離せねえ。木の実もそうだ。いままで、生が最高だって思ってた自分が許せねえ。熱を加えてローストするだけで、甘味や香ばしさか全く違くなっちまいやがる。ちくしょう!ちくしょう!ちくしょう!コウスケ!オイラはこれからどうすればいいんだ?』
「あ、うん。」
…どうやら、お気に召したようです…
「ところで、追っ手はどんな感じ?」
「まだ、6層の序盤のようです。正規ルートのトンネルを塞いだことで迂回ルートを進んでいるみたいです。もうじき、正規ルートにもどりますが、落とし穴・ワイヤー・倒木・巨大岩石・鉄砲水などのトラップが続きますので、追いつかれる心配はないかと思います。」
『オイラは、あんなにえげつないトラップを沢山仕掛けたから、全滅するんじゃないかと思うぜ。』
『いや。国宝まで使っての捜索じゃ。油断せぬことじゃ。実力者だけ、先行して送り込んでくることも考えられるしの。』
「転移の魔法とか一瞬で距離を詰められる手段なんてあるの?」
『あることにはあるが、ダンジョンの中には転移阻害がかかっておるから、ダンジョンに備え付けられている転移魔法陣でしかまともに転移できん。しかし、術者やアイテムを使い潰すのであれば、この限りではないがの。』
(なんにでも例外があるってことか。気を付けておくことに超したことはないな。)
「よ~し!セーフティゾーンじゃないから、見張りはみんなで交代でしよう。交代の時にユニの索敵スキルを「交換」してもらうけどいいよね。」
『いや。我に任せるのじゃ。我は睡眠は不要じゃし、ユニと索敵スキルなどを共有して、じっくり試してみたいこともあるしの。だから、皆ゆっくり眠るとよい。』
「ありがとう。それじゃお願いね。ユニ、クロンを任せたよ。」
「おまかせください。クロン様、よろしくお願いします。」
『フハハ。大船に乗ったつもりでまかせるのじゃ!ユニの意見も聞かせてくれるとありがたい。』
(クロン。また精霊眼を使ってブービートラップを仕掛けるつもりだな。この中で、一番王国に恨みがあるのはクロンだから仕方がないけど。)
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