129.動かないゴーレムの謎
小石で消えたゴーレムを前に、驚いている僕達。
カラ―ン
ん? また中型魔石が落ちた。
その音に我に返った僕達。
「セレナ先輩? どういう事ですか!?」
「えっとね、多分だけど、このゴーレムって耐久が1しかないと思う」
「耐久が1?」×3
「うん、さっきアリサちゃんの魔法がゴーレムに当たったとき、一瞬だったけど魔法が当たって爆発する
ええええ!? セレナお姉ちゃん、そこまで見えていたの? 僕は全然分からなかった……。
「だから、魔法が爆発する前に触れた段階で消えたと思ったから小石を投げてみたら……クロウはとても失礼な事思っていたけどね」
思ってないよ!
「ええええ!? 何でバレた!?」
あっ、驚き過ぎて声と心の声を間違って出した。
うう……セレナお姉ちゃん、そのジト目やめて……滅茶苦茶可愛い……。
「ほらね――、まあいいわ、耐久が1ならば、どんな攻撃でも一撃になるだろうと思ったの。だから小石を投げたら……倒せたわね」
「しかも、このゴーレム達って、動かないのよね」
「微かに動いているけど、目に見える程には動いてないね」
「あ、そっか」
リサが何か思いついたように話した。
「どうしたの?」
「ここってさ、くろにぃの所有物なんだよね?」
「え? 所有物かは知らないけど、僕の魔導島にあるから、そうなるのかな?」
「だから――か」
「???」
僕の魔導島と何か関係あるのかな?
「だって、くろにぃの島だもの。全てが
「全てが簡単?」
「うん、まずくろにぃの魔導島ってさ、作物を育てるの凄く
あ~、元々の魔力を多く含んだ大地に、僕のレジェンドスキル『奇跡の大地』が適用されているからね。
「育てる農産物は全部が全部超高品質で育つ速度もとても速い、つまり何でも簡単になっているんだよね」
それを聞いたセレナお姉ちゃんとディアナが頷いている。
「だから、このダンジョンも
「成程……、だからモンスターの耐久も1で、動きも遅いと?」
「うん、まだ二階以降は知らないけど、何処のダンジョンでも一階は凄く弱いの、ここはその弱さが更に弱くなっているんだと思う」
聞いてて、凄く納得してしまった。
「それに――ここの経験値って、有り得ないくらい高いはずよ」
「経験値って何?」
セレナお姉ちゃんが聞いてきた。
「えっと、経験値ってレベルを上げるための点数と言うか……、モンスターを倒したり、スキルを使ったりすると経験値が貯まって、一定値貯まるとレベルが上がる仕組みなんです」
「へぇー! レベルって点数で上がっていたのね」
この世界では、誰しもが『ステータスボード』を見れるが、経験値は見えない。
だから誰も『経験値』の存在に気付いていないのだ。
「経験値って、本来なら自分のレベルと相手のレベルで差があればある程、補正が掛かります、相手が強いと速く貯まるし、相手が弱いと全く貯まらないんです」
「全く貯まらないんだ?」
「ええ、だから弱いモンスターを倒し続けても、経験値が貯まらずレベルも上がりません」
僕達三人は頷きながら聞いていた。
「でも、ここのモンスターは変なの」
「変?」
「ええ、多分だけど、レベル差による経験値補正が……、はぁ、殆ど掛からないと思う」
「ええええ!?」×3
「だから、ここでずっとゴーレムを倒し続けたら、レベル五十も六十も夢じゃないかも知れない」
ええええ!?
「でもさ、レベル五十って簡単に上がるんじゃ……?」
「上がらないわよ!」「上がらないよ!」「上がりません!」
ええええ!?
「クロウ、今レベル幾つなの?」
「え? 五十……だけど?」
「え!? いつの間にそんなに上げたの?」
「ん~、五歳んときには、既に五十に上げたからね」
「五歳って!? 七年前に!?」
セレナお姉ちゃんとディアナが驚いていた。
「くろにぃ……やっぱり、それ異常だと思う……」
「えー、だって、魔法でちょちょいで上がるじゃん?」
「えっと……どういう風に魔法を使ったら上がるの?」
「クロウ! 見せて見て!」
みんな酷いな! 僕が嘘ついてるみたいに聞こえるじゃん。
「分かったよ、ここだと誰もいないし、良いか、氷属性魔法!」
久しぶりに使う超広範囲氷属性魔法の出番だ!
シュバババババ―――
平原の先の全域が氷の山になった。
「えええええ!?」×3
「こんな感じだよ?」
僕は魔法を使い、振り向いた。
「魔法でこんな事も出来るの!?」セレナお姉ちゃん
「流石はクロウ様です……」目が少しハートになっているディアナ
「アブソリュート・ゼロ!? ……、嘘でしょう……」リサ
- 経験値を獲得しました。レベルが上昇しました。-
リサが話した通り五十からレベルが上がったから、簡単に上げられるかも知れない。
そんな僕をリサが呆れた目で見ていた。
「くろにぃ……その魔法って……伝説の魔法だよね?」
伝説の魔法って何だろう?
僕はただ氷属性魔法を使っただけだよ?
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