私はドッペルゲンガー

 私が瞼を開けると、ひとり、ブランコを漕ぐあなたの姿が瞳に映った。

 お日様の光に包まれて、まどろむ意識の中、あなたの楽しそうな声が耳心地良かった。

 私はあなたの隣に座りたいと思ったけど、もう一つのブランコは故障中みたいだった。

 それが初めての出会い。一緒に風を感じてみたかったなぁって今でも思うよ。


 次は街中。あなたはショーウィンドウを見ていたね。

 前より成長していたあなたは洋服に興味を持ち始めていたのかな?

 私があなたに駆け寄ると、ちょうど入れ違いになるようにあなたは行ってしまったけど、一瞬、二人の顔がガラスに映ったんだよ。

 そっくりだった。まるで双子の姉妹みたい。


 次は中学生。一人でいるあなた。

 可愛くなっただけじゃない。

 知識が増え、頭も良くなった。どうやら私もそれに比例するみたい。

 賢くなった頭で色々と、私は私が何のかも理解したの。

 私を見たら、あなたは死ぬんだね。



 今、私はあなたに歩み寄る。

 そして……後ろからギュっと抱きしめた。

 下から吹き上げる風が、私たち二人の髪を弄ぶ。

 ああ、駄目。振り返って私を見ちゃ。でも前にも進まないでね。


 私はドッペルゲンガー。

 あなたが死んだら悲しいよ。

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