268.東大陸へ
シュメルを連れて、僕達は『アズライールのダンジョン』最下層に来ていた。
ボスを僕が一撃で沈めると、シュメルがますます真っ青な顔になっていた。
鍵を貰った場所に行ってみると。
「あ、あれ!? 扉が開かない!? なんで!?」
精霊眼で彼女が嘘をついてない事は分かった。
もしかして、『鍵』に何か原因があるのかな?
こっそり『鍵』を出してみたけど、無反応だった。
「――――では次のダンジョンに行きましょう」
シュメル含む奥さん達を一度、島に戻して、僕はエドイルラ領にある『ルシファーのダンジョン』の八層にやってきた。
『アズライールのダンジョン』同様、飛びぬけて瞬殺して、九層に行っての繰り返しで、十層にやってきた。
再度、島からシュメルと奥さん達を連れ、『ルシファーのダンジョン』十層にやってきた。
禍々しい雰囲気の中、天使っぽいモンスターを僕がバッタバッタ倒しながらボスも一瞬で葬ったらシュメルは口から魂が飛んでいた。
ボスの後方にシュメルが立つと、次元の揺れが現れ、直径三メートル程の
昨日あったモンスターの大軍って、もしかして、これで来たのかな?
その次元の穴をシュメルに潜って貰ったけど、異常はなさそうだ。
僕も向こうに行こうとしたら、見えない壁のようなモノで阻まれた。
これは普通の人間には通れないかも知れないって事の正体か。
シュメルに戻って貰っても、以前あったような『鍵』は現れなかった。
魔族が近くにいると駄目なのかな? 後で、試してみるとしよう。
一度、島に戻ってきて、シュメルには再度監獄に戻って貰った。
試しに女神ポーションをビショに掛けてみたら、意外と効くようで、斬られた腕がくっついた。
ビショにはめちゃ感謝されたけど、元々斬ったの僕だし…………。
暫くの間、拘束してもらうけど、食事もちゃんと出すし、遊び道具も渡すし、それぞれの牢屋も行き来出来るようにもしてあげた。
それと、一人でこっそり『ルシファーのダンジョン』十層に来たけど、『鍵』が現れなかった。
◇
僕は奥さん達と集まり、これからどうするかの会議を開いた。
「まず、僕から。今回の魔族の件もあるから、東大陸に行ってみようと思う」
皆、その言葉に驚いた。
「東大陸にも魔族の手が及んでいるはず。シュメル達をみれば被害はなさそうだけど、そうと決まった訳ではないからね、それと
スタンピードの件はシュメル達も知らないようだった。
寧ろ、向こうからモンスターの大軍が現れた事に驚く程だった。
「五つあるダンジョンから、まだ一箇所からしか現れてないものね」
「うん、でもこれで終わりだという確証もない。だからここは少人数で東大陸に向かいたいと思ってるよ」
「残った人で、中央大陸のダンジョンの警備ね?」
「うん。更に言うと、ここ、アカバネ島も無事という確証がないから、各ダンジョンの最深部に警備隊を配置して、何かあったらすぐ対応するようにしたい」
「分かったわ、ではそちらの対応は私がするね」
セナお姉ちゃんなら、こういう対応に一番適任だと思う。
「お願いね、セナお姉ちゃん」
それから待機組と遠征組で分かれる事となった。
まず、待機組はセナお姉ちゃんを中心とし、魔族の監視もあるのでリサも待機組となった。
獣人族のディアナには東大陸の案内をお願いしようと思っていたけど、東大陸を離れて長いのと、そもそも五歳まで村で住んでいたから地理も全然分からないそうだ。
更に、黒銀狼であり、生きている事がバレるとややこしい事になりかねないそうで、ディアナも待機組となった。
なので、遠征組は僕とソフィア、そして意外にもレイラお姉さんの三人の旅が決まった。
レイラお姉さんはセナお姉ちゃんの代わりに、僕の護衛だそうだ。
遠征と言っても、僕はいつでも飛べるし、ソフィアもいるので、基本的には毎日島に帰ってくる事になるから、遠征という程、遠征でもない気がするし、待機している奥さん達とも毎日会えるはずだ。
毎日帰って来ると告げた時、レイラお姉さんは何処か残念そうにしていた。
決まった事を、ダグラスさんやお父さんにも報告した。
エクシア領は東大陸とも交流があるので、エクシア家の紋章を見せれば、多少は融通が利くはずだという事だ。
東大陸までは定期船が出ていたけど、時間がかかるので、僕達は飛んで行く事となった。
◇
レイラお姉さんには、一旦、島で待機して貰った。
そして、僕はエクシア領の港街セベジアにやってきた。
この街は、ダグラスさんとアヤノさんに出会えた思い出深い場所でもある。
街の外の海沿いから、僕は『飛行魔法』を使い、ソフィアと一緒に海の上を飛び上がった。
そう言えば、一人で飛ぶのは久しぶりな気がする。
いつも移動は『転移魔法』か『次元扉』ばかりだから、折角空を飛べるのに、中々使う機会がなかった。
果てしなく続く海の空を、飛んで行き、遂には中央大陸が見えなくなる頃、向かっている方向の先に、微かに大地が見え始めた。
東大陸に違いない。
新しい大陸にワクワクしながら、ソフィアと一緒に東大陸に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます