119.ディアナ劇場
※ディアナ劇場※
※茶番劇です※
「本日は宜しくお願いします」
「宜しくお願いします!」×12とアリサ
本日、ディアナ劇場には魔法科と戦士科の貴族のお嬢さん達が集まっていた。
全員クロウティアの物語を聞くために集まっている。
皆、ディアナの話しに耳を傾けていた。
「それでは、これからあのお方の…武勇伝会を始めます」
パチパチパチ×13
貴族女子達は物凄くテンションが上がっていた。
アリサも兄の武勇伝を楽しみにしていたので、キラキラした目になっている。
「先ず……とあるお嬢様を救った時の話です」
お嬢様という言葉に女子達から「おお~」って歓声が上がった。
「彼女は……悪の組織により、追われる身でした」
※ディアナさんにより物語が大きく歪んでいます。
「彼女の美しい美貌に狙われ、大好きだった婚約者とも離れ離れになりました」
もう既に女子達の目が潤んでいる。
「ですが彼女は何とか悪の組織から逃げ出す事に成功したのです! ですが既に彼女は満身創痍でした……彼女が実家に帰った頃には……既に悪の組織から受けた傷が深かったのです。
そして、彼女が何とか家に帰って来ましたが、それを最後に彼女はもう立つ事も声を出す事も出来なくなっておりました」
女子達から「なんて残酷なの」と声がした。
「それから……三年が経ちました」
「三年も!?」
「はい、彼女は三年間、立ち上がる事も出来ず、声をあげる事も出来ず、偶に目を覚ます事があるくらいでした、そんな中……更なる悲劇が訪れます」
「そんなに辛いのにもっと!?」
「ええ、実は……既に彼女の居場所が悪の組織にバレてしまったのです! 彼女が死んでいると思っていた悪の組織は再度彼女に嫌がらせをしました。それは……奇しくも彼女が家に帰ってから丁度一か月での出来事でした」
「そんな!? では、彼女は三年間も悪の組織に嫌がらせを受け、病気まで!?」
「そうなのです、悪の組織により、彼女だけではなく彼女の家族もまた被害を受けました」
「悪の組織……許せない」
「そして、悲劇が起きたのです。悪の組織の執拗な嫌がらせにより……彼女のお母さんが倒れてしまいました。そして……お母さんはもう二度と目を覚ます事はありませんでした」
暗いトーンの口調でディアナが話すと、女子達から泣き出す者まで現れた。
いや、殆どが泣き出していた。
「そんなのあんまりだわ……クロウティア様……早く彼女を助けてください」
「それから日が経ち、彼女が家に帰ってから三年、家はボロボロ、母親は亡くなり、お父さんも倒れる寸前……もう彼女には希望もありませんでした、しかし……」
女子達の目がキラキラとしてきた。
「そんな中、とある少年が家を訪ねました」
「きっとクロウティア様だわ!」
女子達が歓喜した。
「そして、その少年は家族にある提案をします。助ける代わりに僕の仲間となりなさいと」
女子達の数人は最早祈っていた。
「彼女達は最後の望みを託し、少年の申し出を受け入れました。そして……少年は悪の組織を見つけ出し、全ての悪をその手で撃ったのです!」
「流石クロウティア様だわ!」
「そして、悪の組織が無くなり、少年から渡された奇跡の薬を飲んだ彼女は、見る見る元気になりました。そして、彼女達は約束通り少年の仲間となりました」
「クロウティア様は奇跡の薬までお使いになられるのね!」
「それから、彼女達には、次々奇跡が起こりました。先ず亡くなられたと思っていた奥様がなんと……! 少年によって生き返らせられました!」
「おお! クロウティア様は死者をも復活させられるのですね!」
※ディアナさんにより物語がとんでもない方向に歪んでいます。大事な事なので二回―――。
「そして、彼女には誰からも愛される服を贈られました。それにより彼女は家族と幸せとなり、誰からも愛されるようになりました」
「凄いわ! そんな素晴らしい服があるなんて!」
「それから少年が大きくなると、彼女は少年だった青年に……求婚しました」
「なんて素敵なの! しかも女性から!」
「ですが、青年は……、僕が君を守ったように、また守らなければいけない者が世界には沢山いる。僕は……その者達を助けに行くよ。だから君は……どうかそのまま幸せに暮らして、と言い……彼女から去って行きました」
※ディアナさんにより物語がぶっっっっ
「なんて悲劇なの! 折角、幸せになれたのに最愛の方と結ばれないだなんて! あんまりだわ!」
「それから来る日も来る日も、彼女は待ち続けました……彼女が歳を取り、顔にしわが出来る頃……彼が帰って来ました。そして二人はずっと一緒に――」
ディアナの最後の言葉で、女子達全員泣き崩れるのであった。
※え? 何の物語かって? だからこれは全てディアナさんによr――――。
◇
◆ナターシャとアリサ◆
「え? 私のお母さんって生き返ったって? そんな訳ないじゃん!」
苦笑いをしているナターシャだった。
「だって、お母さん亡くなったのって、クロウくんと知り合う十年も前なんだよ」
それを聞いたアリサは混乱した。
「え? 大好きだった婚約者? ん~、大好き……ではなかったけど、私を見捨てた方だからね。もう興味もないわ」
アリサが肩を落とした。
「悪の組織? う~ん、組織じゃなくて一人だったかな?」
アリサの目が点になった。
「誰からも愛される服なんてないよねって? ――――ん~それは本当にあったよ? ふふっ」
驚くアリサ。
「私には『アイドル』という、誰からも愛される祝
そう話すナターシャは世界で一番幸せそうな笑顔になっていた。
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