168.十三度目の祭り③

 ※ここから通常の一人称視点に戻ります。




 午前中のイベントの発表会が終わり、午後になった。


 午後からは、初めての試み『アカコレ』が開催される。


 今回『衣装』を魅せる『モデル』は総勢十五名だ。


 女性陣は、


 ①ナターシャお姉ちゃん

 ②フローラお母さん

 ③セレナお姉ちゃん

 ④ディアナ

 ⑤ヘレネさん

 ⑥アリサ

 ⑦セシリアさん

 ⑧アグネスお姉さん

 ⑨ミリヤお姉さん

 ⑩サリアお姉さん


 男性陣は、


 ⑪アグウスお父さん

 ⑫ライお兄ちゃん

 ⑬デイお兄ちゃん

 ⑭ディオ・コルディオ

 ⑮僕


 計、十五名だ。


 ディオに関しては、僕は嫌だったんだけど、最近、とても良い領主様になっているそうで、ナターシャお姉ちゃんからの推薦枠だった。


 昔、太っていたから気づかなかったけど、結構な美男子だった。


 まあ! 男性陣の中では僕はあまりだけど、うちのお父さんとお兄ちゃん達には足元にも及ばないけどね!




 会場に音楽が流れた。


 アップテンポの踊りたくなるような音楽だ。


 こういうのは静かな曲より、わくわくする曲が合っていて良いかも知れない。



 最初にステージに上がったのは、ナターシャお姉ちゃんとセシリアさんだった。


 ナターシャお姉ちゃんは黒い派手なドレスで、セシリアさんが純白の派手なドレスだった。


 テーマは結婚式用ドレスだそうだ。


 彼女達が現れると共に、会場には、支店から送っているアヤノさんのノリノリの司会が響き渡った。



「まず最初は我らの『アイドル』ナターシャと『現聖女様』セシリアぁあああ!! 結婚用ドレスの披露だぁあああああ!!!」



 うおおおおお!!!!

 ナターシャちゃん今日も美しい!!!!

 隣は聖女様だあああ!!!!

 二人とも綺麗だ!!!!



 ステージの両側に互いに向った彼女達は、一回転して、数秒ポーズを決め、今度は中央に歩き、二人は背中を合わせてポーズを決めた。


 割れんばかりの声援が大陸を揺らす程だった。


 そして、二人が裏に移動すると、今度はお母さんとセレナお姉ちゃんが出て来た。


「今度はエクシア家の至宝ぉおお!! フローラとセレナディアだぁあああ!!」


 アヤノさんのノリノリな叫びに大きな歓声が湧いた。


 お母さんは赤いドレス、セレナお姉ちゃんは青いドレスで、形や模様、飾りの全てがになっていて二人の美しさを際立たせていた。



 二人は会場の真ん中から一緒に手をつなぎ歩いてきて、互いに両側に分かれた。


 分かれる際も最後まで手をつないで、ギリギリで離す二人は、お互いを悲しそうに見つめる演出もあり、とても心に響いた。



 二人が裏に消え、次に現れたのは、ディアナとヘレネさんだった。


「次はアカバネ商会の獣人族の天使二人ぃ、ヘレネとディアナだぁああああ!!!」


 二人は獣人族が結婚式で着るという和風ドレスだった。


 お互いに赤、黒、白の色合いが一つの絵になるようなドレスだった。


 美しいディアナと大人びたヘレネさんが並ぶ、親子美人らしい組み合わせだった。


 二人は両側に向い、お互いを真っすぐ中央ですれ違い、場所を変え、ポーズを決めて、裏に消えて行った。



「次は最高峰冒険者の『スレイヤ』だあああ!!!」


 アグネスお姉さん、ミリヤお姉さん、サリアお姉さんが現れた。


 いつもボーイッシュな三人が美しいドレスを着ており、今まで感じた事ない美しいオーラを放っていた。


 彼女達を知っている冒険者達も、彼女達のドレス姿に顔を赤めている者が大多数だった。


 三人はステージ中央に集まり、真ん中にサリアお姉さんが祈るポーズをすると、二人はサリアお姉さんを中心に左右でポーズを決めた。



 そして、三人が裏に消え、次はアグウスお父さんとディオが出てきた。


「次はグランセイル王国英雄のアグウスと貿易街の領主ディオだぁあああ!」



 二人共綺麗な白い礼服だった。


 多くの飾りをつけており、男性の魅力を魅せるような礼服だった。


 二人は両側に向い、お互いを見つめ合い、剣を抜きポーズを決めた。



 出番を終えたお父さん達が裏に消えると、次はお兄ちゃん達が出てきた。


「次はエクシア家の次世代王子達、ライフリットとデイブリッドだぁあああ!!!」


 ライお兄ちゃんは金色の、デイお兄ちゃんは銀色の礼服だった。


 お父さん達と同じく色んな飾りがついた礼服だ。


 二人は真っすぐ前に行き、背中を合わせ剣を抜きポーズを決めた。



 そして、二人も裏に消えて行った。



「最後は――エクシア家の最後の宝クロウティアと現聖女様の娘アリサだぁああああ!!!!」




 ◇




 ◆グランセイル王国、王都のアカバネ祭の客の一人◆


 俺は今日、十三回目になるアカバネ祭を見にきた。


 勿論、参加も十三回目だ。


 あれだ、今まで全て追いかけてきたんだ。


 目的? そんなもの――ナターシャ嬢の『ライブ』を見に来たに決まっているじゃないか。



 しかし、今回は今までで……いや、この先も忘れる事は出来ない事だろう。


 アカバネ商会から色々発表があり、今回は『ライブ』前に『アカコレ』となるイベントを開くという。


 だから俺は昼食も簡単にとり、最前列で待機していた。


 そして、『アカコレ』が始まった。


 ただ『衣装』を見せるだけ――。


 そう思っていた。


 しかし、それは想像以上の衝撃だった。


 最初から現れたのは、我らのナターシャ嬢――――と、まさかの現聖女様だった。


 なんという美しさだ――――。


 次々、美しい女性や男性が綺麗なドレスや礼服を見せてくれた。


 最後の最後まであっという間だった。



 そして――――。



 最後は――という言葉と共に出て来たのは――


 この世で最も美しいと言っても過言ではない二人のの子だった。


 でも、何故一人は男性用礼服を? まあ、二人共美しいのでそれはそれでいいか。


 二人はお互いに手を繋ぎ、ステージを一周した。


 息をするのも忘れるくらいの美しさだった。




 俺は今日初めて見たのだ……女神クロウティア様とアリサ様の降臨を――――。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る