第24話 勉強

 次の日からお母さんから魔法について勉強する事になり、一週間優秀な回復魔法使いであるお母さんから、沢山の事が教わった。


 その内容は、


 ①魔法を使うためにはそれぞれの属性魔法スキルが必要である。

火属性魔法や回復魔法、空間魔法等。


 ②攻撃属性魔法のみ、属性ごとに段階があり、下級は火水風土の四属性。

中級は雷霧の二属性、上級は木氷の二属性、最上級は光闇の二属性。


 ③最上級の光と闇属性魔法は特殊魔法のため、最上級となってはいるが属性魔法と少し違う立ち位置らしい。


 ④中級魔法と上級魔法は下級魔法の四属性の融合属性だという。

例えば、上級属性の氷属性魔法が使える人は風属性魔法と水属性魔法が使える。

実際は風属性魔法と水属性魔法が使える人は氷魔法属性が使える可能性があるということで絶対ではないみたい。


 ⑤回復魔法は使える魔法でそれぞれ段階が存在する。

下級回復魔法、中級回復魔法、上級回復魔法、最上級回復魔法の四段階だ。

最上級回復魔法は特別職能『聖人』と『聖女』のみが使える。


 ⑥魔法を使うためにはスキルが必要だが、普通のアクティブスキルとは違うため、

スキル『火属性魔法』発動! という詠唱のやり方では使えない。

魔法スキルはあくまでもその属性の魔法を使える許可証のようなもの。


 ⑦魔法を使うには、詠唱と魔法名を唱える必要がある。

唱える事で魔法に対して集中が出来、魔法が使えるそう。


 ⑧長らく使い慣れた魔法に対して『詠唱破棄』が生まれる事がある。

『詠唱破棄』はスキルに現れるスキルではなく、使い慣れた魔法がいつの間にが詠唱なく魔法名のみで使えるようになるという。


 ⑨『賢者』は使い慣れた魔法が『詠唱破棄』の先、『無詠唱』で使えるようになるといわれているらしい

『無詠唱』は詠唱もなく、魔法名もなく魔法を使用出来るそう。


 ⑩魔法は各属性ごとに『魔法』があり、詠唱と魔法名を覚える必要があり、使える魔法も人によって違うらしい。

 火属性魔法の中でも、『ファイアボール』と『ファイアウォール』ではレベルが違うため、『火属性魔法』のスキルがあっても全員が『ファイアウォール』を使えるとは限らないという。


 ⑪各魔法は最低限の強さがあり、それ以上弱く使う事が出来ないという。

僕が使った指の先に炎を燈す事が理論上不可能だけど、それに関しては僕のスキル『魔法調整』によって出来るみたいだ。


 ⑫魔法使いは王国内だと、下級が約二千人でうち戦えるのは五百人程、中級は百人程、上級は片手で数えるほど。

『賢者』は世界で三人いて彼らは『三賢者』呼ばれているそう。僕を入れると四人になるが、厳密に僕は『賢者』ではないので四賢者と呼ばれる事はないと思う。




 以上が魔法に関する基本知識だ。


 お母さんは中級回復魔法使いで、世界的にも有名だそうだ。


 そもそも回復魔法の使い手がごくわずかしかいないらしく、下級ですら好待遇を受けるそうだ。


 ちなみに回復魔法は、職能聖職者系列のみが覚えられるとされている。


 下級が聖職者、中級が神官、上級が司教、最上級が教皇だという。


 その強さの順で、現実の教会内の身分もその名前順番になっていて、教会は聖職者系列職能者を血眼になって捜しているという。


 回復魔法使いの特別職能に『聖人』と『聖女』がある。


 その職能は世界でたった一人のみが授かれる職能で、『聖人』と『聖女』もどちらか一人しかいないという。


 現在は『聖人』『聖女』職能は空で、未だ開花した人はいないので、教会も必死に捜してるみたい。




 お母さんは中級回復魔法使いなので、職能は『神官』だ。


 職能『神官』の人は世界でも十数人しかおらず、その上の職能『司教』は数人、職能『教皇』はたった一人だ。


 その職能『教皇』を持っているのは、教会配属の現聖女様と呼ばれている。


 そして六年前、彼女が妊娠をしたとのこと。


 その相手の旦那様は公表しないので誰かは分からないそうで、現聖女様ほどの方の妊娠は世界的にも大騒動だったそうだ。


 そして、彼女から娘さんが生まれた。


 その娘さんに職能『聖女』を期待していた人は言うまでもなく世界中から期待されていたが、彼女が5歳の今年職能開花で授かったのは、『下級魔法使い』だと言う。


 因みにお母さんから12歳の時、王国学園に入るからその際、同年代として会えるかも知れないと言われた。


 学園というのは、12歳になる年に入学して15歳になる年まで通うという。


 ちなみに、貴族は全員強制参加らしいので、僕もお姉ちゃんもお兄さん達も学園に行くそうだ。


 ライフリットお兄ちゃんに関してはもう2年後には入学だね。


 教会はグランセイル王国の東側にあるアーライム帝国に本拠地があるので、現聖女様の娘さんとは学園交流会で会えるかも知れないと言われた。




 アルテナ世界には大きい大陸は二つある。


 中央大陸と言われている大陸と、東にある東大陸。


 東大陸は中央大陸の1/3のサイズである。


 中央大陸で最も力を有している国は、大陸北側に位置し最大領を誇るアーライム帝国。


 二番目は大陸の南側で広範囲の領を誇るグランセイル王国。僕の住んでる国だ。


 数十年前にアーライム帝国により周辺国は全部滅ぼされたので大陸北側に帝国以外は存在しない。


 南側は中心にグランセイル王国があり、その北側にフルート王国があり、帝国とグランセイル王国に挟まれている。


 グランセイル王国の西側にはテルカイザ共和国があり、王様がいない貿易中心の国だそうだ。


 東側海の向こうの大陸には、亜人主体のヤマタイ帝国があり、グランセイル王国との貿易が進んでいる。


 現在アーライム帝国とは休戦中であり、グランセイル王国との交流も多いので帝国と王国の戦争は暫くないだろうと言われている。


 

 三賢者は現在、アーライム帝国に一人、フルート王国に一人、一人は旅をしていてどこにも所属していないが、世界的に有名な空間魔導士であるサディスさんの親友で彼の所属しているグランセイル王国との交流が深いという。


 というか! サディスさんってそんなに有名人だったの!?


 中央大陸の空間魔法使いの中では一番だという…………なにせ、珍しい『空間魔法使い』の更に上級の『空間魔導士』だから。



 あとはグランセイル王国内に教会はたくさんあるんだけど、エクシア領には教会は一つも存在しないそうだ。


 何故か、というと、お母さんが12歳の時、職能が『神官』だとバレた。それにより教会からお母さんを教会へ招こうと凄まじい圧力があったそうだ。


 その時には既にお父さんと婚約しており、学園卒業後、結婚の予定だったという。あ、お互いに一目ぼれしていたって。


 そして、その圧力に次期当主であるお父さんとお母さんのお父さん、つまり僕のお爺さんが猛反発をした。


 その後、お母さんが卒業する直前にお母さんが拉致される事件が発生、そこから何とか犯人を捕まえ救出出来たんだけど、その事件の裏にいたのが教会の枢機卿の一人である事が発覚。


 その事件より、エクシア領の全教会の撤廃、多額の慰謝料、教会による緊急時回復魔法使いの強制招集王国内禁止まで勝ち取った。


 その事件を『バレンタイン枢機卿の堕落事件』という。

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