177.視察
本日は兼ねて計画していた『テーマパーク』の現地視察にきた。
『テーマパーク』計画とは何か――。
『タワージャンプ』計画が進んでいる時に、試し参加していたセシリアさんとリサから。
「くろにぃ、折角
「あら、アリサちゃん。それ良いわね。クロちゃん、テーマパーク作って欲しいな!」
あれ? 意外とセシリアさんの食いつきの方が凄かった。
どうしてだろう? え? 前世では一緒に行く事が出来なか……。
「うん! 絶対作る! 任せといて! 一緒にどんなモノ作るか考えて欲しいかな!」
――そうして、リサの何気ない一言から、この世界に『テーマパーク』が誕生する事になるのだが……当のアリサ本人は楽しそうだと笑っていただけだった。
僕達はテルカイザ共和国で今一番旅行先として人気な、『クリア町』に来ていた。
ここって、昔は村だったんだけどね~。
大橋『
アカバネ商会の全力支援の元、建物から道の整備まで大きく変わっていた。
移住した人も数え切れず、その美しい『アクアドラゴンの湖』を背景に多くの家や宿が並んだ。
そして、村の規模を越え、町と呼ばれるようになった。
そんなクリア町だが、東側に大橋『レインボーブリッジ』があり、西側にバレイント領に続く道がある。
東側に大橋があるように、北東方面が『アクアドラゴンの湖』になっていて、北方面には森が広がっている。
今回、『テーマパーク』の候補地に選ばれた最も大きい理由は、この森だ。
この森は、伐採が困難な木々が多い。
『アクアドラゴンの湖』の多少なりの魔力を含んでいる水を吸って育った木々は、とても硬く丈夫だった。
その木々を伐採するだけでも、一苦労だった。
なので、今までは一切の開発が進んでいない。
もう一つ良いところは、周辺の景色の良さだ。
湖だけでなく、西と南に大きく連なっている山脈、北側に広く広がっている森林。
そのどれも人の心を癒すには、十分すぎる美しさだった。
更に、何故か、この周辺の天気は安定していた。
雨は常に適度降り、大雨被害はまずなかった。
その安定感も相まって、非常に住みやすい地域となっていた。
最後の理由は、バレイント領である事。
この『
他の地域は、良くも悪くも政治的な色が強い。
うちのエクシア領も例に及ばず、何らかの政治的な事に関わってしまうのだ。
正直一番良い場所はアカバネ島ではあるものの、普通の人達が来れないために、白羽の矢が立ったのが『バレイント領』だった。
◇
「クリア町も大きくなったわね」
「そうだね~、以前来た時は、大橋が完成してお祝いだったよね」
「ええ、大橋も安全に通れるみたいだし、本当に良かったわね」
僕とお姉ちゃんは懐かしんでいた。
一緒に来たリサとディアナは湖を眺めていた。
ゆっくりと眺めていると――、ある女性がこちらに向かって必死に走って来た。
「く――――クロウ様!? はあはあ、こちらに、はあはあ」
彼女は、クリア町のアカバネ商会の支店長を務めているリィリさんだ。
まだ二十代なんだけど、特殊職能もあり、これから一番発展が予想されていたクリア町を担当して貰っていた。
「リィリさん、そんな慌てないで~、ほらほら深呼吸~」
リィリさんが深呼吸をした。
「――――ふぅ、クロウ様、ようこそ、おいでくださいました」
「ありがとうございます、リィリさん。先日話していた場所の視察に来ました」
「かしこまりました。すぐにご案内致します」
僕達はリィリさんに案内され、クリア町の北側に広がっている森に到着した。
「わ――――、森だね」
「うん、聞いた通り、まんま森だね」
「そりゃ、森と言えば、こんな感じでしょう」
僕とリサの抜けた感想に、セレナお姉ちゃんがツッコミを入れ、ディアナはクスクスと笑っていた。
「こちらの森ですが、木々がとても硬く、伐採は大変でございます」
リィリさんが丁寧に説明してくれた。
何だか特殊な木だと聞いた。
【メティス~この木ってどんな木なの?】
【はい! その木はね、『
【『魔樹木』?】
【うん、魔力を含んだ水で育った木の事ね、木自身が魔力を含むようになって、通常の木とは比べものにならない程、硬くなるの】
「こちらの木って、『魔樹木』って言うみたいね」
「え!? 『魔樹木』」
リサが一番驚いた。
「どうしたの? リサ」
「えっと……『魔樹木』って、木材では最高峰のモノだよ? 育つ場所が限られていて、伐採出来る数も限られていて、使い道が非常に多いので凄く人気なのよ?」
おお~『魔樹木』って凄いんだね!
ここから見える感じ、『テーマパーク』の面積を伐採したら、大量に手に入りそうだ。
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