第84話 レイドボスめいたゾンビのこと

レイドボスめいたゾンビのこと








どるん、どるん。


白黒ゾンビの持つチェーンソーが、周囲を威嚇するように音を響かせる。




俺たちは各々武器を構え、それを囲うように立っている。


さて・・・どう攻めるか。




白黒ゾンビの体は、拘束具で覆われている。


布地もあるが、多くは皮と鉄製の金具だ。


肌の見える部分は、手足の先のみ。


頭もご丁寧に剣道の面に似た器具で守られている。




俺は日本刀、後藤倫先輩は長巻。


あの防御に対して、これでいけるのか少し心もとない。


師匠ならサックリ斬れちゃうんだろうけどなあ・・・


となると・・・




「まず、わしが行こう」




消去法で残った七塚原先輩が、六尺棒をぶるんと振る。




「・・・!!!」




その動きに感化されてか、白黒ゾンビが先輩の方へ向く。


口を塞がれているので、あのうるさい吠え声は聞こえない。


くぐもった声が漏れるだけだ。




あの様子・・・昨日今日ゾンビになりましたって感じじゃない。


この場所で、生かされて?きたんだろう。


ということは、あのテントの赤いのは・・・つまり、そういうことか。




こいつに『餌』をやってたんだな、ここの連中は。




その餌は・・・あの子供たちの様子を見るに、あの子たちだったんだろう。


まったく、胸糞が悪い。


この地上から一刻も早く絶滅させてやりたい。




「・・・ッ!!!!」




そんなことを考えた瞬間、白黒ゾンビが両手に持ったチェーンソーを振り上げて七塚原先輩へ跳ぶ。


踏んだ地面が軽くえぐれるほどの力・・・コイツはどうやら原野の奴より特別製らしい。


さぞいい餌を喰ってたんだような。




先輩は軽く後ろに下がり、振り下ろされたチェンソーを躱した。


地面に激突したチェーンソーが、ぎゃりぎゃりと音を立てる。




「ぬぅん!!」




六尺棒が唸り、凄まじい速度で白黒ゾンビの胸に突き出される。


いかに体が硬いとしても、あれなら―――




金属音。




「ぬう!?」




六尺棒が突き立った瞬間、上へと弾かれた。


何だ今の音!?




「・・・!!!!」




地面から跳ね上がるチェーンソー。


その先端を引き戻した六尺棒でいなし、先輩は流れるように振り下ろす。


白黒ゾンビの肩口へ叩き込まれた攻撃は、またも金属音と共に弾かれた。




「鉄板かなんか仕込んでんのか・・・!?」




「・・・違う、たぶんあの殻みたいなの。肩の部分に鉄板が入っていたら、あんなに柔軟に動けない」




思わず漏らした俺の疑問に、後藤倫先輩が返す。


殻・・・黒ゾンビだけの特権じゃねえのか!?


それに、以前なら砕けていたはずなのに・・!




「硬度まで上がってんのかよ・・・!」




「ん、厄介・・・加勢しよう田中!」




「応!!」




イレギュラー個体の相手を七塚原先輩だけにさせるわけにはいかない!


俺たちは、それぞれの武器を構えながら間合いに踏み込む。


兜割、持ってくるんだったなあ・・・!


まさかこんな相手に遭遇する羽目になるなんて・・・!




「・・・!!!」




「があっ!!」




恐ろしい音を立てながら横薙ぎに振るわれるチェーンソーを、七塚原先輩が受ける。


凄まじい量の火花が散り、耳障りな金属音が響く。




「ふぅう・・・っは!!」




その背中に、後藤倫先輩が疾走した勢いを乗せた刺突を放つ。




「んぐ!?」




金属の部分を避け、布部分に長巻が突き刺さ・・・らない!


見た感じ1センチもめり込んでねえ!


なんちゅう硬さだ!!




「あっぶな・・・い!!」




白黒ゾンビが振り返りながら振ったチェーンソーをしゃがんで躱しつつ、後藤倫先輩はさらに回転して足を薙ぐ斬撃。




「んん~・・・!かったぁ!!」




ふくらはぎの部分に吸い込まれた剣先が、ぎゃぎ、という音と共に滑る。


足も硬いのか!




「撃ちます!!」




先輩が離脱するのを確認するなり、抜いた拳銃を発砲。


一息で全弾を叩き込む。




着弾の瞬間に金属音が響き、周囲の瓦礫から土煙が上がる。




ううお!!あっぶねえ!!


跳弾してる!!


こんな至近距離でも貫通しないどころか弾かれた!?




「馬鹿田中!当たったらどうする!!」




「すいませうおおお!?」




銃撃がお気に召さなかったのか、白黒ゾンビは振り向くなり俺に向けて攻撃してきた。


地面に体を投げ出すように避ける。


・・・あぶねえ、咄嗟に受ける所だった。


六尺棒ならともかく、日本刀なんてあっという間に折られちまうぞ!




「おおお!!!」




その背中に、七塚原先輩が六尺棒を叩きつける。


今度は体重を乗せた渾身の一撃だ。




まるで交通事故のような音が響く。


一瞬、動きが止まった!


好機!!




「っしゃああっ!!!」




たたらを踏んだ足首を、思い切り斬りつける。




んがぁ!かてえ!!




足首に斬り込んだ刃は、なんと火花を散らして通過した。


その箇所には、薄く線が入っただけ。


見た目は皮膚なのに、まるで鋼鉄でも斬り付けた感触だ!




痺れる手の感触を感じつつ、そのまま跳び下がって離脱。


引き戻しながら見ると、案の定剣先には若干の刃こぼれが。


ああ、俺の『竹』ランクよ・・・




「どこもかしこも鋼鉄製かよ!一体全体どうなってんだコイツは!」




御神楽の人たちは、まだ野営地の奥までは来れていない。


っていうか来れても、銃が通用するかわからん!


俺の拳銃でああなったんだ、もしももっと強力な銃弾が跳弾になったら・・・目も当てられん!




「動きは・・・はっ!速いけど・・・っふ!」




猛攻をかいくぐりながら二度、三度と後藤倫先輩が斬りつける。


比較的柔らかそうな関節を狙っているようだが、結果は芳しくなさそうだ。


斬るたびに嫌な金属音が響くが、白黒ゾンビはその動きを一切緩めない。




「力任せ!・・・技は、ないから、読みやすい!!」




さらに何度か斬りつけ、大きく後方へ跳躍する先輩。




「お気にだったのに・・・許さん!」




その手に持つ長巻は、ここから見てもわかるくらいに刃こぼれまみれである。




「ななっち!田中!注意、引いて!!」




足元に長巻を置く先輩。




俺は一瞬七塚原先輩と視線を合わせ、同時に動く。




「ぬぅん!!」




六尺棒がチェーンソーを弾き。




「おぉおっ!!」




空いた脇に突きを放つ。


一ミリ程度しか刃は食い込まない。


ぐう!ここも硬いのかよ、化け物め!!




持っているチェーンソー自体を破壊したいが、なんというか・・・それすら特別製のようだ。


近くで見てわかったのだが、なんと手に直接ネジ止めされている。


その他の部分も、厚い鉄板で保護されている。


刃の方も、普段見かけるチェーンソーよりも分厚く長い。


大木でも切り倒せそうだ。




「がぁあ!!」




七塚原先輩の六尺棒であんだけぶっ叩いてもまだ動くんだ。


かなり頑丈に違いない。


っていうか、刃の回転を止められたとしても・・・あの質量の上ギザギザ刃付きなのだ。


刀身ごとへし折るしかあるまい。




七塚原先輩が武器を弾き、俺が斬り込む。




何度かそれを繰り返していると、後藤倫先輩が視界の隅で踏み出すのが見えた。




「ふううぅ・・・」




盛大に土煙を巻き上げ、先輩が疾駆。


右腕を限界まで引き絞ったまま、斜めに跳んだ。




「―――鋭えいッッッッ!!!!!!!!!」




風を纏って放たれたその拳は、白黒ゾンビの背中・・・その中心を射貫いた。




南雲流甲冑組手、奥伝ノ五『鎧貫よろいぬき』


・・・完全に、入った!!


鎧を着込んだ相手の内臓にダメージを与えるっていうとんでもない技だ。


これなら・・・どうだ!!




「・・・ッ!!!!!」




「あぅっ!?」




「先輩!?」




全精力を注ぎこんで打った一撃で反応が遅れたのか。


先輩は、白黒ゾンビが振り返った際の肘にぶち当たった。


咄嗟に防御はしたようだが、それでもまるでボールのように弾き飛ばされた。




「んがぐ!?大丈夫ですかっ!?」




「けふっ!こほっ!!いだい・・・」




落下点に割り込み、飛ばされる先輩を後ろから抱き留めた。


どこか怪我でもしたのか、涙目である。




「たぶん、肋骨、ヒビかな?こほっ!・・・力、強すぎ」




肘が胸に軽く当たったようだ。


それだけでこの威力、か。


とんでもねえなあ、あのやr




「田中野ォ!!!」




その声に視線を前に戻すと、真っ直ぐこちらへ突っ込んでくる白黒ゾンビ。


拘束具の隙間から覗く目は、先輩を殺意の籠った眼で睨みつけている。


アレを喰らっても無傷なのかよォ!!




「先輩メンゴ!」




「ふぎゅ!?」




抱えた先輩を後方に放り投げ、両手で愛刀を握る。


もう避ける時間は、ない!


横へも跳べない!


なら・・・


前に出るしか、ねえ!!






『体は退いても、心だけは退くなよ小僧』






いつだったか師匠に言われた言葉が、俺の背中を押す。






『わしら南雲流は、命を掛金に―――』






「命を、捥ぎ取る!!!!」




白黒ゾンビが、大きく両腕を振り上げる。


背筋に、寒気が走る。




しかし、後藤倫先輩の一撃が効いているのだろう。


若干だが動きに鈍さを感じる。




「・・・ッッッ!!!」




「何とか言ってみろよ!死にぞこないがぁあ!!!」




八相に構え、跳びこむ。


奴の間合いの・・・その内側に!!




俺を両断しようと迫る両刃。


冷静に、その速度を見極める。




―――ここ!!




直観にすべてを委ね、さらに足に力を込める。


振り下ろされるチェーンソーを、くぐる!




耳元で轟音。


そして、両肩のベストが切り裂かれる感触を認識しながら。




「りぃい・・・やああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」




カウンターの形で突き上げられた愛刀の切っ先が。


奴の殺意が籠った左目に、跳びこむ。






南雲流剣術、奥伝ノ二・・・『瞬またたき』!!






両肩に鋭い痛みを覚えるのと同時に。


ずぐり、という何とも言えない感触。




切っ先は左目に深々と突き刺さり、さらに奥へ。




「おおおおお!!!!」




追いついた七塚原先輩が、拘束具ごとゾンビの後頭部を殴りつける。


その衝撃で、さらに刃は食い込み―――




明らかに、脳まで到達した。




「ぐう!?がああっ!?」




チェーンソーを避けるためにしゃがみ込んだ俺の鳩尾に、速度で加速したゾンビの膝が衝突した。


その衝撃で刀を取られ、後方に吹き飛ばされる。




視界が二転三転し、地面を転がり、そのまま背中っから瓦礫に突っ込んだ。




「~~~~~~ッッ!?!?!?」




肺の空気は残らず吐き出し、視界が明滅する。


ぐううう!体がバラバラになりそうだ!!


受け身は取ったが、まるで車にでも撥ねられた気分である。




「田中ぁっ!!」




後藤倫先輩の声。


ふらつく視界に苦戦しながら、前を見る。




俺の愛刀を突き刺したまま、白黒ゾンビがこっちへ走ってくる。


まだ生きてんのかよ!!


完全に脳に刺さってるだろあの深さは!!




がくがくと笑う膝に鞭を打ち、立ち上がる。


後ろ腰から脇差を引き抜いて構える。


さて、どうしたもんかな・・・




「うおおおおおお!!!」




追いかけてきたゾンビを追い越し、七塚原先輩が俺の前へ割り込む。


振り下ろされるチェーンソーを、六尺棒で受けながら。


耳障りな金属音と共に、六尺棒から凄まじい火花が散る。




「・・・先輩、『階きざはし』行きます!!」




「応!!・・・っじゃああああああああああ!!!」




俺の声に、先輩が六尺棒を跳ね上げてチェーンソーを弾き・・・さらに連撃。


白黒ゾンビの頭部拘束具を破壊した。




「ギャバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」




拘束具が外れたことで、いつものうるさいゾンビシャウトが聞こえる。




「来ォい!!」




痛みを訴える全身に鞭を打ち、疾走。


地面に転がる瓦礫を足場に、さらに跳ぶ。




「っふ!!」




七塚原先輩のデカい背中を蹴り、肩を踏んで踏み切る。




「グウウウウアアアアアアアアアアアアア!!!!」




空中の俺に向けて吠える白黒ゾンビ。


だが、武器のチェーンソーは振るたびに先輩が弾いている。




右手で脇差の柄を逆手に握り、左手で柄頭を押さえる。




「成仏・・・せいやあ!!!」




「ゲグギギギギギギギ!?!?!?!?!?!?」




重力と落下のスピード、そして俺の体重のすべてを乗せた刃が。


白黒ゾンビの右目に深々と突き刺さった。




「もい・・・っちょお!!!」




脇差から手を離し、突き刺さった柄頭を思い切り蹴りつけて離脱。


・・・あ、受け身のこと何にも考えてゴフ!?!?!?!?




背中から地面に激突したァ!!!!




後転で衝撃を分散しつつ、しきれなかった痛みにのたうち回る。


うががが・・・俺の背中ある?


あ、あったわ・・・よかった。




星が散る視界で戦場を確認。




「うっそだろ・・・」




両目に愛刀と脇差を突き刺したまま、白黒ゾンビはまだ動いている。




「ウゴゴゴゴ・・・ガアアアアアアアアアア・・・」




だが、さすがに今までのダメージがデカいんだろう。


その動きに俊敏さはなく、並のゾンビ以下のノロノロとしたものだ。




「田中田中・・・生きてる?これ何本?」




駆け寄ってきた後藤倫先輩が、俺を抱えながら指を立てて見せてくる。




「いっぽ・・・いや2本・・・じゃなくてさん・・・先輩、遊ばないでくださいよ」




「遊び心は大事だと思う」




「TPOをご存じかな?」




「理論は知ってる」




指の本数を細かく変えるんじゃない!!! 




ぎゃいぎゃい騒ぐ俺たちを尻目に、七塚原先輩がゾンビの前に立つ。




「こおおおおお・・・」




息吹と共に、六尺棒がぶんぶんとまるで扇風機のように回転している。


加速させている・・・一撃で決めるつもりだ。




「破ッッッッ!!!!!!!!!!!!!!」




ぼ、という音と共に、限界まで加速した突きが奴の胸に叩き込まれた。


先輩の足元の土が、らせん状に抉れている。




「ギャバッ!?!?!?!?!?」




「ぬううううん!!!!」




連続した金属音がする。


突きが炸裂した音と、さらに突きこまれた音。






南雲流棒術、奥伝ノ一『金剛錫・重かさね』






白黒ゾンビは、たまらず後方へ吹き飛んだ。




盛大な土煙を上げながら倒れた奴は、緩慢に腕を伸ばそうとし―――




「ゴア・・・アア・・・ア・・・」




絞り出すようにそう吠えた後、遂にその活動を停止した。








「冗談抜きで、今までで一番ヤバい奴だった・・・」




「硬すぎ、手首痛い」




「こがあな奴は、これで最後にして欲しいのう」




遠巻きに様子を見ること数分。


完全にゾンビが成仏したのを確認し、その死体を囲んで立っている。


全身が痛すぎて逆に痛くなくなってきた。


痛みが対消滅したのかな?




「ぬぐぐぐ・・・抜けねえ、なんか力が入んない。先輩手伝ってください」




「おう・・・わしがやるけぇ、おまーは休んどれ」




愛刀と脇差は、かなりぐっさり刺さっていて抜けない。




「田中田中ぁ、見て見てこれ、爆心地みたい」




後藤倫先輩が言うので見ると、白黒ゾンビの胸が大きく陥没している。


最後の六尺棒の傷か・・・


これが決定打というわけだな。


あれだけの硬さを持つ皮膚を、こうまで陥没させるなんて・・・やはり七塚原パワーは南雲流一である。




「あの黒い奴でも、貫通するくらいの威力じゃと思ったんじゃが・・・白黒が硬いっちゅうより、こいつが特別製なんじゃろうのう」




ぞっとしない答えである。




「ほれ」




七塚原先輩が刀と脇差を渡してくる。


うわ・・・脇差は大丈夫だが、『竹』の方はちょいと厳しい。


刃こぼれが尋常じゃないな・・・


またおっちゃんに研いでもらわないといけないなあ。




「メチャかわ長巻が・・・」




後藤倫先輩もまた、切なそうに長巻を点検している。


メチャかわってなんだよ。




最早起き上がらない白黒ゾンビを見る。




・・・生き残りを尋問して、コイツがどうやってこうなったかを知る必要があるな。


こんなのがまだまだいたら、一般人にはどうしようもない。


黒ゾンビだけでも脅威だというのに。




「自衛隊なら、どうやって倒したかなあ」




「市街地じゃないなら砲撃でもなんでも行けると思うけど、至近距離は・・・花田さんクラスならなんとか」




「つまりは無理、と。電気が効くのか確かめる暇もなかったですしなあ・・・今度からスタンガン的なものも所持しとこうかな」




帰ったら大木くんに相談してみよう。




「どっこいしょ」




「おっさん臭い」




「おっさんなんだからいいでしょ別に・・・ああ~・・・なんかすげえ疲れた・・・」




適当な瓦礫に座り込んで、ベストのポッケから煙草を取り出す。


・・・疲れが酷い。


まあ、かなり無茶苦茶な動きをしたし、それまでも戦い続けてたから仕方ないか。




「みなさん!ご無事ですか!!」




神崎さんが遠くの方から走ってきた。


どうやら入り口の戦いは終わったらしい。




「おーう、そっちはどうじゃ」




「こちらも大丈夫です!無力化に成功しま・・・な、なんですかこれは!?」




走ってきた神崎さんが、倒れる白黒ゾンビを見て驚愕の声を上げた。


いきなり見たらビックリするよなあ。




「3人がかりでようやくって感じですよ・・・ライターライター・・・」




どこにやったかな?


あ、ここだここ。




「後藤倫さん!手を怪我されたんですか!?出血が・・・」




「む?ほんとだ・・・でも傷がない。あ、これ田中由来の血か」




「えぇ!?」




・・・なんで俺のライターが血塗れなの。


え?


なんで・・・あれ?




「田中野さん!」




「脱げ田中脱げ!!」




ああ、チェーンソー掠ってたもんなあ。


それでこんなに眠いのかな?


なんか視界まで横に・・・なって。




「医療班!!医療班!!!」




遠くで誰かが叫ぶ声を聞きながら、俺はすやりと眠ることにした。






「・・・つまんない」




「そうか?俺は結構面白かったけどなぁ?」




「混ざりたかったってこと!」




「あー・・・そういうことかよ、がはは」




「アレが南雲流?じゃあ、次はあいつらとやるの?」




「うんにゃ、もうちょい先だな。古巣にいくつか借りがあるしよ、まだ結構忙しい」




「ふーん、わかった」




「おっと、ズラがるぞ。あの長巻の女、滅茶苦茶勘が鋭い・・・もう気付きやがった。クソ爺を思い出すぜ、胸糞悪いなぁ」




「じゃあ・・・やるときの最初はあの女?」




「いーや、順番通り・・・最初は刀だ。物事には順序ってものがあらぁな」




「はーい」




「母ちゃんが待ってる、帰るぞー」




「うん、パパ」

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