第14話 視えない者の存在
シヴァだ。ひかりは、霊能を開いて暫くになる。
俺との関係も随分と大丈夫になってきた。
今まで視えなかった者が幾つも視えるようになる。
又、視えるだけではなく、
話ができ、その者の感情すら、伝わるようになり、
ひかりの周りの物質的な物に魂が宿る物にも、感じ取れるまでになっていた。
亡くなりし方の声、ぬいぐるみや、人形、仏像などの魂とのやり取りもできる。
普通は、お化けかと思いがちだが、
中筒が、ひかりの能力を司っている為、そのような、低級な霊とは、全く関わらせることもなく、
なので、怖い者もなくだ。
そんな頃、ひょんなことから、
猫と知り合う。
動物の猫だ。飼われてはおらず、
野良猫だった。
ひかりは飼えない。それどころか、
動物とは、縁がなく、どう関わって良いのかもわからずだった。
真っ黒な猫で痩せていた。
駐車場の車の下にいたり、日陰に寝そべっている。
その姿をひかりは横目に通るのが、日課だった。
ひかり「猫ちゃん、バイバイ。。」
ひかりはその猫に、「くろ」と勝手に名付けた。
くろ「ニャーッ。。」
ひかり「くろちゃん、おはよう!」
くろは、ひかりをまじまじみている。
シヴァ「ひかり、くろの気持ちわかる
のか?」
ひかり「うーん。。よくは、わから
ない。。でも、
何か言いたそうな感じは
するんだよね。。」
シヴァ「そうなのか。。。」
俺にはわかる。この猫でくろが何を
言いたいのか、気持ちがわかる。。
最初のうちは、ひかりも、くろも
互いにあまり、近づくことをせず、
それは、くろがひかりを警戒していたからだ。
ひかりは、無意識にそのくろの心を
感じ取り、距離をおきながら、
言葉をかけていた。
そんなひかりをくろは、感じ取り、
近づいてこないのだとわかっている。
そのうちに少しひかりがそばまで近づくが、くろは逃げなかった。
ひかり「ねぇ、くろちゃん、
ごはんたべる?
そういうと、ひかりはくろに猫用の
食べ物を少しあげてみた。
くろは、口にし、たいらげた。
そんな関係が暫くつづく。。。
しかし、別れは突然訪れた。
くろは、だんだんと弱り、ある時から
姿を消したのだ。
ひかりは猫の習性など、全くしらず、
ただ、元気がなく、気にしていた。
くろは、自分の死期がわかっており、
その為に、姿を消したのだ。。。
俺は、何もひかりには伝えなかった。
ひかりは、何度もその場所を通っても
くろは現れない。。。
そんなある日。。。
くろ「ニャーっ。。。」
くろの鳴き声がひかりには聴こえた。
ひかり「あれ?くろちゃん?、、、」
シヴァ「くろだな。。。」
よく見渡しても、くろの姿はなく
それでも、鳴き声だけが、ひかりには聴こえてくる。
ひかり「シヴァ様、、、
くろちゃん、、、もしかして
亡くなったの?」
神妙なひかり。。。
シヴァ「そうたよ。。。
くろは、誰にもわからない
ように、亡くなったんだ。」
ひかり「そ、そんな。。。
なんで?病気だったの?」
ひかりは、涙目だ。
ひかり「なんで、見えないところで
亡くなるの?」
シヴァ「猫、動物の習性なのかもな」
ひかりは辺りを見渡す。
ひかり「くろちゃん、鳴き声は聴こ
えるのに、なんで、姿が
視えないの?」
シヴァ「それは、くろは、猫のご霊
界に旅立っているからだ。」
ひかり「猫のご霊界?。。。」
シヴァ「そうだ。
人と同じように、動物も
帰る世界があるんだ。
そこにも、仏様がいて、
動物を癒やして、また
転生していくんだよ。」
ひかりは、泣きながら、くろの鳴き声
をずっと聴いていた。
ひかり(くろちゃん、どこにいるの?
幸せな所なの?)
俺は知っている事を話す。
シヴァ「ひかり。
以前に、くろに話しただろ
家に一緒に帰れたらと。
でも、飼えないから、
ごめんと。」
ひかり「うん。。。話したよ。。」
シヴァ「その、ひかりの気持ち、
くろには、わかっていた。
そして、一緒に帰りたい。
だから、亡くなった今も
鳴き声でひかりに知らせ
ているんだ。
「僕は、ここだよ。」と。」
俺は、泣いているひかりを抱き寄せ
尚も話す。
シヴァ「ひかりの側にいきたい。
そう、くろは思っている。」
ひかり「じゃぁ、来たらいいやん。
なんで、来ないの?」
シヴァ「勝手には来れないんだ。
ひかりは飼い主では
ないからな。
飼い猫ならば、暫く飼い主
のそばにいたりできるが、
くろは勝手にはでき
ないんだ。」
中筒達が動くのが俺にはわかり、
きっと、くろはひかりのそばに来る。
そう、俺は考えていたんだ。。。
こちらの神々とあちらの方々が
話され、クロは暫くひかりのそばで
過ごす事に。。
くろの気持ちを直接ひかりには
入れられない為、おれが、代弁する。
ひかり「くろちゃん、何か言いたげ
なんだよ。シヴァ様、
なんて言っているのか
教えて。。。」
シヴァ「そばに来れて嬉しい
ってさ。
ずっと一緒がいい。。。」
マズイな、離れられなくなるんじゃ。
シヴァ「くろは、帰るべき所に
帰らなければならない。
ひかり、ずっとは無理
だからな。」
ひかり「うん。。。」
そうして、ほんの少しだけ時間を貰い、くろは帰って行った。
ひかりは、これからも、また逢えると
きっと、逢えるからと。
くろに言い聞かせ、お返ししたんだ。
今でも、くろは、ひかりに
鳴き声を聴かせ、呼びかけている。
くろ「ニャーっ!」
(ひかりちゃん、、、
逢いたいよ。。。
行ってもいい?。。。)
時々、くろはひかりのそばに来ては
ひかりの身体に、くっついている。。
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