第2話 魔法学校


ここはラトレント魔法学校。

基本的な魔法やダンジョンについて勉強するところだ。


この世界では、生まれながらに本を授けられる。

真っ白な何も書き込まれていない本を。

そして、ダンジョンを攻略することでページが埋められ、

魔法が使えるようになる。


最初にそれを発見した人が誰かはわかっていないみたいだけど。

まあ、今の時代は初級魔法であればダンジョンを攻略しなくても身に付けられる。そう学校で。どうやら初級魔法であれば、模倣して書き込めば使えるようになる。


ただし、その魔法の効果や特質を知らなければ

その魔法を出すことはできないらしい。それゆえの学校である。

しかし、それを見つけた人はどれだけ楽をしたかったんだろうと思うのと

同時に自分で本に書き込もうと思う何て度胸があるなと思ってしまう。


話に戻るが、あくまで模倣で手に入れられるのは初級魔法まで。

それ以上になると、模倣して書き込んでもすぐに消えてしまうみたいだ。

不思議な本だよ、本当に。



不思議と言えば、それ以上に不思議なのが、こいつレクスだ。

その本がこの姿になっている。


周りを見渡すと、

こいつみたいにプカプカ浮かぶヘンテコな生き物が一人に一匹ずつ付いている。

みんなこのヘンテコな生き物をまとめて”リブロティア”と呼んでいる。

本を授かってすぐにはこのヘンテコな生き物にはならない。

俺の時は2歳になった頃にこの姿になったんだと。


早いのか遅いのかも俺にはわからない。

それに最初の頃がどうだったかなんて覚えていない。



不思議だよな。初めてレクスが本になった時は驚いて腰を抜かしたらしい。

レクスがジト目で見てくる。な、なんだよ。言いたいことでもあるのかよ。

そしてレクスがニヤニヤし出す。や、止めろ。言うんじゃねえ。

わかった、わかったよ。



自分で言うよ。・・・ワンワン泣きじゃくったらしい。

レクスがいなくなっちゃったってな。

今度はほくそ笑んでいる。

くそっ。これ以上こいつに弱みを見せてたまるものか。






はあ、まあいいや。話に戻るが、今度はダンジョンの話だ。

さっきも話したが、ダンジョンを攻略すると魔法を得られる。

魔法とダンジョンは切っても切れない関係だ。

だから人々はダンジョンに挑み続けるのである。


ある人は力を手に入れるために、ある人は知的好奇心のために。

そしてある人は地位や名誉を手に入れるために。俺もその一人だ。

まあ、理由はどれとも違うけどな。



俺はここを卒業したら、ある5つのダンジョンを探しに行く。

御伽話に書かれているダンジョンだ。

まあ、みんなあれは物語だから信じるなという。

それにあったとしてもお前じゃ無理だと言われる。


でも、なぜだか俺はそれらのダンジョンが絶対にあると自信を持って言える。

そして何度失敗しても何度でも挑戦し続けてやる。

小さい頃に聞いたあの日から決めていたことだ。







えっ⁉そんなことはもういいから俺の成績はどれくらいだって⁉

言わなくてもわかるだろう。ここまで知識があるんだ。

上の方に決まっているだろう。



「逆だよ。逆。」



レクスがジト目で見てくる。

それよりなぜ俺の考えていることがわかった。この子恐ろしい子。




・・・悪ふざけはここまでにしよう。レクスの言う通り下の下の成績だ。

基本的なことは覚えているんだけどな。

それに初級魔法だって他の奴より威力が低い。

同じ授業を受けているのに何でこんなに違うのか。


俺は難しくなるとなんでかわからないが授業が右から左に抜けていくんだよ。

何でだろうな。




「~~卒業生退場。」




おっと、そうこうしているうちに式が終わったみたいだ。

俺は腰を上げ、出口へと向かっていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る