第22話 三角関係?2・5角関係?
食事が終わると綾乃さんはお風呂へと降りて行った。
また待っていたようにポケキャバが呼んでいる。
『里山は寒くない?』
『夜は冷えてきたよ』
『大丈夫?』
『大丈夫、今日はご近所さんから野菜をもらった』
『そう、知り合いができてよかったね』
『里山を散歩したらとても景色がよかったよ』
『そう、私も行きたいなあ』
『春になったらおいでよ』
『じゃあ、それまでにアレルギーを頑張って治す』
スマホを置くと僕は複雑な気持ちになった。
「なんか後ろめたいなあ……でも綾乃さんはもうすぐ帰ってしまうだろう、そうしたら寂しくて死にたくなるかもしれないなあ……うーん、たかがポケキャバじゃないか……でもやっぱり後ろめたい」難しい顔になってしまった。
リビングへ戻った綾乃さんは心配そうに顔をのぞきこんだ。
「新さんどうしたんですか?」
「えっ、なんでもないですう……」不自然に固まった笑顔で答えてしまう。
「うーん、なんか隠してるな」いたずらっぽい目で見てくる綾乃さんに僕はぷるぷると顔を横に振った。
「そういえば夜は冷えるようになったね」僕は話を変える。
「そうね、これから山は寒くなるんでしょうね、雪がいっぱいふるのかなあ」
「ふるかもしれないね」
「そうだ新さん、リビングで寝るのは寒いから和室で寝た方がいいんじゃないですか?」
「えっ……それは僕が緊張して眠れません」
「どうしたら緊張しなくなりますか?」
「わかりましぇーん」顔を横に何度もふった。
「酔っぱらって一緒に寝るとか……」綾乃さんが上目づかいでみている。
「想像しただけで鼻血が出そうです……」
「寒さがきつくなる前に解決策を考えましょう」綾乃さんは腕を組んで考えている。
「あのう……いつまでいる気ですか?」
「新さんから解雇されるまでです」
「えっ……」フリーズしてしまった。
「冗談ですよ……いや、本気です……うーんわかんないや……」無邪気に笑っている。
僕は今この現状に解決策が何も浮かばず、ただ途方に暮れた。
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