花のように儚い

 ファミリーレストラン。偶然、街中で出会った高校時代の友人を誘い、店に入った晴美は向かい合って席に座り、メニュー表を眺めていた。


「……ねぇ、夢の話して良い?」


「夢って……寝て見る夢のこと?」


 メニューに意識を割いてそっけなく答えた晴美に友人の女は頷いた。


「よしてよ、話題の尽きた高校生じゃないんだから。積もる話があるじゃない」


「花の夢なの」


「話すのね。まぁいいけども」


「ある花を見つけるまで、この夢から目覚めることはないって頭の中で声がしたの」


「ふーん、で? 見つけた?」


「ううん、見つけられないの」


 友人の女が落ち込んだ表情でそう言ったものだから、晴美はつい、噴き出してしまった。


「ふふっ、別にいいじゃない。それとも悔しかったの?」


 友人の女は黙って首を横に振る。その目には怯えが見られ、晴美は励ますように言った。


「何ー? 見つけないと不幸にでもなるって言われたの? まあ、こうして現実で美味しいものを食べられるんだから別に――」


「……まだ目覚めてないの」

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