第1部

第1章 初めてのダンジョン

第5話 謎


火山の神殿。その名の如く火山にあり。

暑さに常人近づかず、強靭な者も熱さに逃げ出さん。

奥には炎を纏いし魔物待ち受け、挑戦者を焼き払はん。

勇気なき者挑むなかれ。それでも挑みし愚者、熱さに飛び込み給え。

勇気を示せ、さすれば道は開かれる。






ここは、とある森の中。日が顔を出して間もない時間帯だ。

俺は今火山の神殿に挑もうとしている。ただ、どこにあるのかわからない。

あの物語にヒントになりそうな部分を読んで見るがさっぱりだ。

さて、どうしたものか。



「ねぇ、ロガ。行く先は決まった?」



「火山の神殿に行こうと思う。ただ、何処にあるのかわからないんだよな。

火山っていっても沢山あるしな。この辺りだと思うんだけどな。」




辺りを見回すと山がポツポツ点在している。




「それにもしかしたらもう、山の活動が治まって、

この話みたいな火山じゃないかもしれない。・・・なんだよ。」



レクスが不思議そうな目で俺の顔を見ている。



「いや、そういうことには詳しいんだなって思って。成績は悪いのに。」



「うるせー。一言多いんだよ。」



そりゃそうだろ。俺はこの物語にあるダンジョンに挑もうとしているんだ。

それに関わりそうなことは嫌でも耳に入ってくる。

だから俺の知識は偏っているのかもしれない。



「それよりボクお腹すいちゃった。」



「いやお前はお腹空かないだろう。」グー



辺りになんとも情けない音が鳴り響いた。

レクスは口を押えているが、それも虚しく漏れている。


ボカッ


「いった―。何するんだよ、ロガ。ボク何もしてないじゃないか。」


ああ、何もしていない。ただ、笑っていただけだ。

俺はレクスの言葉を無視して朝食の準備をする。


「さあ、ご飯にするかな。」


レクスが何かブツブツ呟いているが気にしない。気にしたら負けだ。


「んー。ロガのバカ、マヌケ、ノロマ、アンポンタン・・・」


ボカボカボカボカ


「いったー。聞こえてるじゃないか。うう。」






朝食を食べ終わった。

目の前には背の高くなったレクスが、ジャーキーをやけ食いしている。


「ほら、そんなにジャーキー食べてないで行くぞ。」


「ふん。」


不貞腐れてはいるが、ついてくる。

プンスカ、プンスカ言いながらジャーキーを頬張って。

なんて器用な奴なんだ。俺には真似できないだろう。



まあいいか。ついてきてるんだし。

何か言ったら、あの歯が俺に向かってきそうだし、無視をする。

とりあえず拠点にできそうな町を探さないと。


このままだと食べるものが尽きちまう。

辺りを見回すと町らしきものが意外と近くに見える。




「よし、あそこを目指すか。」

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