189.兄と仲間の結婚式①
ライお兄ちゃんとアグネスお姉さんの結婚が決まった。
婚約も要らないと、飛ばすらしい。
レオナさんは、ライお兄ちゃんらしくていいわねと笑っていた。
そして、ライお兄ちゃんからレオナさんの話しを聞いたアグネスお姉さんは、二人で一緒の結婚式を望んでくれた。
アグネスお姉さんに、一緒に式を上げて欲しいと言われた時のレオナさん。
まさか、いつも冷静に見えるレオナさんが泣くとは思わなかった。
それから、リサから嬉しい知らせを聞いた。
昨日、ライお兄ちゃんの告白。
そして、アグネスお姉さんの逃亡。
僕達はライお兄ちゃんを追いかけて、その場でどんな事が起きたか知らなかったけど、実は残った場でも二つの事件が起きたそうだ。
まず、一つ目。
もう一組、結婚が決まった。
なんと、ダグラスさんから、アヤノさんに告白したそうだ。
いつの間にか、ちゃんと指輪も準備していたそうだ。
どうやら、アカバネ商会が落ち着くまでは――とお互いに話し合っていたそうだが、誰かさんのせいで、全然落ち着かないからと、その場で決行したそうだ。
誰かさん…………って僕か!?
二つ目。
なんと、デイブリッドお兄ちゃんも告白したらしい。
えええええ!?
一体誰に!?
と思ったら、まさかの、ミリヤお姉さんだったそうだ。
えええええ!?
二人とも『スレイヤ』だし、とてもめでたい!
えっ……と、サリアお姉さんは……。
うん…………。
こうして、ライお兄ちゃん達の結婚が決まり、その日に、ダグラスさん達も一緒に行う事が決まった。
デイお兄ちゃんはまだ結婚はしないらしくて、婚約という形だそうだ。
ミリヤお姉さんから、大貴族が獣人族と結婚なんてって物凄く怒っていたけど、デイお兄ちゃんの真剣な言葉に、最後は頷いたらしい。
リサ曰く、それを見守っていたお父さんとお母さん、とても幸せそうに笑ってくれていたそうだ。
大貴族といえど、種族は関係ないのだ。
本当に僕の両親は、素晴らしい貴族、素晴らしい両親だ。
そんな僕はと言うと……。
何もなかった。
と言うか、何も出来なかった。
ライお兄ちゃん達の結婚式の件やダグラスさん達の結婚式の件。
僕としても色々やる事が増えて、気づけば一か月程、忙しく働いていた。
時折、イカリくんに会って、色々話したけど、僕の恋バナは咲かなかった。
だって、僕はまだスタートラインにすら立てていないからね……。
結婚式は、エドイルラ街で大々的に行う事になった。
既にアカバネ新聞では「エクシア家の次期当主のライフリット様、第一婦人にAランク冒険者アグネス様、第二婦人にレオナ・ティドベット子爵令嬢と結婚式を行う」と発表していた。
そして、続けて「アカバネ商会の商会頭のダグラス様、専属護衛アヤノ様と結婚式を行う」と発表した。
更に、二組同時に式を行う事で、更なる盛り上がりを見せた。
それから更に一か月後、遂に結婚式の当日になった。
ここ二か月間、みっちり貴族の振る舞いを叩き込まれたアグネスお姉さん。
レオナさんも一緒だった事もあり、冒険者とは思えない程の速さで吸収していった。
今ではすっかり綺麗な貴族婦人になっている。
今はレオナさんと対になっているドレスを着ている。
ライお兄ちゃんの右手側にアグネスお姉さん、左手側にレオナさんになるようだ。
隣の部屋では、アヤノさんが準備をしていた。
アヤノさんは貴族ではないので、貴族のドレスではなく、セシリアさんの提案で
前世の日本の伝統ある花嫁衣裳との事だった。
アヤノさん自身も東大陸出身なので、セシリアさんに提案された時は物凄く喜んだそうだ。
そして更にその隣の部屋にはライお兄ちゃんとダグラスさんがいた。
ライお兄ちゃんは、『アカコレ』で着ていた結婚用礼服だった。
金色の美しい礼服は、ライお兄ちゃんにとても似合っていた。
そして、その隣にはダグラスさんがいた。
ダグラスさんは
上部は黒く、下部は白い衣裳がダグラスさんにとても似合っている。
二人とも、初めての結婚式でソワソワしているのが目に見えて分かった。
今日のために、一生懸命に練習して、待ち望んでいた日だけに……見ているこちらまで幸せになりそうだ。
◇
◆アリサ◆
本日はくろにぃのお兄ちゃんのライフリット様と、ずっと支えてくれた仲間のダグラスさんの結婚式当日だ。
私はダグラスさんの奥様になるアヤノさんの着付けを手伝っている。
アヤノさんが着ている衣裳は前世の日本の伝統衣裳だった。
真っ白い美しい着物。
アヤノさんも綺麗に化粧しており、その美しさがまた際立っていた。
アヤノさんも緊張しているようで、こちらまで緊張感が伝わって来た。
それもそうだよね……。
結婚式ってそう何度もするものじゃないからね。
一生に一度の結婚式。
私も前世で憧れていた。
でも前世では叶う事なんて出来なかった。
だって――――私の好きな人…………。
そして私はある事を思い出した。
あの時、私が
どうか来生では、――――のお嫁さんになれますように。
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