番外編11 愉快な仲間たち
やあ、みんな。元気にしているかい?
僕は旅の中で、色々な人と出会ってきた。いい人もいれば、悪い人もいる。
そりゃあ、こんだけ旅をしてきたんだから、全員を覚えている訳では無い。でも、印象に残っている人は沢山いるよ。
せっかくだから、僕の側近や、旅の中で出会った人々を紹介しようと思う。
まずは僕、ブラッド。
僕は容姿端麗、頭脳明晰の高貴な吸血鬼。家はそこそこお金持ち。趣味は鏡で自分の顔を見ること。直射日光を浴びると灰になってしまうから、普段はフードを被っている。
僕は吸血鬼とダンピールの間に産まれたから、普通吸血鬼が持っている、『人間を吸血鬼にする能力』というのが欠けているんだ。その代わりなのか知らないけど、吸血鬼は鏡に映らないはずなのに、僕は鏡に映るんだ。
……もっと自己紹介したいところだが、僕のことは散々語っているから、今はやめておこう。
続いて、僕のメイド、ソフィア。
綺麗な金髪と青い瞳が特徴的だ。ソフィアは僕に従順……とは言い難い。素直すぎるがゆえの毒舌で、平気でご主人様を貶す本当に失礼なメイドだ。でも、仕事はきちんとするし、僕の面倒もちゃんと見てくれる。いざと言う時は必ず助けてくれるし、頭もよく力も強い。
しかし、父さんに対する忠誠心は異常なものだ。その忠誠心を、僕に向けてくれたらいいのに……なんて言ったら、きっとソフィアに怒られてしまうね。
グレイ。(第三・七・八・十二章)
彼は僕の初めての友達だ。灰色の髪をしている青年。彼は大道芸をしながら旅をしているんだ。昔はサーカス団にいたらしい。
少し馬鹿でポンコツなところもあるけど、友達思いで人情深い。
実は彼は、満月の光を浴びると狼に変身する、狼男なんだ。狼になっている間は理性が無くなるらしく、彼を止めるのは大変だったよ。
ジョゼフ。(第六章)
ジョゼフというのは、僕の父さんだ。旅好きで、いつも僕を館に残して楽しんでいる、困った父さんだ。まあ、僕が旅に出たきっかけは父さんなんだけどね。
父さんは誰に対しても優しくて、紳士的。人間と吸血鬼が共存できる世界を目指して日々奮闘中。
たまにお茶目で抜けているところがあるけど、僕は父さんが大好きだ。
アルバート。(第一章)
アルバートは父さんに仕える執事で、館にいた時は僕の面倒もよく見てくれていた。ピアノやダンス、勉強を教えてくれていたが、これがまたすごいスパルタなんだ。
今ではすっかりおじいさんだが、昔は父さんと一緒に旅をしていたらしい。
カーミラ。
カーミラは僕の母さん。吸血鬼と人間に産まれた、ダンピールだ。ダンピールには、吸血鬼を殺すことができる能力があるらしく、父さんは最初命を狙われていたんだって。でも、父さんが口説いて、二人は結婚。そこに産まれたのが僕と言うわけだ。母さんは僕が産まれてすぐに死んでしまったから、ほとんど覚えていない。ああ、もう一度会いたいな……
レン。(第四章)
レンは花の都で出会った画家だ。すごく絵が上手なんだ。風の噂で聞いたんだけど、彼は今、国だけではなく、世界中で人気な画家になっているそうだよ。彼の絵は高額で売られているんだ。彼に貰った、彼の婚約者であったユリさんの似顔絵、とっておいて良かった。
ハリー。(第五章)
『嘘つきハリー』の伝説を残した彼。本当に失礼な人だったよ。あのとき、僕はソフィアと喧嘩して、気が気でなかったけど、僕が鼻水垂らして泣いていた時、ハリーは僕の顔をガッツリ見ていた。それでも何も言わなかった。ただ単に吸血鬼だと気づいていなかったのか、それとも、気づいていたのに知らないフリをしてくれていたのか。
とにかく、ハリーは口は悪いけど、すごくいい人なのでは?
アイザック。(第七章)
僕はまだ、アイザックのことを許してはいない。不思議の国の案内人で、極悪非道の小賢しい変人。よくも僕たちを騙しやがって。とにかく奇妙なものが好きで、毒々しい色の食べ物や、目がチカチカするような奇抜な服を好んでいる。彼のせいで僕たちは全財産を失ったのだから。いつか仕返しをしてやる!
ノエ。(第九章)
彼は、ソフィアの生き別れの弟。今はレストランで働いている。金色の髪と青い瞳は、ソフィアにそっくりだ。
ソフィアはノエと、たまに手紙のやり取りをしているらしい。
シロ。(第十一章)
シロは雪山住む愉快で優しい雪男。全身を包む白い毛と、大きな体が特徴的。そして力も強い。とにかくテンションが高くてポジティブ思考。料理がとても上手いんだ。薬草についても勉強しているらしい。
父さんのマブダチでもあり、手紙のやり取りもしているのだと。
シグレ。(第十二章)
『人間と仲良くなろうの会』会長。狼の獣人で、とにかくかっこいい。上品でたくましくて優しくて、惚れてしまいそう。
昔、人間に命を救ってもらったことがあるらしく、それ以来、人間のために尽くすようになり、『人間と仲良くなろうの会』を開設したそうだ。
ローリエ。(第十二章)
金色の綺麗な髪に、整った顔立ち。とんがった耳を持つエルフだ。いつも小さな丸眼鏡をかけている。『人間と仲良くなろうの会』副会長。笛を吹くことが得意らしい。
テンションが高いが、礼儀正しい。表情豊かだが、実は彼女は思っていることがすぐ顔に出ることを気にしているらしい。
ミノ。(第十二章)
本名はミーノース。顔が牛で、体は筋肉ムキムキの人間。鉄の棒を半分に曲げることができるほどの力を持っている。
カーッとなりやすい性格だが、すごく素直だ。
以前シグレに助けられ、それ以降『人間と仲良くなろうの会』でシグレと共に活動しているらしい。
ガーラ。(第十二章)
ガーラはガーゴイル。ゴツゴツした体に、大きな羽が生えている。空からいつも街の様子を眺めているらしい。
「〜っす」という語尾が特徴で、ミノと仲良し。
そして最後はロナルド。(第十二章)
ロナルドは上半身が人間、下半身が馬であるケンタウロスだ。普段は森で暮らしていて、たまに街まで遊びに来るそうだ。
実は大家族で、八人の子どものお父さんなんだって。
懐かしいな。すごく昔のことのようだ。
久しぶりにアルバートにも会いたい。僕がいなくて、寂しがっているんじゃない?
一度家に帰るのもいいな。でも、旅をやめるわけじゃないよ。一度家に帰って、また旅に出る。父さんみたいに。
こんなにたくさんの出会いがあるのだから。旅をやめてしまうなんてもったいない!
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